ということで早速日本語に挑戦した。用意したのは日本語版のWindows XP ProfessionalとWindows 2000。Windows XPは問題なくインストールが完了。Mininote添付のCDに入ったドライバも英語ないし日本語でインストール可能、さらに中国語のドライバも無事に導入できた。
引っかかったのはサウンドドライバとラウンチャー起動ボタン。サウンドドライバは日本語対応にも関わらずなぜかインストールできなかった。デフォルト設定ではラウンチャー起動ボタンは使えないし、ボタン割り当てツールもないので……あきらめた。
Windows 2000はCDブートでインストールを試みたが、インストールメニュー前でブルーバックとなり断念。ここさえパスすればWindows 2000のUMPCマシンとなれる可能性はある。
驚くことに最初で紹介した手書きソフトが「日本語で」インストールでき、いったん導入するとその手書きソフトの「日本語版」が起動するのである。日本語版は中国語版をベースに作られたため機能制限版となっているのは否めないが、それでも中国人の発想で作られた手書き入力ソフトが母国語(日本語)で入力できるのは非常に興味深いのではないだろうか。
VAIO type Uでは、インストールされているソフトウェアの軽量化に多くの人々が試行錯誤していたが、Mininoteに関しては幸か不幸かソフトが少ないおかげでさほど考えずとも軽量化ができる。
せっかく日本語化してみたので、MininoteとVAIO type U(VGN-U70P)をベンチマークで対決させてみた。MininoteとVAIO type Uのハードウェアの違いは、下に掲げた表のようになる。
Mininote | Vaio TypeU(参考) | |
型番 | VUM400-410 | VGN-U70P |
OS | Windows XP HomeEdition | Windows XP Professional |
価格(中国実売) | 7999元(約12万円) | 約21万円(発売当初の実売価格) |
HDD | 30Gバイト | 20Gバイト |
CPU | ULV Celeron M/900MHz | ULV Pentium M/1GHz |
メモリ | DDR2 400 256Mバイト | DDR 266 512Mバイト |
グラフィック | Intel GMA900 | Intel 855GM内蔵 |
ディスプレイ | 7インチ(800×480ドット) | 5インチ(800×600ドット) |
カードスロット | SDメモリーカード、MMC、メモリースティック | CFカード、メモリースティック |
無線通信機能 | IEEE 802.11b/g、Bluetooth | IEEE 802.11b/g |
有線LAN | − | − |
USB 2.0 | 2 | 1 |
サウンド | モノラルスピーカー、ステレオマイク内蔵、ステレオヘッドフォン、マイク出力 | モノラルスピーカー内蔵、ステレオヘッドフォン |
その他 | 内蔵130万画素CMOSカメラ | − |
大きさ | 約 幅225×高さ144×厚さ23ミリ | 幅167×高さ108×厚さ26.4ミリ(Sバッテリー装着時) |
重さ | 830グラム | 550グラム |
キーボード | 別売(約6000円、400元) | 付属 |
ポートリプリケータ | 別売(約7500円、500元) USB 2.0×4、外部ディスプレイ出力、I/Oコネクター×1 、S端子、LAN×1 | 付属(USB2.0×4、LAN×1、i.LINK S400(4ピン) ×1、外部ディスプレイ出力×1、I/Oコネクター×1 |
主なスペックで見るとメモリがMininoteは256MバイトでVAIO type Uが512Mバイト、同じくCPUがそれぞれ超低電圧版Celeron M/900MHzに超低電圧版Pentium M/1GHz、HDDが東芝の1.8インチの30Gバイト(MK3006GAL)に同じく東芝の1.8インチの20Gバイト(MK2006GAL)だ。
ここまではVAIO type Uが優勢だが、チップセットを比較するとVAIO type Uが初代CentrinoことIntel 855GMであるのに対してMininoteはその次のCentrino(Sonoma)になるIntel 915GMを採用している。内蔵するグラフィックスコアもMininoteは3D性能が格段に強化されたIntel GMA 900が組み込まれている。
この性能の違いが性能にどのように影響しているのだろうか。ベンチマークの結果を以下の表に示す。
HDBench3.3 | Mininote | VAIO type U | |
ALL | 20003 | 17265 | |
CPU | Integer | 54807 | 45146 |
Float | 43057 | 45632 | |
メモリ | Read | 35521 | 37005 |
Write | 31986 | 28253 | |
Read&Write | 61747 | 55084 | |
描画 | Rectangle | 20567 | 17570 |
Text | 11390 | 20585 | |
Ellipse | 4136 | 6532 | |
BitBlt | 239 | 139 | |
DirectDraw | 59 | 41 | |
ハードディスク | Read | 20349 | 12529 |
Write | 19918 | 11149 | |
RandomRead | 5625 | 5378 | |
RandomWrite | 7549 | 5611 | |
3DMark2001SE | 3027 | 2523 |
MininoteはスペックにおいてVAIO type UよりCPUとメモリ容量で劣っているにも関わらず、全体的に高い値を示している。HDDに関しては容量違いによる性能差が大きい。また、すでに日本で発売されているVIAプラットフォームのUMPCであるSmartCaddieのベンチマーク結果と比べてみても面白い。同じUMPCでもインテルプラットフォームのMininoteがVIAプラットフォームのSmartCaddieを上回るパフォーマンスを出していることが分かる。3DMark2001SEにおいてもそれが如実に表れている。ただしゲームマシンとしてMininoteを使う場合、縦が480ドットであるため、VGAでしか表示できないのは注意が必要だ。
日本の多くのユーザーにとって、FounderのMininoteは「中国メーカーが開発した謎のUMPC」というイメージだったかもしれない。この記事を読んでその正体が分かってもらえたと思うが、それでもVAIO type Uの後継として購入するには厳しい。VAIO type Uに慣れたユーザーとしては縦画面にできないのもサスペンドにすぐ移行できる「STANDBY」ボタンにあたるものがにないのもなんとももどかしい。
しかし、比較的容易に日本語化できることを考えれば現在入手できるUMPCのなかではなかなか使える製品ともいえる。「小さいノートだからなんとなく買った」としても後悔することはないだろう。VAIO type Uほど小さくなくていいけれど、VAIO type Uよりもパフォーマンスが高いマシンを求めているユーザーや、ビデオチャットをUMPCでやりたいとか、何もソフトが入っていないプレーンなUMPCが欲しいとか、なによりも小さいものを買うためだったら時間と労力を惜しまぬならば、FounderのUMPCを購入候補に挙げておくのはアリだと思う。
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