では注目の転送速度を実際に計測してみよう。検証には以下のマシンとLAN構成にて行った。
CPU | Athlon 64 3200+(ソケット939/2GHz) |
マザーボード | ギガバイト「GA-K8N Ultra9」 |
LANチップ | Marvel 8053 オンボードPCI-Express接続 |
メモリ | PC3200 DDR SDRAM 256Mバイト×2 |
HDD | マックストア「DiamondMax Plus 9」200Gバイト |
OS | Windows XP Professional SP2 |
スイッチ | ギガビットLANスイッチングハブ |
速度検証は、Giga LANDISKに搭載されるFTPサーバ機能を利用し、WindowsクライアントからFTPクライアントソフト「FFFTP V1.92a」(曽田 純氏作 フリーソフト)を用い、使用ファイルに、いまどきの“PC録画派”がTV録画を行っていると当たり前のように扱う機会が多いと想定される約2.5GバイトのMPEG-2データを用意した。なおGiga LANDISKはJumbo Frameにも対応しているが、Jumbo Frame(9014バイト)環境で利用したとしても、筆者環境では目に見えて転送速度が向上することはなかった。
作業完了までに要した時間 | 転送速度 | |||
FTP(FFFTP) | Read | 70秒 | 36.3Mバイト/秒 | 290.3Mbps |
Write | 251秒 | 10.1Mバイト/秒 | 80.9Mbps | |
FTP(Explorer) | Read | 104秒 | 24.4Mバイト/秒 | 195.4Mbps |
Write | 238秒 | 10.7Mバイト/秒 | 85.4Mbps | |
Explorer | Read | 171秒 | 14.9Mバイト/秒 | 118.8Mbps |
Write | 252秒 | 10.1Mバイト/秒 | 80.6Mbps |
計測は読み出し(Read)/書き出し(Write)ともに5回行い、その平均値を表示している。ちなみに読み出し時の経過時間は、計測した5回ともほぼ同一となる70秒と極めて安定。転送速度に直すと約36.3Mバイト/秒、約290Mbpsとなった。同社計測値には若干およばないが、一般的な家庭内環境での計測でも300Mbpsに迫る読み出し性能があることが分かった。
いっぽう、書き込み時は平均で252秒。こちらも転送速度に直すと約10.1Mバイト/秒、約80.1Mbpsとなる。同様に同社計測値には若干およばないものの、それに近い結果が得られた。もちろん読み出し時に要する時間も極めて安定しており、誤差も1秒程度だった。
続いて、Giga LANDISKをネットワークドライブとしてマウントし、Explorer上よりファイルコピーを行ってみた。この場合は、読み出し時間は平均171秒で約14.9Mバイト/秒、約119Mbpsに留まったが、それでも100Mbpsは余裕で超えている。また、書き込み時間は平均252秒で、こちらはFTP使用時とほぼ同じ速度を記録した。
ネットワークドライブとしてマウントする場合での読み書き速度は、既存の競合NAS製品に勝っているかな、どうかな、という感じではあるが、FTPでの読み出しは間違いなく高速だ。
もちろんFTPでは意味がないと人もいるだろうが、Windows XPなどではExplorer(厳密にはInternet Explorerとも言えるが)を用いてGiga LANDISKにFTP接続することもでき、ファイルをローカルHDDにコピーする程度であればそれほど手間がかかるわけでもないともいえる。
たとえば、NASをメディアサーバとして動画・音楽ファイルなどをそのまま視聴するときにはネットワークドライブとしてマウントさせた方法で、ムービー編集時などいったんローカルPCに移動・コピーさせて作業を行うといった場合にはFTP接続で高速に、といった使い方ができる。ちなみにExplorerをFTPクライアントとして利用しても200Mbps近い読み出し速度を記録していることから、あえてFTPサーバ機能を利用する価値も十分にあるはずだ。
また、もう1つのメリットとして、LAN内PC複数台より同時にアクセスした場合のパフォーマンスも挙げられる。テストを行ったマシンは、Intel製100Mbps LANチップを使用したPC2台。1台のPCでファイルの読み出しを行った場合は約70Mbps程度、2台のPCで同時にファイル読み出しを行った場合は双方のPCで約40Mbps、合計すると80Mbpsを超えるスループット値となった。
多くの(比較的安価傾向にある)NAS製品では一般に、複数台のクライアントよりアクセスがあるとトータルスループットが下がってしまうといった逆の傾向となることが多い。この場合は、NASに搭載されるプロセッサの処理能力が十分でなかったり、LANコントローラがプロセッサにかける負担が大きいといった点が原因として考えられる。このような点から、たとえギガビットLAN環境でなくとも、複数台のクライアントからアクセスがあると想定される環境──SOHOやオフィスにおけるグループ単位など──への導入も大いにメリットがあるといえる。
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