デュアルコアを“沈黙”させる水冷PC──NEC「VALUESTAR X VX980/DD」(1/2 ページ)

» 2005年09月06日 17時38分 公開
[八木慎伍,ITmedia]

 VALUESTAR XはVALUESTAR TXの後継機種としてデビューしたタワー型PC。デュアルコアのPentium Dを得意の水冷システムで静かに冷やす。先日発表されたNEC Direct専用モデルの「VALUESTAR G タイプC」も水冷タワー型PCだが、こちらはデザインにこだわったスリムタイプのため、5インチ、3.5インチベイの数やPCIスロットの数が少ない。VALUESTAR Xはより高機能を追求するユーザー向けのモデルと言えるだろう。

今回評価するのは上位機種のVX980/DD。地上アナログ/デジタルに加えBS・CS110度デジタル放送に対応する

新しい水冷システムによる高い静音性能

 VALUESTAR Xで注目したいのは、今度のモデルで新しくなった水冷システムが、熱設計電力(TDP)130ワットにもなる熱いPentium Dを、いかに静かに冷却するかだ。早速電源を入れてみると、ほかのPCでありがちな、「電源投入時にファンが高速で回転して出すノイズ」もなく、水冷らしい“静かな”立ち上がりを見せる。静かな個人の部屋でも、エアコンのほうが気になるぐらいで、VALUESTAR Xの動作音が耳につくことはまずないと思っていいだろう。

 改めて本機の構成を見てみる。新しく開発された水冷機構にデュアルコアを冷やすための苦心が伺える。従来は12センチのファン1つで、電源とラジエータを一緒に冷していたが、本機では12センチファンを別々に用意。騒音源である冷却ファンが倍になっているのだが、両方ともかなり低回転で回っているのか、正直ファンの音は従来とさほど変わりを感じなかった。

 重負荷状態の状況を見るために、長時間デュアルコアを効率よく使う代表的なソフトでる「TMPGEnc 3.0 XPress」を使ったMPEG-2エンコード処理を行ってみたところ、5分過ぎぐらいから「カチカチ」という音がかすかに聞こえてきた。これは水冷システムを駆動するポンプの動作音と思われる。しかし、冷却ファンの回転音は耳で分かるほど大きくならない。「フル動作時30デシベル以下」のカタログスペックは伊達ではない。

 この秘密は、第三世代とNECが呼ぶ新しい水冷システムのラジエータ部にあるようだ。カバーを外さないと見えないが、12センチファンの直後に配置されたラジエータは、従来のような、縦に走った単純な冷却フィンを持つ構造ではなく、車に使われているラジエータと同じ、細かく曲がり表面積も大きい「コルゲートフィン」を採用、熱交換率は従来の1.6倍まで改善している。デュアルコアを“黙らせる”ために、水冷ユニットも進化を果たしているのだ。

前面にはカバーに隠されたインタフェースが用意されている。PCカードスロット、ExpressCardスロット、メモリースティック、SDカード、xDカード兼用スロット、USBにIEEE 1394など、差し込み系がそろっているので使い勝手はよい。

背面は標準的なインタフェースが並ぶ。PCIにアナログチューナー搭載、デジタルチューナー搭載それぞれのキャプチャーカードが組み込まれているのが分かる

コルゲートフィンを採用したラジエータは電源とは独立したファンで冷却される。しかし、本体の奥行きは50センチとタワー型としても、かなり大きい
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