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» 2006年05月01日 00時00分 UPDATE

改めて確認する秋葉原の都市再開発計画(前編):まずは2008年まで設計図が描かれるアキバという街 (1/2)

2006年3月、秋葉原駅前の大型施設「秋葉原クロスフィールド」が完成し、秋葉原はさらなる変貌を遂げた。しかし、進化はまだまだ続く。2008年まで続く駅前再開発とそのコンセプトの概要を確認しながら、この街がたどる将来像を探っていきたい。

[岩城俊介&古田雄介(アバンギャルド),ITmedia]

 2005年3月の秋葉原ダイビル開業から約1年、2006年3月9日に「秋葉原UDX」がオープンし、2棟で一対となる秋葉原駅前再開発地区における重要拠点「秋葉原クロスフィールド」が完成した。

 その間に「つくばエクスプレス(TX)」の開通や「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」のオープンなどがあり、秋葉原の様相が大きく変わっていることはご存じの通り。家族連れや観光客を見かけることもさらに多くなり、「お客様も自作PCに詳しい、いわゆるいままでのアキバユーザーの割合が減っている傾向になっているとひしひしと感じます。そのためか、クセのあるPCパーツよりも外付けHDDや液晶ディスプレイなどの売り上げ比率が増えています」と老舗PCパーツショップ店長は話す。

 わずか1年の間に起こった急速な変化は、今後も続くのか。また今後、秋葉原そしてアキバはどこへどのように向かうのか。最近の秋葉原の姿は、駅前の再開発が大きく影響を与えているのは明らかだ。今後どうなっていくのかを、今回は行政の地区計画から改めて調べてみることにした。

再開発エリアは昭和通り側を含めた駅前一帯

photo 秋葉原駅付近土地区画整理事業設計図(東京都提供)

 まずは右図を見てもらいたい。東京都が計画した「秋葉原駅付近土地区画整理事業」の設計図である。

 JR秋葉原駅から北側にのびる、赤い点線に囲まれたエリアが「土地区画整理事業」の施工区域となる。千代田区と台東区にまたがる広大な範囲であり、8.8ヘクタール(東京ドーム1.9個ぶん)もの広さがある。秋葉原駅前の再開発は、この区域内で行政のリーダーシップのもとに進められている。

 ここではJR山手線の西側(電気街側)だけでなく、アキバ回遊者に“向こう側は別の街”とも“アキバと秋葉原”と区別するように言われる東側も計画に入っていることにも注目したい。ちなみに「ヨドバシカメラ マルチメディアAkiba」もこのエリアに入っている。

 さらに区域内の土地利用を目的別に色分けされ、もう少し分かりやすく確認できるのが下図だ。JR山手線上と北西の一部を除いて、すべてのエリアが商業利用可能区画に定められている。区画ごとに「業務」(オフィス)のほか、「居住」機能も盛り込まれており、下層階にショッピングモールを設けたオフィスビルや宿泊施設のついたイベントホールなど、複合的な施設が建設されるシナリオが組まれている。

photo 秋葉原駅再開発地区の目的別区画利用プラン:秋葉原駅付近土地区画整理事業パンフレットより(千代田区提供)

 ここでは“c地区”に目を向けたい。c地区は秋葉原クロスフィールドが建つエリアで、「商業・業務機能と文化・情報・交流機能(IT関連機能)の複合するゾーン」と定められている。ほかの地区と比べて、具体的な機能を多く含むのが特徴だ。東京都はこの地区計画について「IT産業の世界的拠点になるために、研究と創造、発表ができる街を目指したい」(関連記事参照)としている。このコンセプトを活かす核の機能をこの区画に集中させていることが分かる。

photophoto 3月に完成・開業した秋葉原クロスフィールド。すでに昨年2005年より開業していた秋葉原ダイビルの2階は、IT関連企業のイベントスペースとして多くの企業・グループに活用されてきている。「月の9割以上はメーカーに貸し出している状況。予想以上の反響です」(クロスフィールドマネジメントゼネラルマネージャ 山本俊行氏)

 「居住機能に特化するゾーン」に指定された“d地区”には、高層マンション「TOKYO TIMES TOWER」(関連記事参照)が建つ。竣工前から多数の入居希望者がおり、瞬く間に完売となったという。

 色分けされたエリアの周囲を見ると、秋葉原駅一帯が複数の破線に囲まれている。先の2図を見比べると、東京都と千代田区で地区計画エリアがやや異なっている。大きくは変わらないが、千代田区のものでは、中央通りから昭和通り一帯まで計画エリアが拡大されていることが分かる。

 これについては東京都によると「都の参加は“計画の提示と区域の指定”に留めており、実質的な秋葉原の再開発は(行政側では)千代田区が中心になって行っている」ということだ。つまり実質的な秋葉原の地区計画エリアは、千代田区が指定した領域内ということになる。

 ただし計画のイニシアティブは区(行政)だけが握っているわけではなく、街の振興会と企業団体の3者が同等の立場に立って協議し、制定された。しかしその背景には、複数の地権者が絡む複雑な事情があったようだ。理解を深めるために、少しだけ近年の秋葉原の歴史に触れてみよう。

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