第2回 「アキバブランド」という考え方とその価値PCパーツショップが考える秋葉原ブーム(2/3 ページ)

» 2005年12月27日 09時00分 公開
[岩城俊介&古田雄介(アバンギャルド),ITmedia]

アキバがとくに熱かった時代

 では、先ほど複数のショップがあの頃は……と挙げたWindows 95から98の時代をちょっと振り返ってみよう。

 1995年、Windows 95のリリースでPC市場が劇的に拡大した。深夜の発売開始イベントに人が詰めかけ大々的に報道もされた。なお流行語大賞に「インターネット」が選ばれ、28.8Kbpsダイヤルアップ接続、ないしISDNにより個人にもインターネットが利用されはじめた。当時のアキバにおけるPCパーツ主役はCPU。1996年からPentiumの166MHzタイプやMMX Pentiumが登場し、ソケットがSocket 5からSocket 7へ移行した。

photo Windows 95登場後まもない1996年1月にリリースされたPentium/166MHz。初回の標準価格は8万310円だった。2005年現在の価格はジャンクショップで、つかみ取り〜100円ほど

 Windows 98リリースともに、自作パーツ市場もさらに盛り上がった。やはり主役はODPキットなども含むCPUで、インテルとAMDのほかにCyrixやCentaur Technology(IDT、現VIA)なども製品を投入していた。

 当時を振り返り、某ショップ店長氏は「まだ店舗を出しておらず、リアルユーザーの頃でした。当時は売れ筋CPUが200〜300MHzで勝負していた時代。CPUを決めてからほかのパーツを選ぶといった時代でしたね。コンピュータを自分の好み・予算で構成し自分で作れる、この楽しさを伝えたい。このことが店を出す動力源となりました」と話す。

 MMX Pentiumなど売り上げはインテル優勢だったが、当時の自作ユーザーは同等パフォーマンスで安価傾向であるAMDのAMD-K6などにも大いに注目しオーバークロックにチャレンジしたりと、いわゆる“つるし”のPCとは違う楽しさを見いだすこともできた。

photo Windows 98が登場する頃にヒットしたAMD-K6/200MHz。初回の標準価格は4万5000円で、2005年現在の価格は100〜200円

 なお、グラフィックスカードが大きく注目され始めたのはWindows XPが登場する前後頃からで、こちらも華になっていく。なおCPUよりも高価なグラフィックスカードがヒットするようになったのは、3Dネットゲームが流行してからなのでごく最近のことだ。

 今年、PC系では珍しくなった深夜販売イベントとしては4月に行われた、Windows XP Professional x64 Editionの販売イベント(関連記事参照)が思い出される。「少なく見積もっても1万〜2万人は集まった」(T-ZONE.PC DIY SHOP)というPC市場が劇的に広がったWindows 95/98登場時イベントの盛況さを思い出すと、そもそも大多数のユーザーをターゲットとしないハイエンドユーザー向けのバージョンとなるので単純には比較できないが、このイベントに参加した店舗はわずか5店舗だけだった。

 その際に聞いた「これで少しでも電気街が盛り上がれば、それで成功です」(ドスパラ秋葉原本店)の声は、現在のアキバの状況を端的に示していたといえるのか。──PCパーツが思うように売れないことへ。

photo 4月23日深夜0時に行われたWindows XP Professional x64 Editionの販売イベント。Windows 95/98の発売イベントと比較すると規模も小さいが、ひさびさのPC系深夜イベントを、コアなユーザーや店員が楽しんだ

Web通販でかいま見える“アキバブランド”の価値

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