動画スペックに磨きをかけた24.1インチWUXGA液晶ディスプレイ──FlexScan S2411W(2/2 ページ)

» 2006年11月30日 10時15分 公開
[林利明(リアクション),PR/ITmedia]
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3000:1へのコントラスト拡張と輪郭補正でメリハリある映像を表示

 コントラスト拡張は、ナナオの液晶テレビ「FORIS.TV」でも採用されている技術だ。S2411Wで動画を表示したときのコントラスト比を、3000:1まで向上させる。液晶パネルのスペックは1000:1なので、スペック自体が3000:1になるわけではない。動画の時間軸の中で、あるシーンでの黒レベルと、あるシーンでの白レベルを抽出すると、コントラスト比が3000:1になるというものだ。

 もう少し詳しく解説すると、動画の暗いシーンではバックライトとゲインレベルの自動制御によって、拡張処理が行われる。通常、動画は輝度を高くして鑑賞するが、暗いシーンでは高輝度による黒浮きが発生しやすい。そこで、バックライトを暗くして黒を引き締めつつ、ゲインレベルを調整して明るさを復元する。

 一方、動画の明るいシーンでは、バックライト制御とガンマ値の補正による拡張処理となる。このようなシーンはシャドウから中間調の情報そのものが少ないため、バックライトの輝度を落として暗部の締まり感を出す。同時に、動画に合わせてガンマ値を自動補正することで、中間調からハイライトの明るさを保つ。この処理は、フォトレタッチソフトのトーンカーブ機能で「S字」補正するイメージに近い(静止画のトーンカーブをS字型にするとコントラストが高まる)。

コントラスト拡張の有効/無効による動画の表示イメージ。左が無効、右が有効

 実際に動画を表示しながら、コントラスト拡張の有効と無効を切り替えてみると、確かにコントラストが上下することが分かる。シャドウから中間調が多い映画や、アニメーションなどで効果的だと感じた。

 コントラスト拡張は、FineContrast(プリセット画面モード)のCustomモード、Pictureモード、Movieモードで利用できる。

コントラスト拡張の有効/無効はOSDで切り替える

 もう1つの輪郭補正は、動画と静止画に関係なく、画面のシャープネスを調整する機能と思えばよいだろう。FineContrastのCustom/Picure/Movieモードで利用でき、調整範囲は「±3段階」だ。マイナス側に振るとソフトネス、プラス側がシャープネスとなる。画質的な変化はそれほど大きくないようだが、シャープネスは見た目の画質に与える影響が大きいため、控え目なくらいがちょうどいい。

輪郭補正は±3段階に調整できる。こちらもOSDで切り替える

基本的な機能と画質はS2410Wを受け継ぐ

 これまで紹介してきた強化点を除けば、S2411Wの機能と画質はS2410Wとほぼ同じだ。

 画面サイズは24.1インチWUXGA(1920×1200ドット)で、各種のツールパレットを表示したままの状態でも重なることなくA3サイズの画像を実寸で表示できる。スタンドは定評ある「ArcSwing 2」だ。チルト、スイーベル、高さ調節を備え、ノートPCと同じような見下ろす位置に画面をセッティング可能で、身体的な負担を減らせる。

WUXGA(1920×1200ドット)とUXGA(1600×1200ドット)およびSXGA(1280×1024ドット)とのサイズ比較
「ArcSwing 2」はチルト、スイーベル、高さ調節が可能で、円弧を描くように画面の向きや高さを調整できる

 OSDを操作するボタン類は静電容量タッチ式になっており、上下で輝度、左右でFineContrastモードを直接変更できる。USBハブ機能も搭載しており、液晶パネル部の左側面にUSB 2.0×2を装備する。

ボタン類は静電容量タッチセンサー方式。「SIGNAL」は入力系統を切り替える。「AUTO」はアナログ接続時のオートアジャスト用。「ENTER」でOSDメニューを呼び出す

 画質の調整項目は、輝度、色温度(14段階:4000K〜10000Kまで500K単位、9300K)、ガンマ調整、色の濃さ、色合い、輪郭補正、コントラスト拡張、ゲイン、RGB/CMYの6色独立調整だ。すべての項目を調整可能なのはFineContrastのCustomモードで、sRGBモードは輝度のみ変更できる。

 画質の調整は、付属ユーティリティの「Screen Manager Pro for LCD」でも行え(S2411WとPCをUSB接続している場合)、アプリケーションに会わせてFineContrastモードを自動的に切り替える「Auto FineContrast」にも対応している。FineContrastモードや画質の調整項目設定は、2系統の接続インタフェースごとに独立して記憶される。

 基本的な画質に関しては、S2410Wと同じく14ビット精度の内部ガンマ補正も搭載するため、階調性に優れる。VA系液晶パネルの特性上、視野角による色の変化は視認できるものの、黒から白の無段階グラデーションを表示しても、縦筋(トーンジャンプ)はほとんど見られない。あえて厳しく見れば、シャドウ寄りの「0〜20」程度の階調が潰れ、ハイライト寄りの「230〜255」程度の階調がとび気味なのだが、視点を少し横にずらすと判別できるレベルだ。これは色視野角を逆手にとった手段で、微妙な階調も描き分けられているということだ。

 画質性能をチェックするため、GretagMacbethのキャリブレーター「Eye-One Display2」とその付属ソフト「Eye-One Match 3」を使って、S2411Wをキャリブレートしてみた(sRGBモード、輝度22%)。

GretagMacbethのキャリブレーターと付属ソフトを使ってキャリブレートした実測データ

 入力信号に対して、画面上の色がわずかに明るくなっているが、RGBのトーンカーブ(ガンマカーブではない)はほぼぴったり重なっており、シャドウの0階調からハイライトの255階調まで比較的リニアに伸びている。つまり、きれいな階調とほぼ正確な色再現ができているわけだ。

 また、色温度とガンマ値の目標値に対して、実測値が一致している点と、輝度の目標値と実測値に「0.3cd/m2」の差しかない点、輝度の最低値が「0.1cd/m2」である点もすばらしい。輝度の最低値は「0cd/m2」が理想だが、現在の液晶ディスプレイでは構造上不可能だ。もっと高精度なキャリブレーターを使えば、目標値と実測値の差が大きくなる可能性はあるものの、トップクラスの性能であることは間違いない。

 実測データの品質でS2411Wを超えるのは、ナナオのプロ向け液晶ディスプレイ「ColorEdgeシリーズ」など、ごく一部の製品だけだろう。

価格も下がってコストパフォーマンスは急上昇

 筆者の個人的な意見では、仕様面におけるS2411Wの最大ポイントは、HDCP対応とフルHD解像度のドットバイドット表示だと思う。先述したように、PC環境で今後増えてくる著作権保護されたコンテンツを、きちんと表示できる安心感は大きい。D端子やコンポーネント端子、HDMI端子といった映像入力を持たせてこなかったのは残念だが、HDCP対応のWUXGAモデルとしては、間違いなく“買い”だ。

 また、WUXGAの広大なデスクトップは、Windows Vistaでも真価を発揮する。Windows Vistaはガジェットと呼ばれるミニアプリケーションを画面上に多く配置できるため、高解像度でワイドな画面ほど使いやすい。

 動画表示における3000:1のコントラスト拡張もポイントだ。PCで動画を見る機会はどんどん増えており、コントラスト拡張の有効(3000:1)と無効(1000:1)を見比べると、有効のほうが明らかに映像が引き立つ。

 加えて、価格が下がった点も強調しておきたい。ナナオの直販サイト「EIZOダイレクト」の価格は、2006年11月20日時点で13万9800円(税込み)だ。S2410Wが16万円弱だったことを考えると、動画の表示品質や応答速度の向上なども含めて、S2411Wのコストパフォーマンスは大きく高まっている。

 なおEIZOダイレクトでは、S2411W発売記念キャンペーンとして「BOSE Companion3スピーカーセット」(台数限定)や「WACOM ペンタブレットセット」などを特別価格で提供しているので、興味のある人は訪れてみてはいかがだろうか。

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提供:株式会社 ナナオ
制作:ITmedia +D 編集部/掲載内容有効期限:2007年3月31日