「いつも両手で握っていたい」秀逸の使い心地──ソニー「VAIO type U VGN-UX50」(4/4 ページ)

» 2006年05月17日 09時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]
前のページへ 1|2|3|4       

4.5インチで1024×600ドットをクリアに表示する液晶ディスプレイ

プロアトラス2006 for VAIOで横浜の中心部をVGN-UX50で表示する。明瞭でくっきりとした表示画質が画像で伝えられないのがもどかしい

 VGN-UX50の液晶ディスプレイは4.5インチのワイドサイズで最大解像度は1024×600ドットだ。従来モデルのVGN-U71Pがより大きなサイズの5インチディスプレイで解像度が800×600ドットであったことを思うとVGN-UX50の表示はかなり細かい。しかし、その画質はドットピッチ265dpiを誇るクリアブラックLE液晶パネルを採用したこともあってタッチパネル機能を持ったディスプレイながら視認性に優れている。

 例えばプリインストールされている「プロアトラス2006 for VAIO」で入り組んだ繁華街のエリアを表示してもかなり細かい地名まで容易に認識できる。この「表示される情報量の多さ」は携帯電話やPDAといったほかのモバイルデバイスに対するVAIO type Uの大きな優位性と言える。

 従来のVAIO type Uと同様タッチパネルなのでペンオペレーティングにも対応している。スタイラスペンも筐体にホルダーを内蔵しているのですぐに取り出して使える。先ほどの「両手で握ったままでも十分使える」と評価したもののペンを使うほうがストレスを感じないユーザーも(とくに従来のVAIO type Uユーザーには)多いかもしれない。

 そういうタッチオペレーティングユーザーを重視した機能もVGN-UX50には用意されている。その1つが筐体左下に設けられた専用ボタンを押して起動させる「VAIOタッチランチャー」だ。画面には9つの起動プログラムと画面の回転、液晶輝度、音量調整、ミュートなどのアイコンが表示される。起動プログラムはユーザーがカスタマイズ可能。また、画面の回転(横から縦方向)や液晶輝度、音量、ミュートの設定はVAIOタッチラウンチャーからのみできるので重要なユーティリティである。

 ただ、ボタンを押してからランチャー画面が表示されるまでのタイムラグが意外とあるのが気になるところだ。なお、筐体本体に用意されたボタンの機能もユーザーがカスタマイズできるので、VAIOタッチランチャーからしか調整できない液晶の輝度、もしくは音量の調整を「ズームイン」「ズームアウト」に割り当てるのは便利かもしれない。

 また、ディスプレイを「長押しタップ」すると「VAIOタッチコマンド」という機能が有効になる。これはディスプレイ全体にスタイラスペン(試したところ“指”でもできた)で「横直線」「縦直線」「○」「∨」「∧」(それぞれ右左、上下、時計反時計方向)を描くことでコマンド入力の代わりになる機能だ。ブラウザで「画面の戻り」などが簡単にできる。ただ、こちらも割り当てられる機能が限定されている。「長押しタップ」の認識が意外とデリケートなことも含めてさらなるチューニングを求めたい機能でもある。

VAIOタッチランチャーは9つのラウンチャーアイコンが用意されている。ユーザーがそれぞれのアイコンごとにプログラムやデータフォルダ、URLを指定することで、ワンタッチで起動、またはアクセスが可能になる。また、本体に用意されたボタンは「VAIOの設定」から機能をカスタマイズできる。なかなか使う機会が少ないズームインとズームアウトボタンを液晶輝度、もしくはミュートと音量調整ボタンを割り当てるのも便利かもしれない(どちらも標準状態で本体のボタンでコントロールできない)

 本体に搭載されているインタフェースはメモリースティックDuoとCFカードスロット、そしてUSB 2.0が1つとその種類は絞られている。ほかにモバイルデバイスに必須のセキュリティ機能として指紋センサーが液晶ディスプレイの上に、これもモバイルデバイスでは需要が多いカメラ機能のために有効画素131万画素のMOTION EYEを搭載する。ユニークなのはビデオコミュニケーションのために専用の有効画素31万画素のMOTION EYEも液晶ディスプレイ側に内蔵しているところだ。

 また、従来のVAIO type Uと同じく、VGN-UX50にもポートリプリケータが標準で用意されている。こちらのインタフェースは有線LAN(100BASE-TX)に3つのUSB 2.0(背面2つに側面1つ)、VGA出力にi.LINK。そして最近のVAIOらしく引き出し式のFeliCaポートも備えている。

標準添付のポートリプリケータに接続するとこのようにチルトがかかった状態になる。左側面には引き出し式のFeliCaポートも用意されている

ポートリプリケータには3つのUSB 2.0とVGA出力、i.LINK、 有線LAN(100BASE-TX)が用意されている。なお、標準バッテリーは出力7.4ワットの容量が2700ミリアンペアアワー。ACアダプタの重さはコード込みで約220グラムだ

 VGN-UX50のカタログを見て「標準バッテリーで駆動時間が3.5時間」というスペックに不満、もしくは不安を感じるユーザーは多いかもしれない。今回の評価作業では外に持ち出した長時間駆動実験を行っていないので、そのあたりの評価は別な機会(長期ロードテスト)を待っていただきたいが、日常の生活の中で通勤時間やちょっとした空き時間にデータを閲覧したり、部屋の中で寝転んでネットを見る分には何の不安もなく使い続けることができた。液晶の輝度を最も暗い状態にするとさすがに目が疲れるが、それでも下から3番めの輝度でも細かい文字まで認識できるし、なにより「両手で持って」違和感なくPCを操作できることでいつでもどこでもVGN-UX50を手にしてコンテンツやデータにアクセスできる利便性はノートPCでは体験できなかったことだ

 「キーボードも内蔵したタッチオペレーション超小型PC」というとこれまではちょっとしたキワモノ的なデバイスという印象が強かったがVGN-UX50はもっと広いユーザーにも受け入れられるPCだ。普通のユーザーにも十分使いこなせる「データアクセスツール」である。見ただけで「いやちょっとこのスタイルは玄人好みですね」といわずに、ぜひ店頭でVGN-UX50を「両手で握って」いただきたい。きっとその軽さと使いやすさに「おおっ!」と声をあげてしまうだろう。

前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

最新トピックスPR

過去記事カレンダー