「3DMark06」のツボを押さえる(2/3 ページ)

» 2006年01月27日 18時42分 公開
[元麻布春男,ITmedia]

 HDR/SM3.0テストのうち「Canyon Flight」は、3DMark05においてSM2.0対応のテストとして提供されていたが、3DMark06ではHDR/SM 3.0対応にコードが書き直されている。3DMark05のドラゴンはまるで化石のような描写だったのに対し、3DMark06では禍々しい赤いドラゴンになった。太陽の光や水面の反射などにHDRの効果を見ることができるテストだ。

 今回新たに加えられたDeep Freezeは、南極の観測基地を舞台にしたもので、コントラストの強い雪景色はまさにHDRならでは。地吹雪の表現や、まぶしい太陽光の描画に注目だが、細いアンテナや架線はアンチエイリアスの効果が一目で分かるポイントでもある。HDR/SM3.0スコアは、Canyon FlightとDeep Freezeの2つのテストから導き出される。

3DMark06のCanyon Flight。ドラゴンがリアルになった

こちらは3DMark05のCanyon Flight。石でできたようなドラゴン

3DMark06で追加されたDeep Freeze。太陽と影が生み出す強いコントラストの表現はHDRレンダリングならでは

フリー版のデフォルト解像度が1280×1024ドットに

 これら4つのテストはいずれも非常に重く、3DMark06が推奨するスペックを満たしたシステムでも1ケタのフレームレートしか出ない。これから登場する高性能ハードウェアに対応するためには、これくらい重くしておく必要があるのだろうが、チップセット内蔵グラフィックスコアを用いたノートPCでは、もはや歯が立たない。

 テストのデフォルト解像度が1280×1024ドットに引き上げられたことも、ノートPCでのテストを難しくしている(有償のAdvanced Edition以上であれば解像度の変更を含む設定変更が可能だが、無償のBasic Editionでは変更できない)。

3DMark 06で推奨されるシステム
動作クロック2.50GHz以上のCPU
Direct X 9互換で、Pixel Shader 2.0以降をサポートし、256Mバイト以上のビデオメモリを搭載したグラフィックスカード
1Gバイト以上のメインメモリと1.5Gバイト以上のHDD空き容量
32ビット版のWindows XP
2005年10月以降のDirect X 9.0cランタイム
2005年10月以降のDirect X 9.0c SDK(Advanced Edition以上でサポートされるImage Qualityテストを実行する場合)
Microsoft Excel 2003/XP(テスト結果をExcelの表として出力する場合、Advanced Edition以上)

 CPUスコアを算出するCPUテストは3DMark06で一新された。3DMark05のCPUテストは、Canyon FlightをソフトウェアVertexShaderで実行するものだったが、3DMark06のCPUテスト「Red Valley」では、ゲームロジックやグラフィックス処理に加え、深い谷間を進む87のオブジェクトの進路計算をそれぞれ独立したスレッドで行うことが特徴だ。

 このスレッド処理の実装によって、CPUの同時実行可能スレッド数が問われることになり、マルチコアCPUの能力がCPUスコアにより反映されやすくなっている。さらに、トータルスコアである3DMark Scoreは、これらのテストをすべて総合したものとして算出されるため、3DMark05よりもマルチコアCPUの影響は大きくなったといえる。

3DMark06のCPUテストであるRed Valley。グラフィックスハードウェアの与える影響を小さくするため、VGA解像度で実行される

 上述したように3DMark 06は、従来どおり無償で入手できるBasic Edition、19.95ドル(ダウンロード版)のAdvanced Edition、490ドル(同)のProfessional Editionの3バージョンが用意されている(ダウンロードサイズは約580Mバイト)。

 Basic Editionでは設定の変更ができないほか、起動時に必ず広告が表示され、3DMark Scoreとは関係しないフィーチャーテスト(3Dグラフィックスの個別機能のテスト)やフィルタリングテスト(テクスチャフィルタリングの効果を確認できる)、さらに今回から加わった簡易ゲーム(CPUテストに使われるRed Valleyをユーザーが操作可能にしたもの。ゲームとしての完成度はそれほど高くない)がプレイできない、といった制限が設けられている。

Basic Editionでも利用可能なシステム情報。物理プロセッサ、論理プロセッサ、コア数などの情報を正しく表示する

 Advanced Editionであれば、こうした制限はほとんど解除され、Professional版ではコマンドラインモードのサポートやデモのループ実行が可能となっている。ただし、基本的には3DMarkを広告や宣伝に使う「商業利用」を前提にしたライセンスで、一般のユーザーには必要ないものだ。

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