NECのノートPCで中核をなすLaVie Lは、従来から高性能のアドバンストタイプと低価格なベーシックタイプの2シリーズで構成される。今回の秋冬モデルより一足先に発表されたベーシックタイプは、15.4インチのワイド液晶ディスプレイとデュアルコアCPUを搭載することで、大きく機能強化を果たした。それに続いて、アドバンストタイプもラインアップが一新され、ベーシックタイプを上回る大幅な改良が施された。
これまで通り、店頭と同社の直販サイト「NEC Direct」の両方で販売が行われるが、限定カラーモデルが用意された直販機「LaVie G タイプL アドバンストタイプ」に注目したい。
今回のモデルチェンジのポイントは多岐にわたるが、まず目を引くのが鮮烈なボディカラーと流線型のデザインだ。試用したのは直販限定カラーのベルベットパープルだったが、ほかにもスカイブルー、ビターブラウンから選べる。店頭モデルがオーソドックスなシャインシルバーを採用していることを考えると、直販モデルのカラーリングは“刺激的”と言える。天板の中央部とキーボードの周囲が選択したカラーに変わり、カジュアルな印象をより強められること受けあいである。
曲面を多用したボディ形状もユニークだ。これは高級車の外観をイメージしたもので、確かにパームレストの革シボを思わせる加工が車の内装を連想させる。液晶ヒンジ部にあるLEDランプも、ユーザーの視点にあわせて斜め上を向いており、プレミアム感の演出には事欠かない。ただ、その分ボディサイズは374(幅)×292(奥行き)×45.2〜55.5(高さ)ミリと大柄だ。パームレストの手前が緩やかに弧を描いていることもあってか、同じサイズの液晶パネルを搭載するLaVie L ベーシックタイプに比べ、幅は約11ミリ、奥行きにいたっては32ミリも大きいのは気になった。
ボディの変更にともない、チップセットがこれまでのATI Radeon Xpress 200MからATI Radeon Xpress 1250/IXP460に強化された。今回は試作機のためベンチマークテストを行っていないが、グラフィックス機能がRadeon X700クラスのパフォーマンスを持つとされ、Windows Vistaの新ユーザーインタフェースであるAeroの機能をフルに享受できる。また、ATI独自の動画再生支援・高画質化機能のAVIVOに対応しており、DVD-Videoの再生がより精細に行えるのも特徴だ。もっとも、統合チップセットゆえグラフィックスメモリはメインメモリと共有(標準128Mバイト/最大256Mバイト)であり、過信は禁物と言える。
組み合わされるCPUは、Core Duo T2300E(1.66GHz/FSB 667MHz)かCeleron M 410(1.46GHz/FSB 533MHz)だ。インテルから発表されたばかりのCore 2 Duo(開発コード名Merom)の搭載が見送られたのは残念だが、こちらは上位モデルのLaVie C/LaVie G タイプCに採用されており、ラインアップ上の差別化と思われる。もっとも性能に不満はなく、予算や用途に応じて最適なほうを選びたい。
一方、メインメモリは従来のPC2-4200からPC2-5300に引き上げられ、システム/グラフィックス描画の速度向上に貢献している。オンボードで512Mバイトを実装し、2基のメモリスロットを備えて最大2.5Gバイトまでの増設に対応するのは前モデルと共通だ。メモリ容量はBTOで512M/768M/1G(256Mバイト×2)/1G(512Mバイト×1)/1.5Gバイト(512Mバイト×2)/2.5Gバイトと幅広く選べる。
HDDは最大2基内蔵可能で、80G/100G/120Gバイトのシングル構成か、同容量のデュアル構成を選べる(120Gバイト+80Gバイトなどは不可)。最大240Gバイトを搭載できるなど容量面での不満こそないが、今回もRAIDがサポートされたなかった点は物足りなさを覚えた。なお、いずれのHDDもSerial ATAで5400回転の高速タイプを採用しており、パフォーマンスに配慮している。
ベーシックタイプに続いてボディデザインを一新し、15.4インチのワイド液晶ディスプレイを搭載したのも見どころだ。解像度は1280×800ドットで、これまでの1024×768ドット表示のスクエアタイプと比べて画面領域が約1.3倍にアップしている。初期状態で導入ずみのツールバー「おすすめメニューバー」を表示させたままでもデスクトップ画面が確保できるほか、次期OSのWindows Vistaでは、時計などを表示するWindows サイドバーが画面の端に配置されること考えると、ワイド化によるメリットは少なくない。
高輝度/低反射スーパーシャインビュー液晶を備えたベーシックタイプとは異なり、液晶ディスプレイのパネルには、色再現域の広いスーパーシャインビューEX2液晶を採用する。発色や視野角に関して不満はまったく感じられず、モバイルPCのLaVie Aと同じ輝度センサーを新たに内蔵し、周囲の状況に合わせて輝度を最適に調整してくれるようになったのも見逃せないところだ。
ちなみに、本機のBTOメニューにはパネルサイズや画面解像度をそのままに、安価なスーパーシャインビュー液晶のほか、解像度を1920×1200ドットまで広げた非光沢液晶から選べる。15.4インチのサイズを考えると解像度的には1680×1050ドットも欲しいところだが、高解像度の選択肢が用意されたのは好ましい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.