輝度とコントラスト比が色の階調性に与える影響は、製品によって異なる。
輝度から述べると、液晶ディスプレイ内部のガンマカーブがしっかり調整された製品であれば、輝度を変更しても階調は保たれる。一方、ガンマカーブがきちんと調整されていない低品質な製品の場合は、一部の階調が薄く紫を帯びたり、青めになってしまう。
ガンマカーブはユーザーに見えない部分なので、購入時にチェックするのは不可能だ。筆者の経験上、低価格できれいなガンマカーブを備えた製品は皆無に近い。あくまで目安だが、17インチSXGA液晶ディスプレイなら、国内メーカー製で実売5万円を超えるミドルクラス以上の製品が良いだろう。もちろん、細かい階調性をそれほど気にしないなら、神経質になる必要はない。
コントラスト比の数字そのものは、階調性には影響しない。500:1や1000:1という範囲の中で255階調を表現するからである。
ただし、液晶ディスプレイの設定項目でコントラストやRGBバランスなどを調整した場合は別だ。一般的に、コントラスト調整は入力信号のレベル調整で行うため、程度の差はともかく、基本のガンマカーブが崩れて階調性を損なう。今現在、「コントラスト」という調整項目を設けている液晶ディスプレイが少ないのは、こうした理由が大きいと思われる。
補足しておくと、コントラストを調整できる製品の階調性がひとくくりに悪いというわけではない。適度に調整できる製品もあり、最終的にはユーザーの用途と好み次第だ。
実際に製品を選ぶときは、最大輝度は250〜300cd/m2以上が1つの目安となる。19インチ以上の液晶ディスプレイで、少し離れた場所から映像を見る機会が多いなら、より高輝度を謳った製品が良いだろう。
コントラスト比に関しては、今後も高くなっていくのが大きな流れだ。高コントラスト比によるデメリットはないので、なるべく高い製品を選びたい。
輝度についてもう少し述べておくと、調整幅の大きな製品の方が使いやすい。PCを使う時間が長かったり仕事で使う場合は、画面を暗めにした方が目の負担は少なくなるが、OSDで最低輝度に設定してもそれほど暗くならない製品もあるからである。
また輝度は、用途に応じてその都度変更しながら利用した方がよい。映像や静止画の鑑賞では輝度を高くし、Webブラウザやビジネスアプリケーションでは低輝度にするのがお約束だ。最近の液晶ディスプレイは、テキストモードやピクチャーモード、ムービーモードといったように、ワンタッチで輝度や色調を変更できる製品が多いので、うまく使い分けたい。
ナナオの製品でいえば、付属ツールによる自動切り替えの「オートファインコントラスト」機能が便利だ。あらかじめアプリケーションと画面モードを登録しておくと、そのアプリケーションが起動したときに画面モードを自動的に変更してくれる。
次回は「応答速度」を取り上げる。最近もっとも注目されているスペックだが、数値だけでは判断できない部分も多い。業界全体に見え始めた新しい動向も気になるところだ。
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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年3月31日