COMPUTEX TAIPEIのメインイベントが「何はさておき展示ブース」であるのは事実だが、世界中から報道陣が一堂に集まるこのイベントは、全世界に向けてアピールする絶好の機会。そこで、各メーカーは、展示ブース以外にも隣接するホテルにプライベートブースを設けたり、独自の発表会イベントを開催する。
メーカーによっては「ブースの展示よりもプライベートブースやイベントに力をいれている」といってもいいぐらいで、ブースで見ることができなかった「未発表次期主力製品」をこっそり見せてくれるのも、こういったプライベートブースだったりする。
ということで、きょうのCOMPUTEX TAIPEI 2005レポートは、主要なメーカーが行ったプライベートイベントから、とくに注目したい「ATI」「ギガバイト」「NVIDIA」を紹介していこう。
ATIはCOMPUTEX TAIPEI 2005の初日に発表したマルチGPU技術「CrossFire」の発表イベントを開催。会場は「クラブ」(え、そういう言いかたはもうしないんですか?)スペースを使い、通常の「整然」とした発表会とはぜんぜん異なる雰囲気のなか、ATI社長のデーブ・オートン氏が登場。好調だった2004年の業績と、PCI Express対応グラフィックスカード市場で依然としてNVIDIAに優勢である現状をアピールした。
続いて登場したデスクトップユニットゼネラルマネージャー兼Vice Presidentのリッチ・へイヤー氏はCrossFireの概要を紹介。CrossFireは、チップセット「RADEON XPRESS 200 CrossFire Edition」搭載マザーに用意された「マスター」「スレーブ」2本のPCI Express x8スロットにRADEON X850シリーズ、RADEON X800シリーズを差して使う。
2本のスロットのうちマスタースロットには、専用チップ「CrossFire Composition Engine」を実装した「CrossFire Edition」グラフィックスカードが必要になる。スレーブに差すグラフィックスカードは従来のノーマルカードでOK。異なるGPUを組み合わせてもCrossFireは利用できるが、その場合、パフォーマンスは下位のGPUが基準になる。
ATIが示したデータでは、NVIDIA SLIの性能向上がシングル構成の約1.8倍であるのに対して、CrossFireで動作するRADEON X850 XTはシングル動作の約1.9倍強の性能向上を実現する。
ATIはCrossFireの特徴として、利用できるゲームソフトの多さをアピール。ゲームタイトルごとにドライバへマイクロコードを加えなければならないNVIDIA SLIと異なり、専用のハードウェアで実現するCrossFireはほとんどのゲームで効果を発揮。現在NVIDIA SLIで効果がないゲームタイトルでも、CrossFireでは1.8〜2倍の性能向上を期待できると説明している。
2つのGPUに処理を分割するモードは「1つのフレームを上下に分割」(Scissor)、「連続するフレーム単位で交互に描画」(Alternate Frame Rendering)、「1つのフレームを格子状に分割」(SuperTiling)の3種類をサポートするなど、ここでもNVIDIA SLIとの差別化をアピールしていた。
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