世界最薄・最軽量を突き進むNEC 熟成した仕上がりのVersaPro Tablet PCレビュー(1/2 ページ)

NECが発表した同社Tablet PCの第二世代は、第一世代が保持していた世界最薄・最軽量記録を更新。Dothan&IEEE802.11a/b/g搭載も成し遂げた。Windows XP Tablet PC Edition 2005搭載の「VersaPro VY11F」を触ってみた。

» 2004年09月09日 12時05分 公開
[大出裕之,ITmedia]

タブレットPCは脈々と続いていく

 タブレットPCは2002年の11月にマイクロソフトより発表されたわけだが、NECのタブレットPCはそのタイミングでは登場せず、翌年明けに、市販モデルのLaVieと企業用モデルのVersaProの両方で、ピュアタブレット型として登場した。つまり、NECの第一世代は量販店でも買うことができたわけだ。

 だがその後、タブレットPCメーカー各社とも店頭での市販をやめ、NECもLaVie Tablet PC販売終了後は、NECのWebサイトや営業経由でVersaPro Tablet PCの販売を継続していた。実際のところ、市販モデルとしては通常のノートPCよりも機能が多いという意味で割高であり、コンシューマーに対しての魅力は100%アピールしにくかったのは各社とも同様であったろう。

 だが企業向けの市場に目を転じてみるとまったく状況が異なる。もともとハンディな板状(スレート型)PCは立ち仕事の多い環境などで受け入れられており、さらに文字認識とペンというツールが加わることで、企業・官公庁・教育向けなどで、次第にタブレットPCは脚光を浴びてきている。実際に導入も進んできており、いつの間にか、タブレットPCの時代はすぐそこまでやってこようとしている。

 このようなマーケットの状況もあり、NECは企業用モデルのVersaProシリーズで、タブレットPC第二世代を投入してきたのだ。

VersaPro VY11F

第1世代からの変更点:ハード

 さて背景説明はこのくらいにして、第一世代とのハードウェア的な変更点を説明していこう。ベースの形態は、第一世代同様のピュアタブレット型だ。

 「VersaPro VY11F」の最大の魅力は、なんと言っても世界最薄・最軽量のタブレットPC、という点だ。W224×D299×H11〜13.7ミリ、で約885グラム(バッテリーパック(S)&無線LAN非搭載時)。特に薄さでは第一世代が15ミリだったのに対し11ミリ。軽量という点では及ばないが、最薄という意味においては世界最薄のノートPC(キーボードがないためそう言っていいかどうかわからないが)とも言える。

 ちなみに無線LAN搭載で899グラム。バッテリーパック(M)を装着しても959グラムとなり、従来機の約999グラムと比較して十分に軽量化している。

 筐体デザイン的にも細部にわたってブラッシュアップされている。電源ボタンは従来機より押しやすいよう大型化した。また無線LAN用のアンテナも、従来機ではぶらぶらしてしまっていたのが立てない状態ではしっかりと固定されるように変更された。

前面。上部左よりワイヤレスLANスイッチ、画面回転ボタン、Escボタン、Fnボタン、Ctrl+Alt+Delボタン、PCインジケータ、電源ボタンが並ぶのは従来機通り。右側上部上よりUPボタン、Enterボタン、DOWNボタンがあるのも同様だ
前面上部に並んでいるボタン。起動ボタンは従来モデルよりも確実に起動できるよう、構造とスイッチ感が改善されている
下面。バッテリーが装着される
左側面。左より無線LAN用アンテナ、アンテナのロックスイッチ、セキュリティスロット、Ethernetコネクタ、外部ディスプレイコネクタ、電源コネクタ
ワイヤレスLANの感度を高めるためのアンテナ
右側面。右よりペン格納部、CFカードスロット、オプションのバスパワー光学ドライブ用電源コネクタ、USB 2.0×3、マイク入力、ライン・ヘッドフォン出力
上面。排気口がある
背面。重量軽減のため、また、強度付加のために、でこぼこになっていると思われる。HDDは右上。CPU位置はおそらくセンター右側だ

 さてPC的スペックも、アップデートされた。OSはWindows XP Tablet PC Edition 2005を搭載。CPUは最新のDothanコアを採用したPentium M 733(動作クロック1.10GHz)に変更された。メモリは標準で512Mバイト(オンボードで固定)となり、無線LANもIEEE 802.11 a/b/g対応がBTOで選択できるようになった。HDDは従来どおり、1.8インチの20Gバイトを搭載している。

 グラフィックアクセラレータもメインメモリ共有などではなく、ATI RADEON 7500の32Mバイトを搭載。手書き認識の処理速度の向上に一役買っている。

 バッテリー駆動時間は、バッテリーパック(S)搭載時で約2時間。バッテリーパック(M)搭載時で約3.3時間だ。従来機が超低電圧版Pentium III の933MHz-Mで約3時間駆動となっていたので、PC的パフォーマンスが大幅に向上しつつ、バッテリーの持続時間も若干向上した、ということになる。

 なお今回は撮影できなかったが、キャリングケースと再セットアップ用CD-ROMが標準添付する。ペンは太いタイプと細くて収納できるタイプが標準添付される。

左がバッテリーパック(S)、右がバッテリーパック(M)で若干厚い
バッテリーを実際に装着したところ。上がバッテリーパック(M)、下がバッテリーパック(S)。どちらを装着しても、足がPCを支えて水平に保つようになっている

第一世代からの変更点:OS、そして書き味

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