今年の強化点に、コピー性能の向上がある。色再現性、原稿細部の再現性(ディティール)、階調再現性、文字の読みやすさを従来モデルから改善している。具体的な機能として実装されているのは、自動濃度調整コピーだ。その効果は以下のコピーサンプルで示している。コピーしたものをさらにコピー(孫コピー)しても、小さい文字の判読性がさほど落ちないというのは、キヤノンがアピールしているポイントだ。また、サンプルは掲載していないが、カラー原稿の色再現性とディティールの再現性も、なかなかのものである。
液晶メニューの第1階層では、コピー部数と濃度を設定する。新機能の「自動濃度調整コピー」を有効にすると、濃度は「オート」と表示される。モノクロとカラーは、それぞれのスタートボタンによる使い分けだ。
コピーメニューには、いろいろなバリエーションコピーが用意されている。両面コピー、フチなしコピー、2枚/4枚の原稿を1枚の用紙に縮小割り付けコピー、繰り返しコピー(名刺などの原稿を大きな用紙に等倍で複数割り付け)、CD/DVDレーベルコピーといった機能だ。
自動濃度調整コピーは、キヤノンの新作複合機の全モデルが搭載する。原稿の内容を判別して、トーンカーブを調整してコピーする機能だ。文字が主体の原稿なら、コントラストを高めて裏写りや背景の色を消し、白地に黒い文字という見やすいコピーに仕上げる。文字とグラフィックが混在した原稿は若干のコントラストアップ、グラフィック主体の原稿は再現性重視のコピーだ。掲載したサンプルを見れば、自動濃度調整コピーの効果が一目瞭然だろう。
・自動濃度調整サンプル
トップメニューの項目は、1枚ずつ見て印刷、まとめて印刷(任意の画像を任意の枚数で印刷)、いろいろな印刷、CD/DVDレーベル印刷だ。よく使うのは「まとめて印刷」だと思うが、画像の表示は1枚単位のみとなる。せっかくの大型液晶モニタなのだから、サムネイルの複数画像表示で印刷画像と枚数を選べる操作もほしかった。
いろいろな印刷で行えるのは、手書きナビ、レイアウト印刷、シール紙印刷、すべてを印刷、インデックス印刷、DPOF印刷、撮影情報印刷といった各機能だ。手書きナビは以下にサンプルを掲載している。レイアウト印刷は選択肢が豊富で、1枚の用紙に2〜8枚の画像を割り付けたり、はがき文面の上半分に画像を印刷する絵はがきレイアウト(下半分に文章用の横罫線を加えることも可能)、用紙の右半分や左半分に4枚の画像を並べるアルバムレイアウトなど、なかなか使い出がある。撮影情報印刷は、画像1枚かインデックス形式のレイアウトに、画像のExif情報を加えて出力する機能だ。
・手書きナビと作例
手書きナビシートに印刷されたベース画像と手書きエリアの縦枠/横枠には、簡単な目盛りが振られている。この目盛りは、ベース画像に重ねる手書き文字/イラストの位置合わせに役立つ。位置合わせに関しては、エプソンの新しい手書き合成シートのほうが優れている。
紙焼き写真の焼き増しコピーと、フィルムからのダイレクト印刷が可能だ。スキャンした画像を、メモリカードに直接保存することはできない。
紙焼き写真では、原稿台に最大4枚の写真を載せて、まとめて処理できる。プレビュー後のメニューでは、メモリーカードモードと同じように、1枚ずつ見て印刷、まとめて印刷(任意の画像を任意の枚数で印刷)、いろいろな印刷、CD/DVDレーベル印刷が選べる。フィルムの場合、最初にカラーネガや白黒ネガ、カラーポジといったフィルム種類を選択する以外は、紙焼き写真と同じだ。
スキャンモードはPCとの連携だ。メニューの項目は、パソコンに保存、PDFファイルで保存、メールに添付、アプリケーションで開く、フィルムスキャンで保存の5つ。好きな項目を選んでスタートボタンを押すと、PC上で付属ソフト「MP Navigator」が起動し、それぞれの動作をほぼ自動的に実行する。どの項目を実行するにしても、MP950のスキャンモードから操作するよりは、PC上のMP Navigatorを直接使ったほうが快適だ。
また、キヤノンの複合機やスキャナ製品は、PDF作成機能が充実している。複数枚の原稿をまとめて1つのPDFファイルで保存したり、OCRを実行してテキスト選択可能なPDFファイルも作成可能だ。MP Navigatorで作成したPDFファイルなら、あとからでも新しいページを追加できる。
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