当然のことだがCESという性格上、マイクロソフトの展示内容は同社のOSやOfficeアプリケーション類などを前面に押し出すことはせず、昨年10月に登場したMCEとそれに関連したテクノロジーや製品の紹介に力を入れていた。より家電製品に近付いているMCEを強調するような内容となっており、MCEに対する同社の並々ならぬ意気込みを感じさせる。
中でも注目したいのが、CATVセットボックス向けであった組み込みOS「Microsoft TV」の発展型となる「Microsoft TV IPTV Edition」だろう(これは、ビル・ゲイツ氏の基調講演でも紹介されている)。
IPTV Editionでは、TCP/IPのネットワークを利用してHDクオリティの動画をインタラクティブに配信するというものだ。ビデオ・コーデックには、Windows Media 9をベースにした「VC-1」が利用されており、高い圧縮率ながらHDクオリティのままで映像を配信することが可能だ。
ビデオコーデックのVC-1は、Blu-rayとHD DVDの両方に採用されているため、将来的にはIPTV Editionで配信された映像をパソコンのHDDに保存しておくだけでなく、Blu-rayやHD DVDで録画するといったことが可能となるわけだ。
逆に言えば、Blu-rayやHD DVDのどちらが来ようともマイクロソフトにとって大きな問題はないことになる。むしろ、IPTV Editionを普及させることでVC-1が広がり、ISMA(Internet Streaming Media Alliance)のビデオコーデック「MPEG-4 AVC High Profile」に対して大きなアドバンテージを持つことができる。
今回のCESではDivXがDVDプレーヤー向けの動画圧縮技術「DivX 6」を発表しており、VC-1、MPEG-4 AVC、DivX 6のどちらが優位になるかの覇権争いへと発展することは間違いなく、今後の動向にも注目したい。
また、MCEと連携する「Media Center Extender」(MCX)機器の展示も行われていた。MCE内に保存されている動画や静止画などのコンテンツをネットワーク経由でMCX側に送り、それを再生することが可能になる。
今年は、まず初代MCXとなるMCX v1が登場し、その後にMCX v2と呼ばれる進化形になることになっている。XboxをMCXにする「Microsoft Windows Media Center Extender for Xbox」もすでに販売されている。
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