もちろん自社でも有効に使ってます――タブレットPCで変わるイベントマーケティングレポート(1/2 ページ)

イベントにおけるマーケティングの最大の目的は、来場者から有益な情報を受け取り、次の展開に活かすということだ。タブレットPCでイベントマーケティングがどう進化するのか、マイクロソフトの担当に聞いた。

» 2004年11月24日 00時25分 公開
[大出裕之,ITmedia]

イベントマーケティングとは

――御社における昨今のイベントマーケティングの位置づけを教えてください。

大浦 イベント担当者はよく言います。「WPCで5000件のアンケートを取りました、すごいでしょ」って。でも大切なのは数ではないのです。そのデータからお客様が何を求めていらっしゃるのかを読み取って、次のアクションにどう活かすかが重要なポイントです。マーケティングって点じゃなくて線なんですよね。イベントだから盛り上がって終わり……だけではダメです。イベントを通じて得た情報やお客様の反応が、次の施策にきっちり活かされていく。それが重要です。傾向値としては1000件もあれば十分な訳で、むしろいかに深くお客様とコミュニケーション出来るかが大切だと思っています。

 広告という視点で見れば、イベントはお客様と触れ合うことのできる唯一の媒体だと思います。他のメディアからすれば、イベントはタッチできるお客様の数は確かに少ない。でもお客様に生で触れて、ハートに届く可能性がある。人を通してその人に合った深い情報を渡せるとか、肌で感じるものがあると思います。それが大切です。これがイベントの役割なのです。

右がマーケティング本部・イベントマーケティング部・コーポレートイベントグループ・マネージャの大浦豊弘氏

大浦 例えば製品担当者は、その製品が日本でどうやれば広がるかを一生懸命考えているわけです。そして僕たちは表現者として、お客様との接点を任されています。彼ら製品担当者の思いをどれだけ伝えてあげられるかということが、仕事なわけです。

――インタフェースですね。

大浦 僕らはお客様とのインタフェースの最前線にいると思っています。タッチアンドトライで触れ合う場であったりとか。

 リアルなことをして分かりやすくさせるのがイベントの役割です。そしてそこのお客様の生の表情を読み取って、イベントから製品担当者にフィードバックする。で、結果として物を売る。その最前線にいるのが、僕らなのです。

アンケート入力用タブレットPC

アンケートにかける情熱

――WPC EXPO 2004では主にアンケート用にタブレットPCを使用されたそうで。

大浦 アンケートでは、紙を出来る限り使わないようにしたかった。これまでのアンケートというのは、数を稼ぐためにかわいいお姉さんがクリップボードを配り、書いてもらって回収します。その後どうしたかというと、その書いたものをイベント終了後に集計してデータベースに入力していく。よく考えれば無駄なことをやっていました。

 またブースの隅にアンケート専用のPCを置いて、そこで入力してもらうという手法もありました。ですがこれですと、出来ても同時に1台か2台程度です。また、ここのPCの前に来てください、では、会話が途絶えてしまいますよね。人間がPCに合わせるのではないと私は思っていますので、それでタブレットPCを活用したいな、と。

 アンケート自体は去年登場しましたOffice製品のInfoPath 2003を使ってプログラミングし、すべてXMLデータに落としています。そうしておけば、再度データ入力することなくExcelやWord、PowerPointに持ってこれますので、イベント終了後すぐにレポートに使用したり、データベースとして使用したりできるようになります。紙を使っていたころはデータの再入力に1週間以上かかっていました。でもこれでは遅すぎだと。

――タブレットPCでアンケートをするということについて、お客様の反応はいかがですか?

大浦 去年もそうですが、やはり見てらっしゃるかたは見てらっしゃいますね。非常に新しいことをやっているな、と。相手からアンケートをやりたい、なんて普通言ってきませんよね。でも今回も、これ何? タブレットPCだよね、という風に近づいてきてくれたりします。それと、このスタイルがお客様に何かしらヒントを与えられればいいなと思っています。現にあるお客様はこれを見て、「これは使える!」とタブレットPCの導入を決められたと製品担当に話を聞きました。嬉しいですね、そういう話を聞くと。

そこかしこでタブレットPCでのアンケート入力が行われていた

ステージイベントに有効なタブレットPC

――今年のWPC EXPO最大の目玉は、Windows Media Player 10に対応した様々なコンテンツプロバイダからの音楽データ有料配信の開始だったと思いますが、古川さんのキーノートは話題になりましたね。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.