きょうは65ナノにシュリンクされた新世代Pentium Dの費用対効果に感心したCPU(2/6 ページ)

» 2006年01月06日 11時00分 公開
[笠原一輝,ITmedia]

初期出荷バージョンでは「C1E」と「EIST」の動作に要注意

 ただし、現時点でPentium D 9xxシリーズを利用するにはいくつか注意が必要だ。いわゆる「バルク」といわれるCPUが単体で販売されているPentium D 9xxでは、マザーボードによって問題が発生する。

 従来のIntel 945G、またはIntel 945Pを採用したマザーボードと組み合わせる場合、PreslerコアのPentium Dにおいて動的に電圧を切り替える機能が上手く働かない症状が報告されている。そのため、この機能が関連するEIST(Enhanced Intel SpeedStep Technology)やC1E(拡張版C1ステート)などが上手く利用できない。この問題を回避するには、BIOS側でこれらの機能をオフにしてやる必要がある。

 以上のような状況から、Pentium D 9xxシリーズを、従来のマザーボードで利用する場合、BIOSアップグレードが必要となる。Pentium D 9xxシリーズを購入したユーザーは、一緒にマザーボードベンダから対応BIOSを入手する必要があるのだ。

 ただし、これらの制限は「バルク」といわれるOEMベンダに対して大量出荷されるバージョンでの問題だ。「BOX版」「リテール版」と呼ばれている製品では、最初からEISTやC1Eがオフにされて出荷される。ただ、BIOS側で新しいCPUを認識することができない可能性はあるため、従来のIntel 945G/Pを搭載するマザーボードで利用する場合には、BIOSをアップデートしておくのが無難だろう。

 C1EやEISTが現在利用できないため、Pentium D 9xxは消費電力に関してやや不利になる。今回の評価で使ったPentium D 920の動作クロックはたまたま2.8GHzなので、EISTを有効にしても下限クロックが2.8GHz(LGA775プラットフォームのPentium 4/Pentium D系の下限倍率が“14”なので動作クロックは2.8GHz以下はならない)となり、そもそもEISTを有効にする意味はないのだが、それでも、アイドル時の消費電力を下げる「C1E」と呼ばれるC1ステートの拡張機能も効かないため、アイドル時の消費電力が従来のPentium Dに比べてわずかながら上昇している。

 実際に、システム全体の消費電力を、電力計(ワットチェッカー)で計測してみると、次のようになっていた。

Pentium XE 955(3.46GHz,DC,HT)Pentium D 920(2.8GHz,DC)Pentium D 820(2.8GHz,DC)
アイドル時142150111
エンコード時225219196
3DMark05ゲーム1199200164

Pentium 4 670(3.8GHz,HT)Pentium 4 660(3.6GHz,HT)Pentium 4 650(3.4GHz,HT)Pentium 4 640(3.2GHz,HT)Pentium 4 630(3GHz,HT)
アイドル時106105105105105
エンコード時216216213210199
3DMark05ゲーム1203199195191184

Athlon 64 X2 4800+(2.4GHz,DC)Athlon 64 X2 4400+(2.2GHz,DC)Athlon 64 X2 3800+(2GHz,DC)
アイドル時107107107
エンコード時176176151
3DMark05ゲーム1173172165

Athlon 64 FX-57(2.8GHz)Athlon 64 FX-55(2.6GHz)Athlon 64 4000+(2.4GHz)Athlon 64 3700+(2.2GHz)
アイドル時93939393
エンコード時160160158150
3DMark05ゲーム1165165164160
 消費電力計測(単位:ワット)

 なお、Pentium D 920においてBIOS側から強制的にC1Eを有効にした場合、アイドル時の消費電力は138ワットに減少した。こうしたことからも、C1Eを無効にしなければならないことで起こる「不利益」はそれなりにあるといえるだろう。

 なお、OEMベンダ筋の情報によれば、この問題は将来出荷されるPentium D 9xxでは修正される予定とされているが、それがいつになるのかについて、今のところ明確にされていない、とのことだ。

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