大人のエンターテイメントモバイルノート──ソニー「VAIO type T」(2/2 ページ)

» 2004年09月13日 20時28分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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より実用的なマルチメディアプレーヤーへ進化

 VAIO type TRと比較して削られた機能もある。VAIO C1から脈々と継承されたモーションアイは遂に省かれ,独立していた拡大ボタンも[Fn]+[F10]のキーボード操作に統合された。

 モーションアイはおそらくスリム化の流れの中で削減されたと思うが,ビジネスユーザーの間で以前から「不要」との声も聞こえていただけでなく,ディスプレイのデザインが、下側へ不自然にレイアウトされるという弊害もあった。機能が削られたことを「改善」といってはいけないとは思うが,歓迎するユーザーも多いのではないだろうか。

 これらの削減された機能に変わり,追加されたのがAV関連の専用ボタンだ。起動用のDVDボタンと再生操作用のボタンを装備し,マルチメディアプレーヤーとして使うときの操作性を高めている。巻き戻し,早送りボタンは短押しでチャプターや曲間移動,長押しで巻き戻し再生や早見再生と、ポータブルプレーヤーと変わらない操作性だ。

 ワイドディスプレイや長時間バッテリー駆動など、VAIO type Tの特異性を考慮しつつポータブルDVDプレーヤーとしての性能を配慮した機能も盛り込まれている。その一つが、DVDボタンを押すと「DO VAIO」のDVDプレーヤー機能が起動して、DVDビデオの再生がワンタッチで開始されるところ。DVDボタンは「DO VAIO」だけでなく、ほかのコンテンツ再生ソフトの起動ボタンとしても利用できる。

 DVDボタンを利用したDVD-Video再生では,事前に設定した画面の明るさ,画面サイズ,オーディオ設定を選択して再生が可能。PCとしての快適な画面設定とDVD再生で快適な画面設定を簡単に使い分けできる。DVD再生を終了しても画面の設定が元に戻らないのはちょっと残念だが,サスペンドや休止状態に移行したあとなら、再生前で使っていた設定に復帰する。悪くない機能だ。

 また前面のミュートボタンを長押しすると簡単にオーディオエフェクトの設定が変更できる。ヘッドホンのタイプ別に四つのプリセットも用意されているあたり、実際に多種多様なヘッドホンを手がけているソニーならではの機能だろう。

 なお、いまAV重視型ノートPCでトレンドの「Windowsを起動せずにDVD/CDを再生」する機能は備えていない。しかし、サスペンド状態からWindows XPが利用可能な状態になるまで5秒程度,そこからDVDボタンを押してDVDビデオの再生が開始されるまでが25秒程度と、思っているほどは延々と待つことはなかった。未使用時に常にWindows XPを終了するならともかく,サスペンド,休止状態を利用するなら、さほどデメリットは感じないはずだ。

正面には無線LANモジュールのパワースイッチや、サウンドエフェクト切り替えボタンが用意されている
用意されているサウンドエフェクタのプリセットリスト。Sonic Stage Mastering Studioオーディオフィルタリングを各出力デバイス向けにチューニングした設定が用意されている

DVD再生でも約4時間のバッテリー動作が可能。これなら使えるエンタティメントモバイル

 スタミナ設定をベースに,画面の明るさをDVD-Video再生でも不満を感じないLevel4(9段階中の暗いほうから4番め)に設定してDVD-Videoを1時間ほど再生してみたが,バッテリーの消費量は26%。概ね4時間はDVD再生が行える計算だ。大作映画を1本見切ってもまだ十分にPCとして利用できることになる。長時間の移動が多いビジネスマンにとって、このスタミナがもたらす恩恵は計り知れないものがあるだろう。

 VAIO type TはVAIO type TRに対してデザイン面はもちろん,機能や使い勝手にも様々な改良が加えており,新シリーズでありながら完成度の高さを感じさせる製品だ。筆者の男性的な視点で見ると、デザインという点で「VAIO typeT Rはちょっと気恥ずかしいなっ」,という印象を持っていたが,VAIO type Tは派手すぎず、それでいてVAIOらしさをしっかり主張している。また、下位モデルとソニースタイル専用モデルに準備されたバーガンディーブラウンは女性に受けが良さそうだ。

 気になる点があるとすれば,背面側に飛び出したパッテリーのためにVAIO type TRよりも底面積が大きくなってしまったことと,店頭上位モデルであるVGN-T70B/Lでも標準搭載のメモリが256Mバイトであることだろうか。実際、Windows XPを快適に利用しようとすると256Mバイトを超えるメモリが必要なのは周知の事実であるし,今回使用していても、やはり256MBでは苦しいと何度か思った。

 ソニースタイルモデルであれば購入時にOSもメモリも色も自由に選択できるのだが,VAIO type TRでは店頭モデルも上位モデルは512Mバイトを標準装備していただけに、少々気になってしまった。2スピンドルの小型ノートは、1台で何でもこなしたいユーザー層の需要も多いのだろうが,上位モデルはヘビーモバイルユーザーにある程度合わせた標準スペックでもいいのではないのだろうか。

板のようなフラットな筐体で目を引くのが筒状のバッテリーパック。「505からの伝統」とソニーは説明するが、デザイン的には賛否の分かれるところ。ケーブルなどの引っ掛かりをなくすため、両側面にわずかながらテーパがかけられている

ACアダプタが通電していると、コネクタ部分が緑に輝く
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