レビュー
» 2006年06月28日 18時35分 UPDATE

勝手に連載!「海で使うIT」:ゼロスピンドル“U”とアルファマップで鳴門の渦を航海する (1/3)

あの“U”ってHDDを搭載しないから衝撃に強いのですか。ならば、「あの」連載で徹底的に使ってあげようじゃありませんか。

[長浜和也,ITmedia]

 HDDを搭載せず、その代わりに16Gバイトのフラッシュメモリをメインのデータストレージとして使うVAIO type U <ゼロスピンドル>モデルの特徴として「対衝撃性能が向上した」ことがあげられる、と先日掲載したレビュー記事を書いていて、私は「おお、これってITmedia私物化企画“勝手に連載”的にすごくないですかっ」とひとりほくそえんだのであった。

 勝手に連載、ということで当然のことながら「船で使えますね」という意味になるのだが、そうはいってもTOUGHBOOKのように「象のような私が踏んでも壊れない」という方向性ではない。HDDを搭載しないことで、船が波をまともに喰らったときにうける“ズッシン”という衝撃にも「HDDクラッシュ!!」と不安がることがなくなる、という理由からだ。

 うまくしたもので、ポケットから取り出して手軽にVAIO type Uを使おう!と考えているソニーはVAIO type Uと組み合わせて使うのにちょうどいいサイズと仕様をもったBluetooth接続のGPSユニット「VGP-BGU1」をリリースしている。超小型PCに超小型GPSの組み合わせとくれば、「デモンストレーションのたびにズボンのポケットからVGN-UX50をシュッパッと取り出す楡井さん」のためにもこれは「“ゼロスピンドル”type UとBluetooth GPSを外洋を使い倒してやらなければ」ということになるのはこの連載として当然の流れである。

 「そういうことで、レビューのための洋上作業をやるので1週間ほどいなくなります。出張扱いでよろしくねっ」という書き置きを編集長の机の引き出しに忍ばせて、私はゼロスピンドル“U”とBluetooth GPSとともに「いえ、その、あのですね、パイオニア9を小豆島にある岡崎造船から西伊豆の安良里まで回航するのであります」というヨット「唐草」のオーナースキッパーと「いやー、那智勝浦にきたの今月で3度めなんですよね」という岡崎造船のベテランスタッフとともに「鳴門の渦に巻き込まれつつ瀬戸内海から紀伊半島をぐるり回って遠州灘ひた走り航海」で、ゼロスピンドルのVAIO type Uの実力を検証している「最中である」(そう、この記事は寄港地那智勝浦港に停泊した「唐草」のチャートテーブルで書いているのだ)。

kn_kattenavvgnux.jpg GPSとUSBキーとVAIO type U <ゼロスピンドル>モデル。この組み合わせでポケットに入れられる電子海図ナビゲーションが実現する

 電子海図でナビゲーション、となると当然必要になるのが電子海図データ(カーナビでいうところの地図データ)と海図表示ソフト(カーナビで言うところのナビゲーションソフト。当然表示するだけでなく、ルート作成や監視、警告などの高度な機能が求められる)だ。CPUやメモリ、チップセットなど構成パーツは最新のノートPC負けていないゼロスピンドル“U”であるが、画面解像度(とくに縦方向)とデータストレージの容量に不安が残る。ポインティングデバイスの操作性はVGN-UX50のころから問題ないが、キーボードにおいては細かい操作は困難である。ましてや、使うのは波で揺れるヨットである(いや、パイオニア9は頑丈で腰の座ったいい船であり、その優秀性は今回の航海で「大潮の下げ潮最大流速時に鳴門海峡を渦にもまれながら13ノットで駆け抜けた」ことで実証されたのであった)。細かい「ちまちま」とした作業はできることなら遠慮したい。

 最近の電子海図ソフトは高機能になるにつれ、画面に呼び出せる情報も多岐に渡る。5インチに満たないサイズの画面から航海に必要な情報を容易に識別することができるのかもゼロスピンドル“U”が航海で使えるかどうかの条件になる。

 今回の検証航海で使用した電子海図はENC、ナビゲーションソフトは国産のコンシューマー向け製品としては最高峰となるピーシースタジオアルファ「アルファマップ2 プロ」を選択した。実をいうとアルファマップ2 プロはどちらかというと業務向けという位置づけであるが、今回の航海では後日紹介する「AIS」機能も検証するためこの上位バージョンを使っている。コンシューマー向けとしては「アルファマップ2」がリリースされている。

kn_kattenavusbkey.jpg ピーシースタジオアルファが提供するUSBキー。これを使えば複数台のPCに電子海図とアルファマップ2が導入できるようになる

 電子海図ナビゲーションソフトと電子海図のENCは不正複製利用をさせないために、正規ユーザーだけに「パーミット」と呼ばれる鍵が与えられる。そのキーはハードウェアで識別される仕掛けになっていて、その組み込み方法は開発ベンダーが決定できる。ピーシースタジオアルファの製品はS-63導入当初からUSBなどのハードウェアデバイスキーを導入している。国産のENC対応電子海図ナビゲーションソフトとして競合するNSSの製品は当初パーミットを導入するPCに対して与えていたが、こちらも2006年4月からUSBなどのハードウェアデバイスキー方式を導入している。

 PCそのものにパーミットを与える方式ではいったん導入したPCでしかソフトも海図も使えないのに対してハードウェアデバイスキー方式ではキーデバイスを接続したPCならば複数のPCにでも導入できる。いったん導入すれば起動するときにハードウェアキーが差してあればいい。今回の検証ではゼロスピンドル“U”以外に、この連載ではおなじみ「Let's note T4」によるAIS検証作業のために複数のPCを使い分けるため、USB接続のキーデバイスを切り替えて運用している。そういう「システム使い分け」はいうまでもなく、PCに不具合が発生したときの対処(PCにパーミットを与えていると、そのPC、もしくはOSが使えなくなって新規PCへの移行やOSの再インストールが発生した時点でパーミットが無効になるが、ハードウェアデバイスキーならPC側の変更は関係ない)なども現実的なものとなる(記事掲載当初、NSS製品がPCにパーミットを与えている記述をしていましたが、現在はUSBキー方式に切り替わっています。ここにお詫びして訂正いたします。なお、方式を変更した理由についてNSSの海事ソリューション室に質問をいたしましたが、現在までに回答はありません)。

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