動画入りHDDが山積みの人に――DIGITAL COWBOY「DC-MC50U2」メディアプレイヤーキット検証 その1(2/4 ページ)

» 2006年08月03日 09時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]

変わらぬ良好な操作性とレスポンス

 「MOVIE COWBOY」シリーズは従来製品でも軽快な操作性やレスポンスは評価されている。本製品では画面レイアウト、リモコンなども従来製品から変更されているが、基本的な操作性は継承され、レスポンスのよさも健在だ。コンテンツ種別を選択、ドライブ、フォルダ、ファイルと階層を追って再生するコンテンツを選択すればよい。一覧内でのフォーカス移動はそれほど俊敏というわけではないが、「前」「次」ボタンですばやいページスクロール、「停止」ボタンでフォルダ階層のさかのぼりも可能と操作は快適だ。

トップ画面から「VIDEO」「AUDIO」「PHOTO」のコンテンツジャンルを選択し、ドライブ→フォルダ→再生したいファイルを指定する。手順としてはごくスタンダードである

 8/16/32倍速の3段階から選択できる巻き戻し/早送り再生はMPEG-1/2以外では紙芝居のような表示にはなるものの、待ち時間もなく操作に対するレスポンスは悪くない。実際にMPEG2、DivX、WNV9の動画ファイルで32倍速での早送り再生時の速度をチェックしてみると、MPEG-2で約28倍、DivXで約44倍、WMV9で約48倍速となった。表記に対するバラつきはあるが、個人的には多少早いぶんにはかまわないとも思う。少なくとも巻き戻し/早送り再生速度が遅すぎてストレスがたまる製品よりはずっといい(過去のメディアプレイヤーの中にはそういった製品もある)。ただし、4倍速程度のもう少し遅い速度も選択できるとなおよかった。

リモコンの巻き戻し/早送りボタンは、5秒/10秒/1分/2分/5分/10分の単位で再生位置移動機能を割当てることも可能。ただしこの機能を利用すると、通常の巻き戻し/早送り再生機能は利用できなくなる。時間単位での再生位置移動は便利ではあるので、できれば通常の巻き戻し/早送り再生と両立させてほしかった(画面=左)。タイムサーチ機能を使うと再生位置を絶対時間で指定できる。4方向ボタンでの操作になるが、便利な機能だ(画面=右)

 再生は「決定」「再生」ボタンのどちらから開始しても基本的にフォルダ内のファイルの連続再生となり、リモコンの「次へ」「前へ」で前後のファイル間移動が可能と、音楽ファイル再生でも不便のない仕様だ。フォルダ内での1/全ファイルリピート再生やランダム再生だけでなく、2点間リピート再生もサポートする。音楽再生に関して言えばプレイリスト機能がないのは残念だが、そもそもPCに接続すれば自由にファイル操作ができるのだから、お気に入りの音楽ファイルをフォルダに集めてしまえばすむ問題だ。なお静止画再生は「再生」ボタンで開始した場合のみスライドショーで連続再生となり、「決定」ボタンと使い分けるようになっている。

 特徴的な機能としてはブックマーク機能が挙げられる。ビデオ、音楽再生中にリモコンのブックマークボタンを押すとファイルと再生位置がブックマークとして記憶される。ビデオロード、オーディオロードボタンを押すとブックマーク一覧が表示され、任意のブックマークから再生が可能。電源を切っても消去されないのでレジューム再生代わりにも使えるし、音楽再生ならお気に入りのアルバムの先頭の曲をブックマークしておけば、トップメニューからいきなりブックマークを呼び出して素早く再生が開始できる。かなり重宝する機能だ。

左は音楽再生時の画面。iTunesで取り込んだ拡張子「m4a」のファイルが認識されていることも分かる。前後の曲間移動だけでなく、再生中でも上下ボタンでフォルダ内の任意曲の選択が可能だ。リピート再生やランダム再生は設定時にOSD表示されるだけで、現在の再生モードが確認できないは少々不便。右は動画のブックマーク一覧。ブックマークは動画と音楽で別々に一覧表示される。1つのファイルに付き1つの再生位置をブックマークとして登録できる

WMV HDに加え、MPEG-2 TSとDivXのHD再生もサポート

 WMV9対応とともに、同社の従来製品と異なる部分がHD映像の再生だ。公式に対応をうたっているのはWMV HDのみだが、DivXの公式サイトでダウンロードした1280×720ドットのDivXファイルや、HDVカムで撮影した1440×1080ドットのMPEG2-TSファイルも問題なく再生可能だ。また、マイクロソフトの公式サイトからダウンロードできるフルHD(1920×1080ドット/10Mbps)のWMV HDファイルも当然のように楽々と再生できた(なお、CPUにAthlon 64 3500+を搭載した筆者のマシンでこのファイルを再生するとCPU使用率はほぼ100%に達する)。

 もちろん、たんに再生可能なだけではない。コンポーネントとDVI出力経由であれば、最大1920×1080ドットのフルHD解像度で出力できる。1920×1080ドットのWMV HDファイルを再生して静止させ、出力を720pと1080iに切り替えて比較してみると、1080iのほうが明らかに細部の表現が高く、曲線部でのジャギーなどもほとんど確認できなかった。しっかりと1920×1080ドットでの実表示能力を備えているようだ。

コンポーネント出力では最高1080i、DVI出力では1080p(1920×1080ドットのプログレッシブ)での出力が可能。別途画面アスペクト比の設定があり、今回は37インチのワイド画面のTVを利用したので16:9に設定したが、筆者がテストした範囲では再生時の空くペクト非がおかしくなった動画ファイルはなかった。初期ファームでは本来16:9で表示される一部のWMV HDファイルが4:3で表示されていたが、ファームウェアアップデートで改善された

 当然ながらSD画質のMPEG-1/2、MPEG-4とWMV9の再生もサポートする。MPEG-4はDivX、XviDに加え、QuickTimeやGV-Encoder(アイ・オー・データ機器のTVチューナーカードGVシリーズ付属ソフト)で作成した、iPod向けの拡張子がMP4のISO-MPEG-4ファイルも再生できた。なお分類上はMPEG-4だが、H.264コーデックでエンコードしたり、GV-EncoderでPSP用としてエンコードしたファイルは再生できない。

 このほか、DivX/120fpsでエンコードした動画ファイルの再生も可能だった(AVIファイルでは1つのファイル内に異なるフレームレートは混在できないため、30/24fpsが混在する動画素材のエンコード手段として、ダミーフレームを挿入した120fpsでのエンコードが用いられる)。ただし、実際に試したのは30分程度の動画だが、終わりに近い部分では映像と音声にズレが感じられた。ちなみにWMV9の24/30fpsが混在した動画ファイルの再生ではとくに映像と音声のズレはなかった。

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