“Vista待ち”のあなたは、大きな勘違いをしている(ハイエンド編)いまPCを買うなら(3/3 ページ)

» 2006年12月27日 13時30分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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ハイエンドノートPC「Endeavor NJ5000」でのVista

 ハイエンドノートPCとしてチョイスしたのは「NJ5000Pro」だ(製品の詳細は、グラフィックスワークステーション級の性能を――「Endeavor NJ5000Pro」を参考にしてほしい)。

 NJ5000ProのBTOで選択できるCPUはすべてCore 2 Duoで、ディスプレイは1920×1200ドット(UXGA)か1680×1050ドット(WSXGA+)、ビデオチップも現時点でミドルレンジのATI RADEON X1600かグラフィックスワークステーション向けのFireGL V5200と、フラッグシップを名乗るのにふさわしい仕様だ。メモリもミニマム構成で512Mバイトからとなっており、メモリさえ1Gバイト以上搭載すれば「Windows Vista Premium Ready」の条件を満たすことになる。

 ハイエンド製品とはいえそこはノートPCであり、ユーザーが購入後にパーツ交換できる部分は多くないし、BTOメニューもデスクトップPCほどの自由度はない。そこで試用機のパフォーマンスをベースに構成を考えていくことにする。

 試用機のスペックは、Core 2 Duo T7600(2.33GHz)、メモリ1Gバイト(512Mバイト×2、デュアルチャンネル)、1920×1200ドットディスプレイ、ビデオチップにMoblitiy FireGL V5200、7200rpmの100Gバイト HDD(日立HTS721010G9SA00)、DVDスーパーマルチドライブの組み合わせだ。ビデオチップが評価用としては一般的ではないと思われるかもしれないが、FireGL V5200はRADEON X1600(RV530)をベースとしており、DirectX環境ではほぼ同程度のパフォーマンスなので、参考値として考えてもらってもかまわないはずだ。

「Windows エクスペリエンス インデックス」は、デスクトップPCのPro4000と比較するとさすがに見劣りはするが、AERO GLASSの利用も申し分ないスコアでバランスも悪くない

 「Windows エクスペリエンス インデックス」ではもっとも低いスコアがグラフィックスの4.2となったが、もちろんAERO GLASSを利用する基準の3.0は大きく上回る。注目すべきはHDDのスコアで、今回は7200rpmの製品を使用していることもあり、5.0とデスクトップPCに迫る値を叩き出している。NJ2000のスコアを引用すると5400rpm製品では4.3だから結構な差だ。BTOでは7200rpm製品は100Gバイトのみになっているが、より大容量でないと困るという人以外は、あえて7200rpmの製品を選ぶのも1つの手だ。

 メモリに関しては2Gバイトをお勧めしたい。メモリスロットは2個備えているが、2枚1組のデュアルチャネル構成になっているので、どの容量でもメモリの拡張時には購入時のメモリを取り外すことになる。1Gバイトでも2Gバイトでも容量あたりの単価は同じなので2Gバイトだと割高になるというわけでもない。予算が許せば購入時のまま使い続けることを考えたほうが懸命だ。

 液晶パネルとビデオチップはセットで考えることになる。15.4インチでは1920×1200ドットはかなりドットピッチは小さくなるが、1680×1050ドットとの価格差は1万円弱でしかないし、実はこの価格差にはビデオメモリの256Mバイトから512Mバイトへのアップグレードコストも入っている。またWindows Vistaではdpiスケーリングが可能であり、解像度をそのままにフォントやメニューバー、ツールバーなどもバランスを取って拡大/縮小表示が可能なのだ。つまり物理解像度はそのままに画面全体のズーム表示が可能なので、ドットピッチの小ささは容易にカバーでき、それでいて画像処理などでは高解像度を活用できる。液晶パネルは後から交換できないのでやはり1920×1200ドットを選択したいところだ。

試用機に外部ディスプレイを接続し、デュアルディスプレイで1920×1200ドット+1680×1050ドットの広大なデスクトップを構築した。ハイビジョン動画を2つ再生しながらの「Flip 3D」もスムーズ。2つのハイビジョン動画の同時再生は実用ギリギリといったところだが、目に見えてコマ落ちが発生することはない

 ビデオチップの選択はシンプルだ。1680×1050ドットパネルではATI RADEON X1600 256MBのみで、1920×1200ドットでは、OpenGL対応のアプリケーションを使用するならATI FireGL V5200 512MB、そうでないならATI Radeon X1600 512MBを選択することになる。

 アナログRGBとDVD-D出力も備えており、外部ディスプレイを接続すればデュアルディスプレイ環境も構築可能だ。この場合は(AERO GLASSを利用するなら)ビデオメモリの容量も重要になるが、1680×1050ドットパネルを選択した場合でも、同解像度のディスプレイを組み合わせてデュアルディスプレイが可能だし、1920×1200ドットパネルを選択した場合でも同じく同解像度のディスプレイを組み合わせられるだけのビデオメモリは備えている。

 ほんの少し前までなら「(ノートPCで)ビデオメモリは512Mバイトもいらないよ」と言い切れたのだが、Vistaの登場で話は変わってきた。この点はさすがVista時代を見越したのハイエンドモデルと思わせる部分だ。

 以上のポイントを整理すると、ハイエンドノートPCでVistaに最適なBTO構成は、CPUがマルチタスク性能を考慮してL2キャッシュが4MバイトとなるCore 2 Duo T7200以上。メモリは増設時の無駄なコストを省くために2Gバイト(1Gバイト×2)にし、ディスプレイは価格差以上のメリットが得られるであろう1920×1200ドットパネルで用途に応じてビデオチップを選択、HDDは7200rpmタイプの100Gバイトといったあたりになりそうだ。

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