このように、Linuxでもこのシステムが有効なことがわかった。しかし、サーバを使うのは一般的とは言いかねる面もあるので、もう少し実用的なことを考えてみる。
たとえば、「MythTV」というソフトウェアがある。LinuxやFreeBSDで動作するマルチメディアコンテンツの操作ソフトで、簡単に言えば市販のメディアプレーヤー(マイクロソフトのアレではなくて、ハードウェアの製品のほう)をPCで実現してくれるソフトである。
これを、先のFedora Core4に入れてみる。
MythTVも登場当初はインストールするだけでもひと苦労だったが、いまはFedoraからyumを使えばインストール(だけ)は簡単にできるようになった。
手順は、yum.confにサードパーティのリポジトリを設定し、MythTVのスイート(丸ごとパッケージ)をインストールするだけだ(その前にrpm --import で「ATrpms」の署名鍵をインストールしておく)。
[atrpms]
name=Fedora Core $releasever - $basearch - ATrpms
baseurl=http://dl.atrpms.net/fc$releasever-$basearch/atrpms/stable
#yum install mythtv-suite
このあと、MySQLの設定を行い、MythTVのセットアップを行う。このあたりの過程を説明するとそれだけで書籍にしなければならないほどややこしいので、Webサイト、あるいはMythTVの書籍を参考にしてほしい。
MythTV自体の設定も面倒だが、最大の難関はキャプチャカードを使えるようにすることである。インターネットでMythTV関係のサイトを調べてもらえば、先人がこの問題でいかに苦労をしてきたかが分かるだろう。最も無難なのは、すでにたくさんの実績があるカードを使用することであろう。なかでも「ぱ研さん」たちの努力によって作られたドライバならば、ハードウェアエンコードのカードが使用できる。現時点ではこれが一番のお奨めだ。
とはいえ、今回は手持ちのパーツを使いまわすことにした。どこで買ったのかもよく覚えていないV-STREAMのキャプチャカード(ソフトウェアエンコード)である。使われているチップはSAA1730で、さほど奇をてらったものではない。
結果としては、/etcのmodprobe.confに以下のような行を書き込んでOKだった。ただ、すでにネットで動いた実績のあるパラメータであっても、動かないケースもあるようなので、とにかくトライ&エラーでコツコツと探っていくしかないようだ。
キャプチャカードが認識できると、MythTVでテレビが視聴できるようになる。
alias char-major-81 saa7134
alias /dev/v4l saa7134
options saa7134 card=10 tuner=43
MythTVの楽しいところは、テレビの視聴や録画ができるだけではなく、DVDやCDの再生やリッピング、Webブラウズやニュース、天気予報の視聴もできてしまうことだ。あたかもセットトップボックスのように、このソフトの中で完結しているシステムなのが面白い。
MythTVが動いたところで、消費電力を測ってみた。なお、V-Streamのカードだけで3ワットの増加要因となっている。録画予約をセットしたアイドル状態では49ワット、録画が始まると65ワットとなった。録画中はCPUだけではなく、HDDも酷使しているので、単にSuper PIで消費電力を測定するよりは高めに出るようだ。なお、ソフトウェアエンコードカードの場合には、動画の圧縮形式はMPEG-4かRTjpegになる。
昨今ではHDD/DVDレコーダの価格がかなり低下しているので、MythTVであえてHDDレコーダを作る意味があるのかどうかは判断に迷うかもしれない。しかし、「好きなだけHDDを増設できる」「ギガビットLANが使える」「フロントエンドで遠隔地から操作できる」など、PCを使うことでもたらされる利点もある。心とお財布に少しばかりの余裕があれば、こういうシステムで遊んでみるのも悪くはないと思う。
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