ノートより静かな省スペースデスクトップ──NEC「VALUESTAR G タイプ C」(4/4 ページ)

» 2005年09月16日 10時03分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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安心して使える静音PCが欲しいユーザーへ

 水冷を採用している以外に特殊な機能は搭載していないため、パフォーマンスはスペックから概ね導き出せる。とはいえ一応定番ベンチマークを走らせて見たが、PCMark05も4000近いスコアと水準。検証に使った製品にはGeForce 6200 wTC(ファンレス)を搭載したグラフィックスカードが組み込まれていたが、3D描画性能もまずまず。最新のヘビーな3Dゲームを高解像度で楽しむには物足りないだろうが、静音性能とのバランスを考慮するとファンレスが一般的なGeForce 6200 wTCクラスのグラフィックスカードをBTOで用意しているのは妥当といえる。

 本機をベースに静音性能を維持したままさらに高パフォーマンス、と意気込むユーザーもいるかも知れないが、この点に関してはあまり過剰な期待はしないほうがいいだろう。最上位ベースモデルのCPUこそPentium D 820だが、より高クロックな830/840になると急激に消費電力が高くなり発熱も大きい。今回の検証ではCPUフル稼働時で温度は68〜69度程度で安定していたが、この温度はCPUがフルに稼動する(Presscott以降のPentium 4では、発熱が過大になると処理を間引いて発熱を抑制する)限界に近いためだ(無論将来的にはステッピングやプロセスの変更で省電力の進んだ上位のPentium Dを搭載することもあるだろうが)。

 BTOでありながら本機でもっとも高性能なベースモデルのCPUがPentium D 820なのは、現状で冷却性能と静音性のバランスを考慮した上ではないかと思われる。またグラフィックスカードのアップグレードに関しても組み込めるのがロープロファイル仕様に限られることを考慮すれば、現状で選択肢は広くない。少なくともファン付のグラフィックスカードに入れ替えるのはナンセンスだ。

 基本的にはBTOで好みの構成にしてそのまま使う、が正しいと思われる「VALUESTAR G タイプC」だが、検証でも述べたように静音性能はすこぶるよろしい。検証作業では脇でPentium M 1.4GHzのノートPCを使っていたが、ノートPCのファンが動作するとこちらのほうがうるさく、動作音の確認時にはいちいちノートPCの電源を落としたほどだ。

 これらのことは、すべて単に水冷を導入しただけはなく最初からそれを前提にしたシャーシーやマザーボードを採用してこそ実現できたのである。同社の水冷システムに関しては実績がもたらす安心感も加わる。パフォーマンスは必ずしもハイエンドでなくてもいいから、静かでコンパクトなデスクトップPCが欲しい。そういったユーザーには、極めて魅力的な製品であることは間違いないだろう。

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