“写真力”を強化したA3ノビ対応のフラグシップPIXUS──キヤノン PIXUS iP9910キヤノン「PIXUS iP9910」のすべて(2/3 ページ)

» 2005年02月24日 00時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

 印刷速度を多角的に検証するため、用紙サイズや用紙種類、ドライバの印刷品位設定などを変更して合計18パターンの印刷速度を計測したが、結果は「速い!」としか言いようがない。L判フチなしが約30秒、A3ノビフチなしでも約5分15秒くらいだ。

 ドライバ設定の「きれい」と「標準」の違いは印刷解像度だが、少なくとも目視ではインクドットの密度差は判別できないため、通常は「標準」設定がよいだろう。

印刷速度

印刷速度は、紙送り開始から排紙までの時間を計測した。印刷用紙は、L判/A4/A3/A3ノビが純正のプロフェッショナルフォトペーパー、はがきがインクジェット官製はがきで、アドビシステムズの「Photoshop CS」から印刷している。A4普通紙のWeb印刷は、PCUPdateのトップページをInternet Explorerから1ページだけ印刷した。
ドライバの「きれい」設定が品位1で、「標準」設定が品位3となる。A4普通紙の「速い」設定は品位4だ。印刷品位は1〜5まであり、品位1が最高で、品位5がドラフト相当となる。

キヤノンデジタルフォトカラーと染料インクが織りなす至極のフォト画質

 注目の画質へと話を進めていこう。最初に述べておきたいのは、純正フォト用紙への印刷では、インクの粒状感はまったく気にしなくてよいということだ。

 PIXUS iP9910の画質をチェックする上では、発色と階調性が最大のポイントとなり、さらにそれぞれに2つの視点がある。

 1つは、付属の簡単印刷ツール「Easy-PhotoPrint」や一般的なフォトレタッチソフトを使って、ドライバのデフォルト設定で出力したときの画質。もう1つは、アドビシステムズの「Photoshop CS」や「Photoshop Elements」、先述した「Digital Photo Professional」などとPIXUS iP9910の専用ICCプロファイルを利用して、カラーマネジメント出力したときの画質である。

 第1回では、前者の画質を評価していく。後者については、第2回で詳しく触れたい。

付属の簡単印刷ツール「Easy-PhotoPrint」は、印刷画像と用紙サイズ/種類、レイアウトを選ぶだけの操作だ。印刷範囲のトリミングやインデックス印刷も行える。画像サイズや印刷時の画像解像度を考えなくてよいので、複数の画像をまとめて印刷したいときに便利だ
ドライバの「基本設定」タブ。印刷品質で「きれい」を選ぶと、最高画質に設定される
印刷品質で「カスタム」を選んで「設定」ボタンを押すと、印刷品位の詳細設定と確認ができる

 「Easy-PhotoPrint」やフォトレタッチソフトからカラーマネジメントなしで出力する場合、発色は基本的にドライバに一任することになる。ドライバのデフォルト色設計は、「キヤノンデジタルフォトカラー」と呼ばれる記憶色重視の発色だ。

 記憶色とは、人間が頭で覚えている色を意味する。具体的には、空の青を空らしく、肌色を肌色らしくといったように表現することで、好感度の高い発色で印刷するわけだ。以前は少し派手すぎるきらいがあったが、現在はかなり洗練されており、どんな画像でも実に良好な色のバランスで出力してくれる。

 デフォルトではコントラストが高く、やや強いS字型のトーンカーブを描くことで、立体感とメリハリを演出している。

 通常、コントラストを高めると階調性が失われやすいのだが(黒つぶれと白とびが発生しやすい)、PIXUS iP9910は階調性も非常に優秀だ。暗部と明部の微妙な階調をうまく表現できていることは、人物の顔と髪を見るとよく分かる。色飽和にも強いため、画像の細かいディティールや臨場感、立体感の再現性も文句なしだ。

 カラーマネジメントなど難しいことは考えずに、「Easy-PhotoPrint」からデフォルトで出力するだけでもこれだけ美しい写真が得られるのは、大満足である。印刷サンプルを次ページに掲載しているので、自分の目で確認していただきたい。

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