米Googleがオンラインショッピングの世界に進出――その名も「Google Checkout」黒船来襲……か!?(2/2 ページ)

» 2006年06月29日 19時15分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]
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Google Checkout登場によるインパクトは?

 Google Checkoutがまだ「Gbuy」の名称でメディアの誌面をにぎわしていたころ、同サービスの登場が米国のオンラインオークション市場で最大勢力を誇る米eBayと、その子会社で決済システムを提供する米PayPalの立場を揺るがすと考えられていた。だがその予想は遠からず近からずといった感じだ。決済システムとしてPayPalの立場を揺るがす可能性はあるものの、まだ現時点でeBayとは直接競合しない。

 PayPalは日本語対応が行われていないために日本ではあまりなじみのないサービスだが、クレジットカード情報や銀行口座の情報を登録しておくと、PayPalに対応したショッピングサイトで簡単に決済が行えるというものだ。eBayのオークションサービスを利用するユーザーの間で広く利用されていたこともあり、後年になりeBayに買収されその傘下に入っている。Google Checkoutは、まずこのPayPalの市場へと食い込むことになる。このような同社の戦略について、米Googleの製品管理担当副社長サラー・カマンガー氏とGoogle Checkout リードプロダクトマネージャのベンジャミン・リン氏に聞いた。

――PayPalやeBayなどのライバルと、どのようにわたりあっていくのか?

Google 「必ず聞かれる質問だが、PayPalとは違う形でサービスを提供することになる。例えば、PayPalではショッピングカートをチェックアウトする際に入力するクレジットカード情報を省略させるだけで、決済システムそのものの利便性は向上させていない。Google Checkoutではこれらをすべて包括して省略する手段を提供し、ライバルとの差別化を図っている」

――eBayは現在オークションサービスのほか、中小の商店が簡単にオンラインショッピングサイトを開けるようにするためのホスティングサービスの提供を行っているが、こうした仕組みを現在Googleが提供している「Google Base」「Google Page Creator」といったサービスを組み合わせて対抗していくのか?

Google 「Google BaseやPage Creatorなどとの連動は、もちろん視野に入れている。Googleアカウントによる一括した購入プロセスのほか、Page Creator用のチェックアウトボタンの部品を提供する。また、商店や個人がGoogle Checkoutをサイト上に実装して、その機能を簡単に利用できるような環境を提供していくつもりだ」

 Google側のスタンスとしては、まずはオンライン決済のためのインフラを整備することが念頭にあるようだ。同社自身が積極的にオークションやWebホスティングによるオンラインショッピングサイトを提供するのではなく、スポンサーサイトやショッピングサイトでのパートナーを増やしていく。もし個人や中小企業が簡単に商品の売買を行いたいときは、Google Baseなどのインフラを活用することも可能――という具合になりそうだ。

日本市場への参入は? 「楽天」「Yahooオークション」との競合は?

 次に気になるのは日本市場への参入と、そこでのライバルとの競合だ。まだ米国市場での発表が行われたばかりの段階だが、このあたりについても質問してみた。

――日本市場への参入の計画は?

Google 「もちろん視野に入っている。時期の特定はできないが、できる限り早期の段階で発表したい。もともとGoogle Checkoutは世界展開を視野に入れたサービスであり、準備ができしだい順次発表していくことになる」

――日本には楽天とYahooオークションという、米国でいうeBayにあたるサービスを提供する事業者がある。こうしたライバルとはどのように対抗していくのか?

Google 「世界進出を考えた場合、地域ごとのライバルは当然存在する。米国での戦略を軸に、重要パートナーとの提携など、より注意深く戦略を練っていきたい」

 まだ現段階では具体的な戦略が見えてこないが、早期での日本市場進出を考えている以上、遅かれ早かれショッピングサイトやカード会社などのパートナーを味方につけて、日本でのサービスインを実現してくることになるだろう。日本ではPayPalのように広く利用されている共通の決済システムが存在しないため、短期的には直接Google Checkoutが競合するようなライバルは出現しないと考えられる。だが中長期で見れば、Google Baseが本格稼働を始めたり、個人商店向けのホスティングサービスやオークション機能をGoogle自身が実装してくる可能性もある。今後1〜2年後を見据えたとき、eBayを含むこれらのサイトがGoogleとの競争にさらされることは十分に考えられるだろう。

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