第2回 今シーズン注目の複合機8モデルをチェック複合機06年モデル徹底攻略ガイド(2/3 ページ)

» 2006年11月28日 11時00分 公開
[林利明(リアクション),ITmedia]

予算4万円/ミドルハイクラスの複合機を狙う

Colorio PM-A920(エプソン) 実売価格3万8000円前後

Colorio PM-A920

 Colorio PM-A920は、PM-A970からCD-RW/DVD-ROMコンボドライブを省き、ノズル数や液晶モニタのサイズ、CCDの光学解像度などでコストダウンを図ったモデルだ。しかし、給紙機能は新モデルの中でもっとも充実している。前面と背面のダブル給紙は、前面がカセットなので幅広い用紙をセットできる(PM-A970の前面給紙はA4普通紙のみ)。さらに、オプションで自動両面印刷ユニットを増設できるのは、PM-A920だけだ。増設すれば自動両面コピーも取れるため、家庭内のカラーコピー機として利便性が高まるに違いない。

 プリンタ部は染料6色のPM-Gインクを採用。ノズル数がPM-A970の半分の割に印刷速度の落ち込みは小さい。ダイレクト印刷の開始も速いため、使用感は良好だ。写真印刷時のオートフォトファイン!EXは、PM-A970と比べてわずかに彩度が低くなり、人肌にイエローが乗る印象を受けた。どちらが良い悪いではなく、これは傾向と好みの問題だろう。昨年モデルのPM-A950とPM-A890で見られたような、発色傾向の大きな違いがなくなったのは歓迎したい。CCDセンサの光学解像度も3200dpiあり、フィルムスキャンを考えても十分だ。

 操作性や液晶モニタのメニューは、画面サイズや機能面のメニュー項目を除いて、PM-A970と共通だ。設定項目は多いものの、設定内容の一覧性がよいため、必要最低限のボタン操作で済む。上位モデルのような付加価値は省かれているものの、余裕ある給紙機構と十分な性能を確保しており、ハイスペックな複合機として実力は高い。

PIXUS MP810(キヤノン) 実売価格3万7000円前後

PIXUS MP810

 PIXUS MP810は、昨年評価の高かったMP800の後継機だ。ボックス型の本体デザインを採用し、奥行きを74ミリ短く、高さを14ミリ低くするなどの省スペース化を実現している。突起のないフラットなボディなので、かさばりがちなハイスペック複合機としては設置しやすい。

 プリンタ部は染料4色+顔料Bkの全5色インクシステム、スキャナ部は光学4800dpiのCCDセンサを採用する。インクの色数とフィルムスキャンの連続読み取りコマ数、液晶モニタのサイズ以外は、最上位のMP960とあらかた同じスペックと機能だ。ノズル数の増加や紙送り機構の改良などで印刷速度が向上し、特に標準画質モードの写真印刷が高速化した点は見逃せない。標準モードの印刷品質が標準以上のモードと大差なく、たくさんの写真を良好な画質でサクサクと出力できるのは快適だ。発色は彩度とコントラストが比較的強めで見栄えがよく、全体的な色設計は安定していると感じた。

 給紙周りはマルチペーパーハンドリングで、標準装備の自動両面印刷は2カ所の給紙場所(前面カセット/背面フィーダ)のどちらからでも使える。CD/DVDレーベル印刷では、メモリカード画像に手書き文字やイラストを合成して印刷する「手書きナビシート」に対応した。ユーザーインタフェースのEasy-Scroll Wheelは、MP960やMP600と同じもので扱いやすい。ダイレクト印刷とコピーの用紙設定が共通で、個別の機能ごとに用紙設定を保存できない点は改善の余地があるが、全体的な操作性はかなりよくできている。

 機能、性能、価格というトータルで見ると、キヤノンの新モデルではもっともバランスが取れている。さまざまなニーズを無難にこなす、このクラスの製品らしいオールラウンダーだ。

HP Photosmart C7180 All-in-One(日本HP) 実売価格3万5000円前後

HP Photosmart C7180 All-in-One

 日本HPのHP Photosmart C7180 All-in-Oneは、HP Photosmartシリーズの最上位機。ヨドバシカメラやビックカメラなどの量販店限定となるリテールモデルだ。同社のほかのモデルが白を基調としたカラーに統一されている中、シルバーのボディが異彩を放っている。

 プリンタ、スキャナ、コピー、FAX、ダイレクト印刷の5機能を備え、有線/無線LANインタフェースやBluetooth、自動両面印刷ユニットも標準装備するなど、機能の豊富さは目を見張る。プリントエンジンは同社自慢のSPTで、高速かつインクの無駄がない。SPTのインクはアドバンスフォト用紙に最適化されているが、インク乾燥が遅い点を我慢して、色域の広いプレミアムプラスフォト用紙を使う価値もある。

 基本スペックは昨年モデルの最上位機HP Photosmart 3310をほぼ踏襲しつつ、本機では操作パネルのボタン類や液晶メニューのユーザーインタフェースが変更されている。独立系の機能ボタンを多く配置し、液晶メニューにはキオスク端末風のインタフェースHP Photosmart Expressを採用した。個人的な感想では、ボタン類が多いのは慣れとともに使いやすくなるが、液晶モニタのメニュー構成には少々戸惑った。階層と設定項目のつながりが分かりにくく、設定内容の一覧性も乏しいため、他社に比べると直感性に欠ける印象だ。

 エプソンやキヤノンのようなアミューズメント機能は少なく、実用性本位の設計は相変わらずだが、多機能かつ他社のハイエンド機より価格設定が低いため、コストパフォーマンスは群を抜く。フィルムスキャンとスキャナドライバの完成度に難を残すが、それ以外の機能をメインに使うなら満足度は高い。なお、フィルムスキャンが不要という人は、ADFを標準装備した「HP Photosmart C6175 All-in-One」をチェックするとよいだろう。

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