以上のように、いたってユニークな、そしてECSらしいと言えばこれほどECSらしいマザーボードはないであろう「PF88」であるが、気になるのがそのパフォーマンス。ECSのマザーと言えば、AGPを(公式には)サポートしないIntel 915PマザーにAGPスロットを搭載した「915P-A」やPCI Express x16の外部バスをサポートしないIntel 915GVでグラフィックスカードを差せるようにした「915-A」などの「変態変則マザー」をITmediaでも紹介している。
それぞれに「AGP Express」「PCI Express Lite」というECS独自スロットを利用して実現させた機能であるが、そういった「掟破り」的ユニークさが評価される一方で、独自スロットに差したグラフィクスカードの性能が低下する事実も見逃せなかった。
915P-Aにしても915-Aにしてもマザーボードのパフォーマンスは同じチップセットを搭載したノーマルなマザーと遜色なかったが、PF88では、Elite Busという独自スロットにCPUとノースブリッジ、メモリスロットという、重要なパーツが依存することになる。ECSでは「性能に問題はない」と述べているが、実際のところはどうであろうか。
そこで、今回はPF88にPentium 4 550を搭載した状態とLGA775対応マザー、PF88&A9SにAthlon 64 3500+を搭載した状態とSocket939対応マザーのそれぞれをマザーボードレビューで定番のベンチマーク「SYSmark2004 SP2」「PCMark04(Build 1.3.0)」「Sandra2004 SP2」で比較してみた。
なお、Elite Busが性能に与える影響を評価をするならば、比較用マザーボードのチップセットを「SiS 656 FX」もしくは「SiS 756」でそろえるべきだが、現在入手することができないため、LGA775マザーは「Intel 925XE」を、Socket939マザーは「nForce4 SLI」を搭載した製品を用意している。
LGA775マザー比較のテスト環境 | |
CPU | Pentium 4 550(動作クロック3.40GHz) |
メモリ | DDR2-533/ 512Mバイト×2(ただしバスは1ch) |
ビデオ | GeForce 6600GT |
HDD | 日立GST Deskstar 160Gバイト/7200rpm/Ultra ATA |
OS | Windows XP Professional(英語版) |
ServicePack2、DirectX9c |
LGA775にPentium 4 550、メモリにDDR2-533/512Mバイト×2を搭載した状態で測定した結果を見ると、メモリ周りがDDR2-533/512Mバイト×2chにしては低い値になっているが、これはPF88側のメモリバスが正常に設定にできなかったため。
PF88のBIOS設定には「DDR 128-Bit Access」という項目があって、初期状態でDisable。これをAUTOにしたいところだが、ECSから提供された最新のBIOS(PF8P416.BIN)では、BIOS設定を変更すると起動しなくなる症状が発生するなど、BIOS周りの作りこみがまだ調整中だったために、今回はメモリバスを初期設定の状態(Intel 925XEマザーはメモリを同じチャネルのスロットに差した状態)で測定している。そのため、この結果は参考値として見ていただきたい。
LGA775ソケットで動作している状態で、PF88はノーマルなSiS 656FXマザーとしても見ることができる。そういう意味では「Intel 925XEマザー」「SiS 656FXマザー」の比較でもあるわけだが、全般的にPF88の結果がIntel 925XEマザーを下回る結果となった。
とくにSYSmark2004では、誤差とは言い切れない無視できないほどの性能低下が見られるが、評価機に適用したBIOSの状況から考えると、PF88(もしくはSiS 656FX)の実力を正しく表しているとは考えにくい。なお、PCMark04のHDDもとくに差が大きくなっているが、これは、SiS 965の性能が影響していると考えるのが妥当だろう。
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