富士通が放つ、軽くて丈夫なピュアモバイルPC──「FMV-LIFEBOOK Qシリーズ」

» 2006年04月13日 12時00分 公開
[田中宏昌,ITmedia]

欧州で一足先に発表された「LIFEBOOK Q2010」と仕様はほぼ共通

photo 小型・軽量ノートPC「FMV-LIFEBOOK Qシリーズ」

 CeBIT 2006の会場で注目を集めたスリムノートPCが、Fujitsu Siemens Computersの「LIFEBOOK Q2010」だ。ただ、このときはLIFEBOOK Q2010がHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)対応の通信機能を備えた製品として注目を浴びたが、今回国内で発表された「FMV-LIFEBOOK Qシリーズ」(FMV-Q8220)では、UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)の通信モジュールを内蔵するためのSIMカードスロットは省かれている。そのほかにもBluetoothが非搭載など欧州モデルで異なる点はあるが、PCの主要スペックはほぼ共通だ。

 天面と底面にマグネシウム合金を採用したボディは剛性感が高く、特に天面部分はボンネット構造といった特殊な形状をとらずに、フラットなままで200キロfの全面加圧試験をクリアしたという。また、液晶ディスプレイはラッチレスで開閉できるほか、最も厚い部分でも19.9ミリというスリムさが光る。ボディの底面積はA4ジャストサイズに近く、底面の出っ張りがなくほぼフラットなのでカバンへの収まりもよい。

12.1インチワイド液晶にLEDバックライトを採用

FMV-Q8220の主なスペック
CPU 超低電圧版Intel Core Solo U1400(1.20GHz)
チップセット Intel 945GMS/ICH7-M
メモリ 512Mバイト/1024Mバイト(PC2-4200)
HDD 20/30/60GB(1.8インチ)
グラフィックス チップセット内蔵
液晶 12.1インチワイドLEDバックライト
画面解像度 1280×800ドット
無線LAN −/IEEE802.11a/g/b準拠
Bluetooth
有線LAN 1000BASE-T/100BASE-TX/10BASE-T
FAXモデム
USB USB 2.0×2
バッテリー 3セル角形/4セル角形/6セル丸形
駆動時間 最大約2/4.5/9.5時間
本体サイズ W297×D219×H18.2〜19.9ミリ
重量 約985グラム(最小構成時)
OS Windows XP Professional(SP2)

 薄型ボディに大きく貢献したのは、12.1インチワイド液晶にLEDバックライトを採用したことにある。輝度は最大300カンデラ/平方メートルと高く、最低輝度にすればほぼ画面が真っ暗になるなどレンジが広い。また、軽量化の点では、液晶パネルの厚さを0.21ミリにまで薄くしたり、1.8インチHDDを搭載しているのが目を引く。ちなみに、液晶ディスプレイの解像度は1280×800ドットだ。

 モバイルPCで犠牲になりやすい入力環境だが、キーボードは不規則な配列もなく、ほぼ均等ピッチ(約18ミリ)が確保されているので扱いやすい。電源ボタンはESCキーの左側にあり、その下にA〜Dのプログラマブルキーが並ぶ独特の配列が印象的だ。

 タッチパッドはシンプルな2ボタン式だが、クロックボタンの中央に指紋認証センサーが内蔵されている。TPM v1.2準拠のセキュリティチップも搭載ずみで、法人向けモデルらしくセキュリティ面にも配慮が見られる。

 ステレオスピーカーは液晶ヒンジ部の下にあり、排気ファンを左側面奥に内蔵する。CPUやチップセットの熱はボディ底面に伝えられのに加え、上記のファンで排気される仕組みだ。なお、排気ファンのカバーにもマグネシウム合金を採用しているのがユニークだ。

photo キーピッチ約18ミリ、キーストロークは2ミリのキーボードを採用する(写真左)。右の写真はキーボードユニットやタッチパッド部を省いたもの。右下に1.8インチHDDが位置し、左パームレスト部分にMini PCI Expressの無線LANモジュールがある。その左側にはWWANのモジュールを内蔵するためのスペースがある
photo 主要なコネクタは両側面にまとまっている。背面はバッテリーのみで、前面には無線LANの電源スイッチがあるのみだ。左側面にはSDメモリカードスロットやサウンド端子、右側面にはTypeII×1のPCカードスロット、2基のUSB 2.0、4ピンのIEEE1394、有線LAN(付属の変換アダプタを利用)端子が並ぶ

10層基板のマザーボードを採用

 主なスペックは上の表にまとめたが、CPUにはインテル未発表の超低電圧版Intel Core Solo U1400(1.20GHz/FSBは533MHz)を、チップセットにはIntel 945GMS Expressを搭載。

 購入時に気をつけたいのは増設用のメモリスロットを持たず、メインメモリはオンボードでのみ提供されることだ。BTOメニューでは512Mバイトと1024Mバイトの2種類があるので、予算が許す限り後者を選びたいところだが、後者を選ぶとプラス10万6050円と非常に高くなってしまう。

 小型のマザーボードは10層基板を採用する。CPUやチップセット、メインメモリといった主要なチップは底面側にまとまっている。

photo 独自の形状をしたマザーボードで、CPUやチップセット、メインメモリ、PCカードのコントローラチップは片面にまとまっている(写真左)。CPUとノースブリッジの上にある銀色のユニットはSIMカードスロットだ

多彩なバッテリーオプションを用意

 モバイルPCではバッテリーの駆動時間が気になるところだが、本機には内蔵バッテリーパック/同M/同Lという3種類のバッテリー(排他式)が用意される。

 一番小型な内蔵バッテリーパック搭載時は約2時間と動作時間は短くなるが、バッテリーが本体から出っ張ることはなく、重量も軽い。オプションの内蔵バッテリーパックM/同Lは排他利用となるが、駆動時間がそれぞれ約4.5/9.5時間にまで延びる。重量は内蔵バッテリーパックM装着時でプラス95グラム、同Lでプラス230グラムとなる。また、バッテリーパックが背面には飛び出ず、底面に張り出す形になるので、キーボード面に傾斜が付き、タイピングしやすくなる。

 重量とバッテリーの駆動時間はトレードオフの関係にあるが、豊富な選択肢があるのは心強いと言えるだろう。

photo 底面にはヒートスポットを伝えないようにフェルト状の生地が全面に貼られている(写真左)。中央の手前から内蔵バッテリーパック/同M/同Lとなる。右の写真は左から内蔵バッテリーパック/同M/同Lで、順に厚くなっているのがわかる

別売のポートリプリケーターを装着しても薄型ボディを維持

 オプション製品には、DVDスーパーマルチドライブを内蔵したポートリプリケーターも用意される(5万400円)。見た目は大きいが、比較的スリムで軽いのが特徴だ。また、内蔵バッテリーパックMや同Lを装着したままでもドッキングが可能で、PCの着脱はレバー操作だけで簡単に行える。

 1スピンドルの注目株として非常に気になるモデルだが、現時点では法人向けということもあり、一般の量販店では販売されず、個人ユーザーは直販の富士通WEB MART(法人向け)で購入するなど手段が限られているのが残念だ。同社によれば将来的には個人向けにも提供していきたいとのことなので、今後の動向に注目したい。

photo 左上の写真は別売のポートリプリケーターと合体したところ。DVDスーパーマルチドライブは左側面手前にある(右上)。下段はポートリプリケーター単体の写真だ。PC本体を取り外すときは、右側面のレバーを手前に引くだけでよい
photo ポートリプリケーター利用時でもスリムなボディなのがわかる。4基のUSB 2.0やアナログRGB出力、有線LANなどのコネクタはすべて背面にまとまっている

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