最新「MacBook Pro」の本当の意味(2/4 ページ)

» 2006年11月06日 13時40分 公開
[林信行,ITmedia]

CPU性能比を上回るパフォーマンスアップ

 アップルはこのIntel Core 2 Duoの搭載に慎重だった。いつもの勢いで一番乗りを果たすことはなく、むしろ採用メーカーとしては後発の部類となった。ただしそのおかげで、多くのメーカーが2GHz以下のモデルを搭載する中、一気にMerom最速仕様のCPUを搭載し、パフォーマンスノートPCという製品カテゴリーのトップに躍り出ている。その性能はベンチマークテストの結果を見れば一目瞭然だろう。なお、参考値として前モデルをはじめ、いくつかの同社製品を比較対象に掲載した。

左からXBench(左2つ)、CINEBENCH、Photoshopの処理時間。XbenchによるCPU性能の計測では特にベクター演算の伸びが顕著だ。ベクター演算はIntel Core 2 Duoの改良点の1つとなっている。Rosetta経由で実行しているPhotoshopを用い、特定のシーケンスを実行させて処理時間を計った。ネイティブ動作のPowerBook G4の実効速度を上回っている

 まず定番ベンチマークソフト、Xbenchの結果では、CPU性能で大きな差を見せつけている。細かく見てみるとインテルCPU化してから遅くなっていたベクター演算の性能が飛躍的に向上したようで、PowerBook G4のベクター演算性能をついに追い抜いた。浮動小数点演算性能も大きく向上し、グラフィック性能の違いも顕著に現れている。

 それではCINEBENCHではどうだろう。こちらの結果も飛躍的な向上を示している。どうやら新MacBook Proでは、搭載されているATI RADEON X1600Proそのものの性能もあがっているようだ。

 最後にRosetta経由で実行したPhotoshopによる性能も検証している。結果は劇的なスピードアップとなり、PowerBook G4すらを大きく上回っているのが分かる。

 ただし、これらの結果はOSの違いを考慮していない点に注意して欲しい。最新のMac OS X v10.4.8では、Rosettaの実行パフォーマンスがかなり改善された。新MacBook Pro以外のテストは、以前に測定したテスト結果であり、このRosetta高速化の影響を反映していない。それはほかのテストの結果についても同じで、今回テストに用意できた機材は最新MacBook Pro 1台のみとなっており、後は基本的にこれまでに取りためたテスト結果を流用しているだけに過ぎないことをお断りしておく。

 ベンチマークテストの結果というものは、ちょっとした要因で予想外の結果をもたらすこともあり、必ずしもマシンパフォーマンスの印象を正確に表しているとは限らない。より直感的でわかりやすい指標は、「アップルのプロ用アプリケーションがさくさくと動く」というものだ。実際、Mac ProとiMacを除くこれまでのどのMacよりも快適に動く。

 例えばApertureを使ったRAWファイルの取り込みにしてもボツ、ポツ、ポツっというテンポでの取り込みではなく、タッタッタッというより心地よいペースでの取り込みができる。また、Final Cut Proを使ったHDVビデオの編集でも、解像度を落としたプレビューでなくフル品質での編集が行えた。

 会社に作業用マシンとしてMac Proを置いておくだけでは満足できないプロユーザー、作品をどこかへ持ち出したり、外出先で作業する必要があるプロユーザーなら、MacBook Proを選んで間違いないはずだ。

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