トータルバランスを重視した実質本意のモデルチェンジ──富士通「FMV-STYLISTIC TB11/S」レビュー(1/2 ページ)

富士通が発売した「FMV-STYLISTIC TB11」シリーズは、画面の見やすさやペンの使いやすさ、バッテリ駆動時間、セキュリティ対策など、実質本意の機能強化・改良が施されている。その進化の具合をレポートしよう。

» 2004年12月21日 16時00分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 富士通が発売した「FMV-STYLISTIC TB11」シリーズは、ペン操作型コンピュータの分野で大きなシェアを持つ同社らしく、ビジネスの現場で働くユーザーのニーズに見事にマッチした製品になっている。

 軽さや薄さでは大きな違いはないものの、実際に使うと分かる画面の見やすさ、ペンの使いやすさ、セキュリティ対策など、実利用面における改良点が目立つ。その進化の具合を、キーボード、ドッキングステーションなどがセットになった「FMV-STYLISTIC TB11/S」で確かめてみた。

「FMV-STYLISTIC TB11/S」は、12.1インチ高視野角液晶パネルを採用し、キーボード、ドッキングステーションなどを装備する

広視野角液晶パネルで実現した“縦位置”の使いやすさ

 これまでのタブレットPCのすべてに共通する不満が一つある。それは視野角の狭さだ。

 一部のコンシューマー向け製品を除き、ノートPCやタブレットPCに使われている液晶パネルはTN型である。TN型のTFT液晶パネルは、液晶分子の捻れ方向の関係で、ある方向の視野角は広げられるものの、その方向からのズレが大きくなると視野角が狭くなっていく。

 ノートPCで使われる液晶パネルは通常、人間の両目が水平方向に並んでいることもあって、画面を横位置に置いた時に、水平方向の視野角が広くなるように設計されている。このため、垂直方向の視野角は狭い。

 ところが、タブレットPCを抱えて手書きする場合は、縦置きの方が使いやすい。本体にキーボードを持たない、いわゆる“ピュアタブレット”型のタブレットPCならばなおさら、縦位置での利用が多くなるだろう。

 しかし、画面を縦位置にすると、視野角が最も狭い方向が水平となるため、左右の目からは同じ場所の色が違って見え、ちょっとした頭の位置や本体を持つ手のブレでもチラチラして見難くなってしまうのだ。

 これを解決するのが、「FMV-STYLISTIC TB11/B」と同TB11/Sに採用された新開発の12.1インチTFT液晶パネルだ。この液晶パネルは左右・上下ともに160度という広視野角を持つ。12.1インチ液晶には、汎用の広視野角パネルはラインナップされていない。TB11のために新規にオーダーしたものである。これにより、縦位置での視認性、使いやすさが格段に増した。

 これはドッキングステーションを使う時にも有効である。Webのブラウズや長文の資料作成などでは縦位置の方が使いやすい場面も多く、FMV-STYLISTICをドッキングステーションで使う場合、本体を90度回転させて取り付けることができるからだ。なお、本体の角度を変えると自動的にWindowsの画面が回転する機能も、きちんと継承されている。

縦位置で取り付けるとWebブラウズや長文の資料作成などがやりやすくなる

 今回は評価していないが、TB11シリーズには10.4インチの反射型液晶パネルを採用したモデル「FMV-STYLISTIC TB11/R」も用意されており、屋外での利用が主であれば、こちらの方がより高い視認性を得られる。フロントライトも装備されているため、暗い場所での利用も可能だ。

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