「いつも両手で握っていたい」秀逸の使い心地──ソニー「VAIO type U VGN-UX50」(3/4 ページ)

» 2006年05月17日 09時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

最新のアーキテクチャがもたらすVAIO type Uの「発熱」

 VGN-UX50のCPUは発表されたばかりのIntel Core Solo U1300だ。最新のアーキテクチャを採用した超低電圧版のCPUでその動作クロックは1.06GHzである。このCPUの採用に合わせて、メインメモリはDDR2-400MHzをオンボードに512Mバイト載せ、チップセットは3Dゲームにも対応するグラフィックスコア「Intel GMA 950」を内蔵したIntel 945GMSなど内部構成も最新のパーツが採用されている。

 超低電圧版といいながらも最新のアーキテクチャであるからその発熱は従来のVAIO type Uから増えていることが予想される。手に持って使うデバイスだけに消費電力とともに発熱はユーザーの使い勝手に大きく影響する。

 VGN-UX50は熱対策のためにファンを組み込んだクーラーユニットを搭載して内部の熱を強制的に排出するとともに、アルミパネルによって筐体全体に熱を拡散する方法もとっている。困ったことに筐体を両手で包み持つ姿勢は内部に熱がこもりやすい状況を生み出す。この対策としてVGN-UX50は熱を出すシステム基板(そこにはHDDも載っている)と筐体パネルの間にすき間を持たせることで内部の熱が直接筐体表面に伝わらないようにしている。

 実際に筐体表面の温度を手のひらが触れる筐体裏側側面で測定してみると、負荷のかかる3DMark03のGTテストを実行しているときでも摂氏34.5度程度で「手のひらに汗がじっとりにじみでる」ような不快感はない。またファン排出口スリットで温度を測ってみると摂氏45.6度となった。最近のノートPCとしては突出した高さでもないし、両手で持っても片手で持ってもスリットから排出される空気が直接手に当たることはない(スリットのすぐ脇にワイヤレスモジュール用アンテナのカバーユニットが飛び出ているため)ので、その熱い排気で不快に感じることもない。

 ただし、その代わりに気になるのがファンが発する騒音だ。クーラーユニットのファンは常時ではないにしても頻繁に動作している。パワーマネジメントによって回転数が制御されているが回転数も頻繁に変化するのでそのたびにファンの音に気が付いてしまう。オフィスや屋外で使う分には問題ないが、静かな状況では周りも気がついてしまうほどにその音は大きかった。

最新のアーキテクチャがもたらすVAIO type Uの「消費電力」

 VGN-UX50で採用されたIntel Core Solo U1300は拡張版SpeedStepによって軽負荷時には動作クロックが600MHzにまで低下する。バッテリー駆動時間がカタログスペックで3.5時間とされているVGN-UX50において細かい電力管理は必須であるが、一方でWebブラウジングやメールの入力ならば問題ない低クロック動作で高いパワーが求められる動画再生処理などは十分だろうか。

 この検証のために電力管理機能を無効にした状態とソニーの電力管理機能で用意されている「スーパースタミナモード」という最大限に電力管理を行うモードでPCMark05を測定してみた。スーパースタミナモードにおける結果はフルパワーにおけるそれを大きく下回っている。数値的な結果もそうだが例えば音楽ファイル(MP3)を再生している場合でも、スーパースタミナモードでは実際の音よりも低めの高さで再生されてしまい違和感が出てしまう。動画やサウンドの再生においてはスーパースタミナモードはややパワー不足であるという感が拭えない。

電源管理機能オフスーパースタミナモード
CPU1738388
Memory1866794
HDD18391713
HDD - XP Startup4.13.9
Audio Compression611.4291.2
Video Encoding79.138.2
Image Decompression6.21.3
Audio Decompression278.135.2

 では、両極端の電力管理モードで実際に消費している電力はどの程度異なるのだろうか。動画ファイルの再生処理でVGN-UX50全体で消費している電力を「YbInfo」を使って測定してみた。フルパワーの状態では8150ミリワット、一方のスーパースタミナモードでは7238ミリワットと意外なことに両者の消費電力は大差ない。ちなみに、YbInfoでパワーモードや動作状態を変えて消費電力を測定した結果を以下に示す。

ミリワット
スーパースタミナモードでアイドル状態4252
スーパースタミナモードのアイドル状態でクーラーファンが動作4373
スーパースタミナモードのアイドル状態で液晶ディスプレイ輝度最大5271
スーパースタミナモードで無線LANを有効にしてアイドル状態4264
スーパースタミナモードで無線LANを有効にしてWebにアクセス中5658
スーパースタミナモードで無線LANを有効にしてWebからストリーミング動画を再生6466

 スーパースタミナモードにおいてアイドル状態で4ワット台だった消費電力は、ファンが動作しても無線LANモジュールを有効にしてもさほど変わらない。しかし、液晶ディスプレイの輝度を最高にしただけで20%増、また、パケットの送受信をすると5ワット台後半に増え、負荷がかかる動画の再生処理になるとスーパースタミナモードでもその消費電力はアイドル時の50%増しになってしまう。

 なお、3D描画に対応したIntel GMA 950を内蔵することで3Dゲームも快適に動作するVGN-UX50における3DパフォーマンスをFuturemarkの3DMark03で測定してみた。また参考値としてFinalFantasy XI公式ベンチマーク3の値も並べている。

3DMark05 3DMark Score828
3DMark03 3DMark Score828
3DMark03 GT130.2
3DMark03 GT43.7
3DMark03 CPU Score326
FFXI Bench(Low)1868

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