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90センチ落下、散水、低温動作テストを実演――NEC「ShieldPRO」発表会TOUGHBOOKの強力ライバル現る

» 2006年12月05日 17時25分 公開
[前橋豪,ITmedia]
ShieldPRO FC-N21S

 NECは12月5日、業務用の堅牢設計ノートPC「ShieldPRO FC-N21S」の販売を開始したと発表した。製品概要は既報の通り。ここでは、同日開催された発表会の内容をお伝えする。

 市場動向や製品概要についての説明は、同社放送・制御販売本部長の磯村二郎氏と同社制御システム事業部長の江上一成氏が行った。堅牢設計ノートPCの国内市場は昨年で2〜3万台とまだまだ小さく、パナソニックのTOUGHBOOKが圧倒的なシェアを確保しているが、ShieldPRO FC-N21Sの投入により市場規模の拡大を目指し、今後2年間で2万台の販売を見込んでいるという。製品は、電力、水道、建設、通信、鉄道といった現場作業向け、工場内設備への組み込み、検査端末、整備端末向け、防衛、消防、警察関連の特殊車両搭載向けに販売する。

従来機がレースや登山といった過酷な環境下でも使用された例(写真=左)。屋外での現場作業端末、検査端末や整備端末、特殊車両搭載端末といったマーケットに対して2年間で2万台の販売を見込む(写真=右)

 ShieldPROという愛称は、Shield(盾、シールド)という単語が、頑丈、防塵、防滴のイメージに通じることから付けられた。また、Security(安全)、Hard(硬い)、Innovation(革新的)、Environmental(環境にやさしい)、Light(軽量)、Durability(耐久性)の頭文字でもあるという。

 FC-N21Sは、同社が2004年10月に発売した「FC-N11F」の後継機にあたる1スピンドル構成のノートPC。従来機に比べて22%の軽量化を図り、約2.5キロの本体重量を実現した。CPUはPentium M 1.1GHzからCore Solo U1400(1.2GHz)に、液晶ディスプレイは通常のチルト型から180度回転可能なコンバーチブル型に、HDDが固定式から着脱可能になるなどの変更が施されている。バッテリー駆動時間は、従来機の約5時間に対して、約8時間に延長された。

キーボード、OS、メモリ容量、HDD/バッテリ、無線LAN/指紋センサの仕様が購入時に選べる(写真=左)。1024×768ドット表示の12.1液晶ディスプレイは抵抗膜方式のタッチパネルを搭載し、180度回転させてペンで操作することも可能(写真=中央)。画面下の赤いボタンは電源ロック解除スイッチだ。持ち運びに配慮して、前面にストラップが装着されている(写真=右)

前面(写真=左)と背面(写真=右)。液晶ディスプレイ部はフックをかけて閉じるため、しっかりロックされる。背面にはアナログRGB出力、シリアル、ヘッドフォン出力、マイク入力、盗難防止用ロックを配置

左側面(写真=左)と右側面(写真=右)。左側面には、USB 2.0×3、SDメモリーカードスロットを用意。一番奥のUSBポートのみ着脱耐久性を強化したコネクタを採用する。右側面には、TypeII×1のPCカードスロット、1000BASE-T準拠の有線LAN、FAXモデムを配置している

 最大の特徴となる堅牢性については、筐体にマグネシウムダイキャスト合金を採用し、フローティング構造で耐衝撃性を高めたHDDユニット、強化ガラス仕様の液晶ディスプレイなどを組み合わせることで確保している。また、ほこりや水が端子から進入しないようにインタフェースには肉厚のゴムキャップが装着されるなど、防塵・防滴機構も備えている。昨日発表されたビジネス向け堅牢モバイルノートPC「VersaPro UltaLite タイプVC」「同タイプVM」は、CPUにCore Duoを採用したファン搭載機だったが、FC-N21Sは発熱量の少ないCore Soloをあえて選択することで、ファンレス設計と広い動作温度範囲を実現した。耐振動設計としたことで、車載にも対応する。

 耐衝撃性能は、液晶ディスプレイを閉じた状態の非動作時で高さ90センチから木製やコンクリート製の床へ落下させる試験をクリア(動作時の落下試験は実施していない)。ほこりや水の進入を防ぐ防塵・防滴性能はIP54準拠の保護等級となる。装置内を2KPa減圧してパウダーが舞う中に動作状態で8時間放置する防塵試験や、非動作状態で毎分10リットルの水を全方向から5分間散水する防滴試験に耐えた。オプションの専用ケーブルを利用すれば、外部機器との接続時もIP54準拠の防塵・防滴性能が得られる。

 動作温度範囲は、標準の60GバイトHDD搭載時で5度から45度。購入時に広温度範囲対応の40GバイトHDDと広温度範囲対応バッテリーを選択すれば、マイナス20度から50度の温度環境下で動作が可能だ。また、HDDの代わりに8Gバイトのフラッシュメモリと軽量バッテリーの組み合わせを選択することで、重量を約2.3キロに軽量化しつつ、工場内などで求められる常時稼働に対応する。フラッシュメモリ搭載モデルおよび広温度範囲対応HDD搭載モデルなどのバリエーションについては、2007年3月より出荷される。

90センチ以上の高さから木製の板に落下させるデモ(写真=左)。落下後も問題なく起動した。動作している状態で500ミリリットルの水をかけるデモ(写真=中央)。液晶パネル、キーボード、タッチパッドなど、全面的に防滴処理が施されている。ドライアイスを大量に入れたマイナス10度程度のボックス内で動作させるデモ(写真=右)。会場ではマイナス11度程度だったが、準備時はマイナス15度の状態で動作していたという

 セキュリティ機能としては、TPM v1.2準拠のセキュリティチップや指紋センサを搭載。HDDデータ暗号化、HDDデータ消去、USBメモリキーなどの外部メモリや光学メディアの読み込みと書き出しを制御する「Device Protector」といったユーティリティも付属する。

 サポートに関しては、全国408カ所の拠点で対応。引き取り修理、出張修理、契約保守など運用に応じたサポートが受けられる。本体およびACアダプタは3年間保証、バッテリとオプション製品は1年間保証だ。また、生産終了後6年間の保守サポートを実施する。

FC-N21Sのマザーボード(写真=左)。CPUはCore Solo U1400(1.2GHz)で、ファンレス設計となっている。液晶ディスプレイは、低温の環境でも始動が早いLEDバックライトを採用する(写真=中央)。ボディ底面のケースを背面から見た状態(写真=右)。アナログRGB出力の左に排水用の穴が4つあるほか、各パーツ内に水が侵入しないように囲いが設けられている。素材はマグネシウムダイキャストだ

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