いま地デジ対応PCを購入するなら──2006年春版“地デジ対応PC”の選び方+D Shopping バイヤーズガイド(1/3 ページ)

» 2006年03月27日 18時47分 公開
[石川ひさよし,ITmedia]

 2006年春モデルのPCはとくに地上デジタルチューナー搭載モデルが多くなった。2011年の地上アナログ放送の停波はすでにシール添付や告知などにて認知されてきており、より高画質なデジタル放送の視聴と録画への注目もあがっている。もちろん普及における主役は家庭用のTVやHDD/レコーダーだが、家電との融合が想定されるPCも魅力的なモデルが続々登場している。

 とくに今年前半はドイツワールドカップなどの大規模スポーツイベントも控え、PCにあっても買い換えの大きなチャンスになっているといえるだろう。そこで今回は、各メーカーでかなり選択肢が増えた「地デジチューナー搭載」のPCをチェックしていくことにしよう。

搭載チューナー

 まずいちばんに確認したいところは搭載TVチューナーだ。今回は地上デジタルチューナー搭載モデルを中心にピックアップしたが、その多くはアナログチューナーも同時に搭載していることが多い。チューナーを複数搭載することにより、それぞれのチューナーにおいて録画を可能とする“ダブル録画”にも対応できる。例えば、高画質で録画しておきたい番組はデジタルチューナーで、同時間帯に放送するもう1つの番組はアナログで、といったような使い方ができる。

 また地上デジタルチューナーに加え、BS・110度CSデジタル放送に対応するモデルも多い。各放送に対応する衛星アンテナと契約が別途必要となるが、例えば110度CSデジタル放送はスポーツ中継や映画など専門チャンネルが揃うメリットがある。

 地上デジタル放送には、携帯機器向けとなるワンセグ放送も存在する。地上デジタル放送は6MHzの帯域を13のセグメントに分割し、画質により固定受信向けのHDTV放送(弱階層)と、携帯機器向け放送(強階層)とに分類される。ワンセグ放送は、このうち携帯機器向けとなる1セグメントぶんを使用する仕様からこのように呼ばれている。PC向け、とくにノートPC向けのTVユニットは今後、このワンセグ放送の視聴・録画に対応するモデルが増えてくると予想され、この点は注目すべきポイントといえそうだ。今回はワンセグ放送チューナーをいち早く搭載した「VAIO typeTX VGN-TX91PS(VAIOオーナーメードモデル)」をその候補として挙げている。

 もう1つ、リビングルームでの利用を想定したPCには、OS起動なしにTVをすぐに視聴可能なインスタント機能を搭載するモデルがある。数分かかるPCを起動を待たずとも視聴できるため、TVを中心に活用したいユーザーにはとくに便利で重視したい機能だろう。なお、付属するディスプレイ自体にチューナー機能を搭載し、単体でハイビジョンTVとして活用できるモデルも存在する。

ディスプレイとPCの形態

 今回ピックアップした地デジ対応PCでは、最大で32インチ、多くのモデルで20インチクラスのディスプレイを採用する。26インインチから32インチワイドクラスの大型ディスプレイを採用するモデルはリビングルームに設置する、新たなPCの活用方法が期待でき、地デジ対応テレビ兼レコーダー兼PCと1台でまかなえるメリットがある。いっぽう20インチクラスのモデルは、今までの設置方法と同じようにプライベートルームに設置したり、持ち運んでキッチンなどにて視聴する、あるいは外部出力にてリビングルームの大型テレビなどに接続して活用するなどの活用方法が考えられる。

 モデルの形態には、PC本体も一体となったディスプレイ一体型モデル、本体とディスプレイを別々に設置するディスプレイ分離型モデル、そしてノートモデルがある。一体型(やノートモデル)は、すべてTV機能/PC機能がすべて1つにまとまっているため設置が大変容易であるメリットがある。しかし本体サイズはやや大型になってしまうことも考えられる。いっぽうディスプレイ分離型はディスプレイをTVラックに、本体はほかのAV機器と同じようにAVラックに分けて設置できるなど、設置の自由度がかなりある。とくに32インチクラスとなる大型のディスプレイを採用するモデルは、設置を予定する部屋やスペースに合わせた製品選びを心がけたいところだ。

 なお、ディスプレイをオプションとするソニー「VAIO type R VCG-RC71PS」のような製品も存在する。このような製品で注意すべきところは、地デジ録画を行った番組、つまり著作権保護されたコンテンツの再生には「HDCP規格」対応のディスプレイが必要となることである。HDCPは放送を受信し、ディスプレイなどの表示デバイスに出力するまでの経路でのデータ送信において暗号化し、保護する規格である。同製品ではHDCPに対応したDVI-D端子を備え、同様にHDCP対応DVI-D端子を備えた液晶ディスプレイと組み合わせることで著作権保護されたコンテンツの再生が可能となる。DVI-D+HDCP対応の液晶ディスプレイは、ソニー「VGP-D23HD1」や、デル「2407WFP」、三菱電機「VISEO MDT201WS」などがある。

HDDと光学ドライブ

 高画質で情報量の多いデジタル放送をそのまま録画する場合は、まず録画可能な時間に大きく影響するHDD容量の多さがポイントだ。PCで地上デジタル放送をハイビジョン画質のまま録画する場合には、まだHDDが唯一の手段(なお、近々、Blu-ray DiskやHD DVDといった次世代メディア対応ドライブが登場する予定)となる。目安の一例として、計600GバイトHDDを搭載するNEC「VALUESTAR W VW970/EG」の場合で最大79時間(アナログ放送の場合は最大857時間)の録画が可能となっている。

 リビングルームに設置すると想定するなら、すっきり設置するために大容量のHDDをはじめから内蔵しているほうがスマートだといえるが、足りなくなったらHDDを増設することもできる。このように家庭用機器にはできない柔軟さを備えることも、PCならではといえる。

 光学ドライブは、2層DVD±R記録やDVD-RAM記録にも対応するDVDスーパーマルチドライブの搭載がほぼ一般的になっている。番組をDVDに残しておきたいと考えるユーザーであれば、DVD-RAMなどへムーブし、メディアに残せる機能を持つかか否かのチェックも忘れずに行っておきたい。

CPU・メモリ・グラフィックス機能

 デジタル放送を視聴・録画するとなると、CPUやメモリへの負荷も大きい傾向にある。最近ではCPU性能に不満を持つことはあまりないが、もちろんPCであるからにはビデオ編集やゲームなど、使い方は多岐にわたる。そのため特にメモリ容量に関しては、総合的に判断して最低512Mバイトを、できれば1Gバイトほどは搭載しておきたい。

 もう1つのチェックポイントがグラフィックス機能だ。大きく分けて今回ピックアップしたモデルでは、チップセット内蔵機能を採用するモデルとRADEONやGeForceシリーズなどを搭載するモデルがある。TV視聴・録画とWebサイト閲覧/メールチェックなどを中心に活用するユーザーであれば、チップセット内蔵機能でまったく問題はない。一方、それらに加えてネットワーク3Dゲームも楽しみたいと考えるのであれば、高度な3D性能を欲求するタイトルの場合はチップセット内蔵では不満が出る可能性があるため、3Dゲームも楽しみたいユーザーは若干注意が必要だ。

 では、次のページからのスペック比較カタログでこれらポイントを比較しながら、好みの地上デジタル放送対応PCをチェックしてみよう。

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