発展した大都市の中にも村がある。現在の大都市は、旧市街から市街地が外へ外へ広がったものではあるが、その過程で近隣の集落を飲み込んでいく。その飲み込まれた集落があった場所は、集落の地主が5階建て程度の小さな建物を無計画に建ててしまう。その各階の部屋を貸し部屋や「招待所」と呼ばれる安宿に仕立ててビジネスをする。そこには出稼ぎ労働者や所得のない学生が集う地域となる。こういった地域を“都市の中の村”という意味で「城中村」と呼ぶ。
都会の中心を走る大通り沿いからは、ビジネスビルや中国独特の灰色のマンション、最近建ち並び始めたカラフルな高層マンションしか見えず、城中村の存在には気がつかない。しかし、大通りから細い道をひとつ中に入れば、薄暗くお世辞にも清潔とはいえない城中村が出現する。低所得層が住む場所で治安は悪いといわれている。地元の都市住民ですら近づかない地域だ。
そこに「IT」は存在するのか調べてみた。城中村には街の中心の大通りで見かけるコンビニやスーパーやPCショップはない。しかし、城中村ならではの風景がある。その城中村の風景を紹介しよう。
こんな感じの城中村でもPCはある。分かりやすいのは公衆IP電話屋だ。そこにはかなりの頻度でPC置かれている。また、騒がしい城中村でも耳を澄ませばチャットソフト「QQ」のサウンドが聞こえてくる。大学生が家賃の安い城中村の部屋を借りてつつましい暮らしを送るものの、日本人的感覚でいう「一点豪華主義的」買い物でPCを導入して日々チャットなどに励む。農村からの出稼ぎ労働者だけでなく、そういった「PCを所有する学生」のライフスタイルも城中村にはあるのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.