フラッシュメモリに注目が集まるtype U ZEROであるが、実際に発表された実機には発表会で述べられていなかった「ワンセグチューナー」が内蔵されている。type U ZEROを背面から見ると、2つある隆起部分のバッテリーの反対側、手に持ったときに左手で握るようになる部分にワンセグチューナー用のアンテナが設置されている。type U ZEROの内部についてはまだ明らかにされていないが、この部分にチューナーユニットが搭載されている可能性が高い。ワンセグチューナーの搭載はHDDの代わりにフラッシュメモリを実装したことで可能になったらしく、HDDを搭載する従来のVAIO type Uでワンセグチューナーを実装するのは不可能ということだ(編集部追記−記事執筆後にソニーから補足情報が入り、ワンセグチューナーを内蔵したHDD搭載モデルについては、市場の動向を見て随時検討していくとのこと。ただし、現時点で詳細は未定としている)。
type U ZEROでワンセグ放送を利用するときはソニーが開発した「モバイルTV」を使って行う。その機能はVAIO type Tとほぼ同じで、ユーザーの設定によって左右いずれかの画面の端に表示される表示バーに画面と番組の関連情報を固定で表示したり、TV画面だけを取り出してデスクトップの自由に配置したり、全画面でTV画面を表示したりできるほか、EPGで提供されるインターネット番組表を利用した予約録画にも対応している。
VAIO type Tがワンセグチューナーを搭載したときも、PCといえど電車や喫茶店でワンセグ放送を見れる「面白さ」を十分堪能できたが、VAIO type Uのサイズでワンセグ放送が利用できるとなると、気軽に取り出しやすい超小型PCであるだけに、よりいっそう使う機会が増えることになるだろう。
一方で、EPGを利用した予約録画ができるようになり、設定によってはバッテリー駆動時でも時間が来れば番組の予約をしてくれるようになった。ワンセグ放送の録画は「メモ」的なもので家電的感覚の観賞用「録画」とは次元が異なると思っているので、ワンセグ放送の予約録画機能については「過剰サービス」と考えてしまうが、そうはいっても新しい機能ができればそれを有効に活用する可能性があるわけで、評価を下すのはもう少し時間をかけてからにしたい。
なお、ワンセグ放送を受信再生している状態と、録画している状態における消費電力は以下の表のようになっている。また、「筐体表面に内部の熱を伝えない」がVAIO type Uの冷却における大前提であったが、今回評価したtype U ZEROにおいては左手でにぎる部分(ワンセグチューナーが搭載されていると思われる)が、ほかの箇所よりも明らかに「暖かい」ことが評価作業で確認された。
電源管理オフでワンセグ受信中 | 8083 |
スーパースタミナモードでワンセグ受信中 | 7496 |
電源管理オフでワンセグ録画中 | 8114 |
スーパースタミナでワンセグ録画中 | 7541 |
回転するストレージを組み込まない「ゼロスピンドル」PCは、その耐衝撃性と低消費電力への期待から長いこと携帯PCを利用するユーザーが待ち望んでいた。その待望のコンシューマー向け製品がVAIO type Uの派生モデルとして登場した。
ソニーはVAIOオーナーメードモデルというプレミア的な価値をアピールしているが、ゼロスピンドルがもたらすメリットは「プレミア」でとどめておくにはあまりにも惜しい。
もっと多くのユーザーも享受できるように価格を下げた構成も用意してもらえることをぜひとも期待したい。ゼロスピンドルの持つ意義とユーザーに与えるインパクトはそれほどの大きいということが、type U ZEROを使うとすぐに理解できるだろう。
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