クアッドコアは11月に登場、80コア搭載CPUのプロトタイプも公開──オッテリーニ氏基調講演IDF Fall 2006(3/3 ページ)

» 2006年09月27日 15時11分 公開
[鈴木淳也,ITmedia]
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2007年のSanta Rosa登場でノートPC環境は変化する

 大きなパフォーマンス向上が求められるデスクトップPC/サーバと異なり、ノートPCは今後数年をかけて違う進化を見せることになる。1つは、2007年前半に登場予定の新型プラットフォーム「Santa Rosa」で、来年以降のCentrinoプラットフォームを置き換えるものだ。Santa Rosa世代のノートPCでは、CPUにCore 2 Duoを搭載し、無線LANモジュールは100Mbpsオーバーの通信が可能なIEEE 802.11nベースに対応する。そして、3Dグラフィック処理が強化された統合型チップセット「Intel 965GM」を採用することで、来年1月登場のWindows Vistaを強力にバックアップする。

 ここで注目されるのがSanta Rosaで初めてサポートされる「Robson」と呼ばれる技術で、I/O上にNANDフラッシュメモリのキャッシュを配置することでボトルネックになりがちなHDDアクセスを高速化する。同様の技術にマイクロソフトがWindows Vistaでサポートする「ReadyBoost」「ReadyDrive」やサムスンの「ハイブリッドHDD」などがあるが、アイデア的にはRobsonと同じものだ。RobsonとWindows Vistaを組み合わせることでRobsonをReadyBoostやReadyDriveとして利用することもできるため、互いに補完関係にある技術ともいえる。

 ここでも述べたように、Santa Rosa世代の標準無線LAN規格はIEEE 802.11nとなる。802.11nはMIMOと呼ばれる技術を用いて100Mbps以上の通信を実現する新しい規格で、現在IEEEによって標準化の最終作業が行われている。2007年末には最終仕様が登場するとみられるが、すでに決定された仕様の一部を利用して802.11n対応機器の認定が行われつつあり、Santa RosaベースのノートPCが市場に登場するころには多くの対応機器が出回るとみられる。またIEEE 802.16eと呼ばれるモバイルWiMAX規格のモジュール化も進められており、2008年にはノートPC向けの内蔵モジュールが登場し、標準仕様の一部としてノートPCに組み込まれるようになる可能性がある。

2007年のノートPCプラットフォーム。Santa Rosaの登場により、多数の新機能が標準搭載されることになる
注目技術の1つが、NANDフラッシュメモリをキャッシュ代わりに使ってHDDのシーク動作を高速化する「Robson」。アプリケーションの実行やハイバネートからの復帰速度が2倍になる
別モジュールだったノートPC向けのWiMAX(IEEE 802.16e)は、2008年には無線LANと統合されて1つの内蔵モジュールに

 前回のIDF Spring 2006で発表されたウルトラモバイルPC(UMPC)にも進展がみられる。従来の小型デザインに加え、システム部品の統合と省電力化を進め、2007年にはCPUのパッケージサイズで4分の1、消費電力で2分の1、さらに2008年にはそれぞれ7分の1〜10分の1まで縮小させ、将来的にはモジュールの1チップ化を実現する。現行のUMPCはバッテリーの持続時間と重量などの面でまだまだ課題を抱えているが、今後技術の進展とともに順次解決していくことになるだろう。

半年前に発表されたUMPC(ウルトラモバイルPC)のコンセプトモデルの1つ
本体を回転させると中からフルキーボードが出現する

UMPCはフォルクスワーゲンに内蔵された車載システムと連携して、相互にデータ通信したり、タッチパッドで車載システムのコントロールができる
UMPC用CPUのTDPとダイサイズの推移予測。将来的には1チップ化を目指す
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