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» 2005年10月12日 00時00分 UPDATE

ITmedia流液晶ディスプレイ講座 第4回:TN? VA? IPS? ──液晶パネル駆動方式の仕組みと特徴を知ろう (1/2)

過去3回の「ITmedia流液晶ディスプレイ講座」でも、液晶パネルの駆動方式について軽く触れてきた。スペックにはまず表記されないが、画質や応答速度の傾向を決める重要な要素だ。今回は、代表的な駆動方式の簡単な仕組みと特徴、およびスペックシートや店頭での見分け方を解説していこう。

[林利明,PR/ITmedia]
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駆動方式で差が出る視野角と応答速度の特性

 液晶パネルの駆動方式は、TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In-Plane-Switching)方式の3種類に大別できる。PC用の液晶ディスプレイでもっとも採用が多いのはTN方式で、VA方式、IPS方式と続く。一概には言えないが、低コストの順にTN方式→VA方式→IPS方式、PCでの静止画表示に利用するなら、高画質の順にIPS方式→VA方式→TN方式と思ってよい。

 液晶パネルのごく基本的な仕組みを説明しておこう。液晶パネルは米粒のような形をした液晶分子に電圧をかけ、液晶分子の向きを変えて光の量を制御している。ここでいう光の量とは、バックライトの光が液晶分子を超えて画面に届く量だ。バックライトの光が液晶分子ですべて遮断されれば、画面は「黒」になる。逆に、すべて通過すれば画面は「白」だ(実際は光の漏れや拡散が生じるため、100%の遮断や通過はあり得ない)。この原理は、どの駆動方式でも共通だ。

 TN方式、VA方式、IPS方式という駆動方式によって異なるのは、液晶分子の配置方法と、電圧による液晶分子の動かし方だ。駆動方式の違いが大きく影響するのは、視野角と応答速度の特性である。この2点を中心に、まずは現在の主流であるTN方式を述べてから、TN方式と比較するかたちでVA方式とIPS方式について解説していこう。

TN方式の仕組みと特徴

 図1は、TN方式の液晶分子配列を簡単に模式化したものだ。電圧がOFFのとき[(C)]は液晶分子が水平に並び、バックライトの光を通過させて画面が「白」になる。この状態で徐々に電圧をかけていくと、液晶分子が垂直に立ち上がっていき、最大電圧になったとき[(A)]にバックライトの光を遮って画面が「黒」になる。感覚的には、液晶分子が水平のとき(電圧オフのとき)にバックライト光を遮断するように思えるが、液晶分子を挟む偏光板と液晶分子の「ねじれ」(90度)によって、上記のような光の経路となる。

図1:TN方式の液晶分子配列の模式図。(A)が最大電圧、(C)が電圧OFF

 TN方式のメリットは駆動電圧とコストが低いこと、デメリットは視野角による色変化や輝度変化が大きいことだ。視野角については、図1の(B)を見ると分かりやすい。液晶分子の角度でバックライト光量を調整しているため、(B)のように画面を見る角度によって透過してくる光量が異なってくるからである。つまり、色を重視する用途には向かないということだ。

 もう1つ、TN方式の応答速度は、一般的に立ち上がり(黒→白)が遅く、立ち下がり(白→黒)が速い。さらに、立ち上がり/立ち下がりと比較して、中間調の応答速度が急激に低下するという傾向もある。このため最近では、中間調の応答速度を改善するオーバードライブを搭載することで、動画の表示品質を高めた製品も増えている。

VA方式の仕組みと特徴

 VA方式の液晶分子配列は、図2の通りだ。電圧がOFFのとき[(A)]は液晶分子が垂直、最大電圧のとき[(C)]は水平に並ぶ。画面の状態は、電圧OFFが「黒」、最大電圧が「白」だ。

図2;VA方式(マルチドメイン)の液晶分子配列の模式図。(A)が電圧OFF、(C)が最大電圧

 VA方式の大きな特徴は、電圧OFFのときはバックライト光が液晶分子の影響を受けず、偏光板でほぼ完全に遮断されることだ。つまり、かなり純粋な「黒」を表現でき、コントラスト比を高くしやすい。

 一方、視野角による輝度変化と色変化は、TN方式と同様の弱点を抱える。液晶分子の角度でバックライト光量を制御するため、見る角度によって透過してくる光量が違ってしまうからである。

 応答速度も、TN方式と同じ傾向だ。立ち上がり(黒→白)は遅いが、立ち下がり(白→黒)は速く、中間調では立ち上がり以上に遅くなる。VA方式の液晶ディスプレイでも、オーバードライブ搭載で中間調の応答速度を高めた製品が登場している。

 VA方式の液晶パネルでは、視野角特性を改善するために、液晶分子の「配向分割技術」(マルチドメイン)を組み合わせたものが多い。マルチドメインでは、液晶分子が垂直−水平を行き来する際に傾く方向を、範囲によって正反対にしている。簡単にいうと、範囲Aでは液晶分子が右に傾き、範囲Bでは左に傾くといった感じだ。それぞれの範囲内だけを見ればTN方式と同じ視野角特性が存在するが、画面全体の光量を平均化することで、視野角による色変化を大幅に抑制できる。

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