なるほど。直接こうやって切り抜けばいい訳ですね。意外とスイスイ行けるものなんですね。
「ある程度の慣れは必要でしょうが、でも、本物の写真をハサミやカッターで切って貼り付けるよりも、はるかに緊張感なしでいけます。なにしろ、失敗してもやり直しが利きますから。デジタルならではってところです」
「それに、切り貼りした後の位置の移動や編集なども、実際に写真を動かしているというダイレクト感は、ちょっと癖になるかも、と思うほど快感です。こういうことができるなら、先祖返りも悪くはないですね」
写真の修正などもスゴイって言ってましたが?
「そうです。写真の傷を取ったり、部分的に修正したり。銀塩時代はスポッティングと言って、面相筆でちょこちょこと直接写真に描いて直してたんですが、それと同じことがパソコンでできるのがスゴイです。目の前に写真そのものがあるから細かな修正もやりやすい。画質補正や色味の調整などはマウスでもOKですが、デリケートな作業になると、比較にならないほどTabletPCのありがたみが分かります。いや、これには驚きました」
「あと、プリクラ風とか、写真に文字やイラストを描き込みたい場合にもいいでしょうね。PDAやケータイではあったと思いますが、フルサイズのパソコンで簡単にできるというのはちょっと画期的ですね。いや、私はいい歳なので、プリクラ風はやりませんけど(笑)」
なるほど(笑)。では、使ってみて、何か気になる点はありましたか?
「これはソフトが対応していないせいかもしれませんが、ペンを使って操作していると、時々サブメニューが描いている手に隠れて見えなくなっちゃうときがあるんですよ」
この点に関しては、実はこんな設定項目があるのですが、と言って、コントロールパネルの「タブレットとペンの設定」で「メニューの場所」を「右利き(メニューは左に表示)」に設定変更してもらった。これで少しは使いやすくなったのではないだろうか。
「なるほど、ここで設定すればいいんですね。あれ? でも全てのソフトに対応しているわけではないんですね。メニューの出る場所によっては、隠れちゃうときもあります」
この辺は、次期バージョンへの課題ということになるのだろう。TabletPCはまだ生まれて間もない新しいデバイスなのだ。
「もう一つ、これはいいって思ったのが、写真を見るときです。TabletPCって、タブレットスタイルにすると好きな格好で見ることできますよね。今までのパソコンだと、どうしても机の前で、何となくシャンとした感じで見なきゃならないと思うのですが、これならイスだろうがソファだろうがベッドだろうが、好きな場所で見ることができます。この間はトイレでも……」
え? トイレに持っていったんですか?
「いや、どこでも見られる、ということで(笑)。こうしてみると、ノートPCでさえ、手前にキーボードがあるという点で不自由な感じがしてしまいますね。TabletPCで見ているとね、大切な写真とか、手に抱えて見ている感じがなんともいいのではないかと」
「あと、撮った写真をスライドショーで見るときも、ターンオーバースタイルにしておけばみんなで眺めることができるので、これもまた便利です。でも、こういうふうにしてみんなで見ていると、時々タッチパネルと間違えて、画面を指で押したりする人がいるんですよ。まあ、それだけ身近な存在って感じがするのでしょうね」
TabletPCをしばらく使ってもらったが、デジタルカメラユーザーであるシミズさんにはかなりの好感触があったようだ。
「まるでデジタルカメラユーザーのためのパソコンという感じがします。便利で使いやすいことはもちろんなのですが、アナログ的感触というか、ダイレクトに操作している感じが楽しいんです。機械で処理しているという感じがしない。もちろん実際は機械で処理しているんですが、自分の手でやっているという実感が得られるのがいいんでしょうね」
話を聞いていると、改めてデジタルな機械は、進化すればするほどアナログ的な感触を身に付けていくような気がしてくる。ポインティングデバイスの進化の過程も、シミズさんの言うように、ある種の“先祖返り”なのかもしれない。
「カメラマニアというのは、カメラ関連のモノに関しては金銭感覚がマヒする傾向にあるんですよ。レンズにせよ、ですね。TabletPCも、もしかしたらそういう感覚でデジタルカメラのヘビーユーザーに支持されるんじゃないかなと思います。これ、20万円切ってるんでしょ? ついでに(WordやExcelで)仕事もできるし……」
マニアにとっては、PCが得意とするような仕事も“ついで”扱いになってしまうのだろうか……。
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