暑い時期には低クロックでスローライフ──TyanのGeode NXマザーを試す(前編)CPU&マザー(2/3 ページ)

» 2005年08月04日 15時14分 公開
[河野寿,ITmedia]

ギョエデとはオレのことかとGeodeいい

 K7MがサポートするCPU、Geode(ジオード)はなかなかに波乱に富んだ人生を送ってきたCPUである。その起源は、かつてCyrixにおいて「Media GX」という名前で開発されたチップにさかのぼる。Media GXはノースブリッジを内部に持った組込用のx86互換で、1000ドル以下の安価なPCなどに使うことを目的としたCPUだった。一時期は秋葉原でもマザーボードに載った状態で売られていたこともある。

 Cyrixはその後National Semiconductor(NS)に買収される。NSではMedia GXを情報家電向けのCPUとして利用しようとしたようで、カシオのノートPCに搭載されたり、自社のセットトップボックスに利用した実績もある。そして、このNSの時代にMedia GXからGeodeと名前を変えている。

 その後、Geode部門は再び転売されてしまう。買収したのはAMDである。上から下までのCPUラインナップを持ちながら、なぜAMDがGeodeを買ったのかが不思議がられたものだが、ともあれ、いまではAMDの中の1ブランドとしてGeodeは存在する。

 こういう経緯だから、現在発売されているGeodeもノースブリッジなどを統合したCPUなのかと思うだろうが、Geode NXだけは違う(それ以外のGoede LN/GXなどが昔ながらのGeode路線に相当する)。Geode NXは、もともとはモバイルAthlon XP-M(あるいは単にモバイルAthlon XP)と呼ばれていたThoroughbredコアのCPUにほかならない。ソケットもSocket Aがそのまま使われている。

 現在のGeode NXのラインアップには3種類あって、それぞれNX 1250@6W、NX 1500@6W、NX 1750@14Wと呼ばれる。1250や1500というのがモデルナンバーで、@の後に付くのが平均的な消費電力を示すという。1250と1500は6ワットなのでファンレスでも動作するらしい。なお、それぞれの動作周波数は667MHz、1GHz、1.4GHzになる。また、平均消費電力ではなく、一般的なTDP(熱設計電力)で表示すると下の表のようにやや高めの数値となる。

 従来、こうした低消費電力で汎用的なCPUの分野はVIAのC3の独壇場であったが、Athlon XP系の性能を考えるとGeode NXの登場でこの勢力図が大きく変わってくる可能性がある。

NX 1250NX1500NX 1750
動作周波数667MHz1GHz1.4GHz
平均消費電力6ワット6ワット14ワット
熱設計電力9ワット9ワット25ワット
Vcore1.1ボルト1.0ボルト1.25ボルト

 これら3種類のGeode NXは、すでに市場で流通している。もっとも安いのがNX 1250なのはうなずけるとして、次にNX 1750、一番高いのがNX 1500となっている。動作クロックよりも消費電力を重視しているためだろう。実売価格はNX 1500でおおむね7000円台(現在の実売価格はここを参照)、NX 1750が6000円台(現在の実売価格はここを参照)、NX 1250は5000円台(現在の実売価格はここを参照)といったレベルで、価格的にもVIAのC3シリーズとあまり違いがない。

とにかくありもので組み立ててみる

 Geode NXのシステムは、その性格からして2台めや3台めの、あるいはルータやサーバなどの専用マシンとして運用するケースが多いと思う。

 なので、今回は「すでに退役した手持ちPCからパーツを流用する」といった想定のもと、筆者の手元にあるパーツを流用して組み立ててみた。HDDは160GバイトのMaxtor6Y160PO、メモリはApacerのPC2700/512Mバイト、それに秋葉原で1500円で売られていてあまりにも哀れだったので思わず救済してきた東芝のDVD-ROMドライブ「SDM-1612」という組み合わせだ。

 問題はPCケースだ。フォームファクタがFlex ATXなので、これにぴったりあうようなケースは、さすがに秋葉原のパーツショップといえどめったに見かけない。そこで、ENERMAXのコンパクトケース「CS-10068B」が手元にあったので、とりあえずこれに収めてみた。本来はmicro ATX用だが、Flex ATXのマザーボードももちろん収まる。値段も比較的お安く、つくりも悪くないケースだ。

「とりあえず」使うことになったEnermax「CS-10068B」だが、ケースのつくりそのものはよくできている

で、microATXケースにFlexATXマザーボードを収めてみた

 ケースにマザーを収める前に、Geode NX 1750をソケットに差してCPUファンを取り付ける。最初に銅でできた大きめの静音ファンを載せてみたところ、隣のチップセット用ヒートシンクに干渉して取り付け不可能だった。

残念、チップセットのヒートシンクに干渉する

 いくつか手持ちのCPUファンを付けてみたが、周りのコンデンサにぶつかったりして、なかなかうまく収まるものがない。今回のNX 1750は25ワットなのでCPUファンを取り付ける人が多いだろうが、9ワットのNX 1500をファンレスで運用しようとするときなどは、ヒートシンクが大きくなるのでさらに注意が必要だろう。

 結局、うまく収まったのは150円でわんこ買いしたが、あまりにうるさいので放置してあったファンである。うるさいことこのうえもないのだが、背に腹はかえられない。

そういうわけで、CPU周りはけっこう混雑している

 マザーボードをPCケースに収めてみる。microATXのマザーに比べるとスカスカだが、とくにがたつきなどはなさそうだ。HDDやDVD-ROMドライブなどを配線して電源を入れると、あっさりとBIOSが起動した。

もしやあなたはAthlon?

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