見えてきた次世代デュアルコアプロセッサIDF Fall 2005(2/2 ページ)

» 2005年08月29日 08時30分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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明らかになった次世代アーキテクチャ情報

 さて、では電力あたりのパフォーマンスを重視した新しいIntelアーキテクチャとはどのようなものなのだろうか? 登場はまだ1年先ということもあり、Intelはあまり多くの情報を公開していない。

 公開している情報をまとめると

  • より高性能はアウトオブオーダー実行エンジン(アーキテクチャ名は未定)
  • より進んだ省電力機能
  • マルチコアに最適化したキャッシュメモリシステム
  • メモリアクセス効率の改善

の4つに加え、SSE系のマルチメディア命令のパフォーマンス改善やEM64T(64ビット命令)のサポートなどだけだ。

マイクロアーキテクチャの変遷 Intelマイクロアーキテクチャの変遷
すべてのプロセッサは次世代アーキテクチャで作られる 以前はジェネレーションや目的ごとに異なるマイクロアーキテクチャを用いていていたが、今後、インテルは省電力に特化した新アーキテクチャに統一し、それをユーザーニーズごとにカスタマイズしてプロセッサを作り上げていく

 実行エンジン部分は4命令同時発行(SSEや浮動小数点を含まず整数演算のみで4命令同時)、より多くの命令バッファ、14段のパイプラインといったパラメーターが公開された。整数命令の同時発行数は2倍となっており、おそらく整数演算の実行ユニットもそれに伴い増加しているとみられる。また命令バッファを増やし、スケジューリングやμOpsフュージョンといった部分に手が加えられていそうだ、という程度までは垣間見える。

 一方、より進んだ省電力機能に関しては、その1つの例として「ノーマリー・オフ」を挙げていた。つまりプロセッサの各部はデフォルト状態で電源をオフにしておき、利用するときだけオンにするという節電対策である(もちろん、他にも多くの工夫が施されているのだろう)。これはBaniasの時も同じだったが、奇をてらった省電力対策を行うのではなく、細かく徹底的に広く知られている省電力対策を実装していくのがイスラエルの開発チームの特徴のようだ。

 マルチコアに最適化したキャッシュメモリシステムとは、各コアがひとつのコアを共有し、なおかつキャッシュサイズを可変にできるといったYonahでの特徴に加え、異なるコアの1次キャッシュメモリ同士でダイレクトに内容を転送する機能などが加わるもの。メモリアクセスの面ではプリフェッチ機能の強化やメモリアクセスの最適化などで効率を上げる工夫を施す。

 もちろん、これ以外にも多くの機能が加わっているそうだが、これらの結果、消費電力あたりパフォーマンスはYonahの1.5倍に達する。仮にYonahとMeromの平均消費電力が同じと仮定するなら、MeromはYonahよりも1.5倍高速にプログラムを実行できることになる(あるいは消費電力が下がるなら、速度差はもう少し縮まる)。

 Intelはこの新しいアーキテクチャに賭けていると言っていい。なにしろサーバからノートPC、さらに将来はこのアーキテクチャ上でハンドトップPCまでカバーしようというのだ。同時にマルチコアの特性を活かし、別の仮想マシンでセキュリティ監視を行うソフトウェアを動かしておき、ウイルスやワームの活動を監視するといったマルチコアの用途開発にも力を入れている。

 まだ名前のないこのマイクロアーキテクチャは、少しづつ改良を加えながらもメニーコアの時代にも引き継がれる事になるだろう。これからは1コアを複雑化するのではなく、シンプルにまとめながらプロセッサの数でスケーリングさせる。数年後には目的に応じて新マイクロアーキテクチャと特定用途コアを組み合わせ、それをニーズごとにカテゴライズしたプラットフォーム用プロセッサへとブレークダウンする製品構成となりそうだ。

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