デスクトップと同じ環境がノートに出現──富士通 FMV-NX90J/T(1/2 ページ)

» 2004年10月15日 19時12分 公開
[小林哲雄,ITmedia]
FMV-NX90J/T

17インチのワイド高輝度液晶マシン

 日本ではA4クラスのノートPCを持ち歩いて使おうというユーザー層はさほど多くない。むしろ、キーボードがフルサイズに近く、大画面の液晶ディスプレイを備えている点を重視したユーザーが、どちらかというとデスクトップPCに置き換わる省スペースPCとして使うケースが多い。

 最近は、デスクトップPCでもノートPCでもDVD-Videoの再生利用を意識したワイド液晶ディスプレイ搭載モデルが増えている。現在、ワイド液晶ディスプレイで主流なのがWXGAサイズ(1280×768ドット)であるが、それよりもさらに広い17インチワイド(1440×900ドット)液晶を搭載したハイパフォーマンス製品がここで紹介するFMV BIBLO NXシリーズだ。冬モデルのNXは三つの店頭モデルとWeb通販専用のカスタマイズモデルが用意されている。ここでは最上位マシンとなるNX90J/Tを取り上げることにする。

右側面に設けられているのはUSBと光学ディスクドライブのみ

背面はネットワーク、ディスプレイ系のコネクタが用意されている

左側面には、テレビ関連、カードスロットなど主要なインタフェースが集中している

テンキーまで付属したフルキーボード

 NXシリーズの特徴は、先に述べたように高解像度の17インチワイド液晶ディスプレイだ。富士通はデスクトップで大型の22インチパネルを採用したTシリーズやノートPCのLOOXなどでワイド液晶ディスプレイを搭載した製品を出しているが、どちらも解像度はWXGA(1280×768ドット)。通常のXGA(1024×768)を横に広げたサイズでしかない。ユーザーからすれば、Webの閲覧がいい例だが、縦にスクロールするような作業を行うと横よりも縦方向の解像度が欲しくなる。

 NXシリーズでは1440×900ドットと従来比31%増でDVDの視聴だけでなく、Web閲覧といったPC的作業でも広い画面を利用できる。通常の4:3比率の17インチ液晶ではXGAより広い1280×1024ドットのSXGA液晶が主流になっているが、画素数で比較すると98.9%と遜色ないのがうれしい。

 富士通のノートPCということで、従来と同様、液晶表面にツヤを出して鮮やかな画像の上に低反射コーティングと二灯バックライトで高輝度を実現したスーパーファインDX液晶を使用している。

 大型のワイド液晶を搭載しているため、筐体幅は40センチ以上ある。この大ぶりな筐体のおかげで、キーボードはテンキーを含めたフル仕様となっている。そう、このノートPCは独立したテンキーまでもが筐体に組み込まれているのだ。

テンキーを組み込んだために、キーボードのセンターはディスプレイのセンターから著しく左に寄っている。ただし、実際に使ってみると意外と気になるものではなかった

 キーピッチは19ミリのフルサイズタイプなのでデスクトップPCとの操作感とさほど変わない。さらにデスクトップ用キーボードと同様に、後ろを持ち上げて傾斜がつけられるようになっている。不要なときは片付けられるノートPCのメリットは生かしつつ、ユーザーの使い勝手を向上させるギミックはデスクトップ機と比べても遜色ないものが用意されているのだ。

 富士通のPCはチップセット内蔵グラフィックスコアを使用する製品が多く、パフォーマンス的に3Dゲームはガマンするしかないというのがホビーユーザーにとって不満であったが、NX90J/Tでは128Mバイトのビデオメモリを搭載したATIのMOBILITY RADEON 9700を採用しており、最近の3Dゲームでも快適な動作が可能となっている。

 CPU性能が比較的高いのも富士通の特徴。ノートPCのラインアップでは最上位となるNX90J/TはCPUにモバイルPentium 4 538を採用している。動作クロックは3.20GHzで現在のインテルモバイル向けCPUのラインアップでは上から二つめに位置する高速なものだ。

 チップセットはSiS 655FX。メモリは標準状態で512Mバイト搭載しているため、二つあるメモリスロットをすべて使っている。HDDは100GバイトとこちらもノートPCとしては十二分(下位モデルは80Gバイトと60Gバイト)で、OSには富士通の家庭向け製品としては珍しくWindows XP Professionalを導入している(下位製品はHome Edition)。

 サウンドは本体前部にスピーカーを装備したうえで、下部にもスーパーウーファーを備えて低音を補強している(下位製品はスーパーウーファーなし)。光学ドライブはDVDスーパーマルチドライブ(DVD+-Rで最大8倍速、DVD-RAMで最大3倍速書き込みが可能)を使用している。

 非常にパワフルに仕上がった代償は消費電力の高さとなって表れている。さすがにPrescottコアPentium 4搭載のデスクトップPCよりは低いのだが、ノートPCとしては異例の大型ACアダプタを使用しており、カタログでの標準消費電力も69ワットと大きい。

 なお、最下位モデルはモバイルPentium 4ではなくCeleron Dを使用しているが、最大消費電力は上位モデルよりも低い反面、標準消費電力が120ワットと、逆により大きいことを意識しておきたい。それぞれ、バッテリー動作も可能だが、採用しているニッケル水素電池(12ボルト3600ミリアンペアアワー)で公称動作時間は0.7時間(最下位モデルは0.4時間)と短く、基本的にはAC専用と思ったほうがよさそうだ。

 もっとも、このクラスのノートPCは持ち歩くことを想定しておらず、デスクトップリプレースの省スペースPCとして使うユーザーが多いはずなので、この短いバッテリー駆動時間が問題になることはないだろう。

 ネットワーク仕様は、最上位モデルで1000base-TとIEEE802.11(a/b/g)、V.92モデムがサポートされ、それ以外のモデルはモデムと100Base-Tのみ。無線LANがないことに注意したい。無線LANはPCカードでカバーできるが、そのPCカードスロットは大型ノートPCにも関わらずType IIが1スロットしか用意されていない。

インスタントMyMediaも装備

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