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» 2006年07月14日 14時29分 UPDATE

イマドキのイタモノ:その性能は本当に“Extreme”なのか──Intel Core2を検証する (1/3)

垣間見せた性能に度肝をぬかれたIntel Core2ファミリー。このたび、ようやく腰を落ち着けて検証することができた。その真価のほどを紹介しよう。

[笠原一輝,ITmedia]

 インテルは、これまで開発コードネームConroe(コンロー)で呼んできた新しいCPU「Intel Core2」ファミリーを、7月中に出荷開始することをすでに明らかにしている。Core2 Duoでは、Pentium MやCore Duoで採用されてきたモバイルPC向けの設計を応用しつつ、デスクトップPCのPentium D系で採用されてきたシステムバスの技術を持ち込むなどして作られた新しいマイクロアーキテクチャ(Coreマイクロアーキテクチャと呼ばれる)に基づいた製品で、インテルのこれまでのデスクトップPC向けCPUの弱点となってきた多大な消費電力の問題が解消され、かつ性能面でも大きな向上を実現していることが特徴になっている。

 今回は、インテルの正式発表に先立ち、エンジニアリングサンプルを入手したので、これらを利用して、Core2 Duoの性能に迫っていきたい。

Core2 ExtremeとCore2 Duoの差はクロック周波数のみ

 今回筆者が入手したCore2 Duoは、Core2 Extreme X6800とCore2 Duo E6700の2モデルだ。Core2 Extremeは、従来のPentium Extreme Editionに相当し、Core2 DuoがPentium Dに相当すると考えればよいだろう。正式発表前の製品であるので、いずれの製品も詳細な仕様はまだわからないが、CPU-ZやCrystal CPUIDでチェックしたところ、以下のような仕様であることがわかった。

ブランドプロセッサナンバークロック周波数FSBコア数
Core2 ExtremeX68002.93GHz1066MHz2
Core2 DuoE67002.66GHz1066MHz2

ブランドL1キャッシュ(命令+データ)L2キャッシュVTEIST
Core2 Extreme64KB(32KB+32KB)4MB(共有キャッシュ)
Core2 Duo64KB(32KB+32KB)4MB(共有キャッシュ)

 Core2 Extreme X6800とCore2 Duo E6700の仕様(CPU-Zなどから筆者作成、インテルからは未発表)。これらの仕様はインテルの正式発表前の情報であり、実際に発表されたときに変更される可能性がある

kn_core2cpuz_e6700.jpg CPU-Zで表示したCore Duo E6700の情報
kn_core2cpuz_x6800.jpg 同じくCPU-Zで表示したCore2 Extreme X6800の情報
kn_core2cpuz_x6800che.jpg CPU-Zで表示したCore2 Extreme X6800のキャッシュメモリ情報

 Core2 ExtremeとCore2 Duoの差は純粋にクロック差だけとなっている。Core2 Extreme X6800が2.93GHzとなっているのに対して、Core2 Duo E6800は2.66GHzとなっており、約230MHz分だけX6800が高いクロックで動作することになる。これ以外の点、たとえば機能面(VT、EIST、XD)などに関してはCore2 ExtremeとCore2 Duoはまったく同等となっている。

熱設計消費電力が大きく下がったCore2 Duoシリーズ

 今回のCore2 ExtremeおよびCore2 Duoにおける最大の特徴は、消費電力が前世代のPentium Extreme Edition、Pentium Dに比べて大幅に低いことだ。

 ただ、一口に消費電力といっても、PC向けCPUの消費電力には大きく分けて2つのパラメータがある。1つは、熱設計消費電力ないしはTDP(Thermal Desgin Power)と呼ばれる数値で、もう1つが平均消費電力(Average Power)と呼ばれる数値だ。

 CPUは電源供給ユニットから電力を供給されて動作しているのだが、電力を消費すると、そのときに熱が発生する。PCでは、そうした発熱が大きなコンポーネントには、何らかの冷却装置(一般的にはファンかヒートシンク、あるいはその両方を利用する)を利用して放熱し、正しく動作するようにしている。基本的に発生する熱は消費電力に比例して大きくなるため、消費電力が増えれば増えるほど発生する熱は大きくなり、より性能の良い冷却装置が必要になる。一般的にCPUの冷却装置は空冷、つまりファンを利用して冷却することになるのだが、消費電力が増える=熱が増えるとファンの回転数を早くするなどして冷却装置の性能を上げることになる。そうすると、もうPCユーザーであればおなじみの“多大な騒音”が発生するという悪循環がおこることになる。そこで、そのCPUにどの程度の冷却装置が必要かの目安となる数値が“熱設計消費電力”なのだ。

 Pentium DやPentium 4のNetBurstマイクロアーキテクチャでは、設計時にこうした問題を考慮した設計が行われずリーク電流などが多大になってしまったり、クロックをあげる(消費電力はクロックに比例して増えていく)ことで性能を上げていくという設計思想が採用されたりしたために、熱設計消費電力が100ワットを超えるという状況になってしまっていた。たとえば、Pentium Extreme EditionやPentium Dの上位モデルは130ワットという非常に大きな消費電力となってしまっていたのだ。

 しかし、Core2 Duoではこの熱設計消費電力が大きく下がっている。具体的にはCore2 Extreme X6800では75ワット、Core2 Duo E6700では65ワットという消費電力になっている。これにより、必要とされる冷却装置の性能はPentium XE/Pentium Dに比べると低いものでよくなっている。

 ただし、Core2 Duoでは、Pentium XE、もしくはPentium Dに比べて「Tcase」と呼ばれるCPUの動作温度がやや下げられている。一般的にTcaseが下がった場合、逆により性能の良い冷却装置が必要になる。このため、TDPが下がった分のメリットが若干相殺されることになる。このため、Core2 Extreme、Core2 Duoでは、FMB05A(Flexible MotherBoard 05B)と呼ばれるPentium DのTDP95W製品向けに相当する冷却装置が必要になるので、ボックス版についてくるCPUクーラーから 交換する場合には注意したい。

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