Windowsには日本語入力システムが標準で付属している。代を重ねるごとに賢くなり、「それなりにちゃんと使えるのだから、標準付属の日本語入力システムでも別にいいのでは?」と考えるユーザーが増えているのも事実だ。
だがその一方で、少なからぬ費用をかけてまでATOKを使い続けているユーザーもまた、数多くいる。なぜ彼らは、そこまでしてATOKを愛用し続けているのか?
日本語入力システムの変遷を見続けてきた古参ライターの松井幹彦氏、教科「情報」の現職高校教師で一太郎やWord、Excel関連の著作を持つ川越裕之氏、PCUPdate編集長 田中宏昌の3名のATOK愛用者にお集まりいただき、その理由をざっくばらんに語ってもらった。
ITmedia まず最初に、皆さんのプロフィールとATOK歴をご説明ください。
松井幹彦氏(以下、松井) 一太郎は最初のバージョン、「jX-WORD/太郎」の時代から使っています。ATOKも最初から。そのころからずっとライターをやっていますので、ワープロソフトが出るたびに機能比較などの記事を書いてきました。
記事を書き始めたのは、「Oh! 16」(1984年創刊)が創刊された頃です。ゲーム系から一般PC系に読者対象を変更して月2回刊になった頃からは、「Oh! PC」(1982年創刊)にも原稿を書き始めました。当時、ワープロ特集はほとんど執筆を担当していましたので、さまざまな製品が世に出て激しい競争を繰り広げていた頃から、ずっと変遷を見てきています。
ITmedia ライターの仕事を始められたのはいつ頃ですか?
松井 PC-9801が出たときからです。1982年でしたでしょうか。パソコンが16ビットになり、漢字がちゃんと使えるようになったと聞いたので、仕事に使えるかなと考えてPC-9801を導入しました。一式120万円ぐらいしたでしょうか。ロックバーを渋谷で経営していますので、給与計算やレコードのデータベース化などで使い始めたわけです。
たまたまその頃にOh! 16を立ち上げた編集者と知り合い、勧められて記事を書き始めたのがライターとして仕事を始めたきっかけです。その編集者と知り合ってすぐでしょうか。「徳島に面白い会社があって、すごく一所懸命やってる人がいるんだけど、ソフトを見てみないか」といって手渡されたのがjX-WORD/太郎でした。いやぁ、もう画期的でした。連文節変換ができましたので。
川越裕之氏(以下、川越) 公立高校の教員で、元々は数学を教えていました。その後「情報」という新教科ができましたので、その免許を取り、今は教科「情報」を教えています。
一太郎との付き合いは、1980年代中頃に教員になってからです。「一太郎Ver.2」をパソコン教室整備と同時に導入し、授業等で活用したのが最初でした。本格的に使い始めたのは「一太郎Ver.3」からです。それ以前にはPC-8001用の日本語入力システムを使っていたのですが、やはりATOKはすばらしく、こんなにスラスラ文章が打てるのかと感動したことを覚えています。
私は一太郎一筋で、ちょっとした文章を書くときでもエディタは使わず、一太郎+ATOKの組み合わせで使っています。キーボードとマウスの往復はストレスがたまり、思考も分断されてしまいがちですが、ESCメニューとJWキー割付を有効にすれば、大部分の操作がキーボードだけで行えますので。もちろんDTP的に使うときは、マウスも利用しますけれども。
ただ、今の学校の指定ワープロソフトは、ビジネスで一番使われていると言うことでWordなんですよ。それがとても悔しく、今でも一太郎を使い、PDFで出力して生徒に配布するとか、抵抗を続けています(笑い)。どうしても仕方のないときはWordを使いますが、やっぱり馴染めない。それくらい一太郎に惚れ込んでいます。
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提供:株式会社 ジャストシステム
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2006年4月19日