かんたん設定ソフトによるセットアップが終了すれば、VGF-WA1でPCに蓄積された音楽を聴く準備は完了する。内蔵の液晶ディスプレイと操作ボタンを用いて、サーバの選択、アーティストやアルバム、曲を選び、再生ボタンを押せば、楽曲再生がスタートする。もちろんシャッフルやリピートといった、基本的な再生機能も備える。操作に対するレスポンスはサーバに蓄積されたライブラリのサイズにもよるが、基本的にはPCで操作する場合と大差ない。ただ、ライブラリサイズが大きくなると、それなりにレスポンス時間は長くなる。
PCと異なるのは、内蔵液晶ディスプレイが5行分(項目を加えると6行)しか表示できないことだ。数十Gバイトに及ぶようなライブラリでは、お目当てのアルバムやアーチストにたどり着くのに時間がかかる。プレイリストを作成するなど(iTunesは除く)、利用者側でひと工夫したほうがよいだろう。
無線LANインフラがあり、ネットワーク上にDLNAサーバ機能を持つ製品がある場合、本機をDLNAプレーヤー(クライアント)として利用することもできる。2万円台のNASでDLNAサーバ機能を持った製品も登場しており、これらと組み合わせるとPCレスでの音楽再生も可能だ。NASなら消費電力もPCに比べて少なくてすむ。
これらのサーバに蓄積された音楽データを聴く以外に、本機でインターネットラジオ(Webラジオ)を聴くことも可能だ。数千局のWebラジオ局を提供するLive365.comのサービスを利用して、さまざまなジャンルから好みの音楽を聴くことができる。残念ながら試用した時点ではWebラジオ局をユーザーがプリセットするためのサービスが開始されておらず(製品発売時には日本語ページでプリセットすることが可能になる予定)、固定された10局あまりからの選択となったが、聴くこと自体は問題なく行えた。なおWebラジオを聴く場合、無線LANインフラ経由であれば、最初に局データを取得してしまえば、以降はPCを特に必要としない。
(編集部補足:Webラジオ機能は使用開始から30日間は100局が試聴でき、30日経過後は10局からの選択となります。また、有料サービスの登録をすれば、数千の放送局からPCのWeb経由で500局のプリセットが可能です)
さて、音楽再生となると気になるのは音質だが、比較的低音よりの聞きやすさを重視したもの。トータルでは価格相応というところだろうか。高磁力ネオジウムマグネット採用のスピーカーユニットや、スピーカーエンクロージャーを筐体から分離することによる共振対策(おかげでかなり音量を上げてもビリつかない)、デジタルアンプや24ビットDSPチップの採用など高音質のための努力はなされている。しかしながら、絶対的な価格(実売約3万5000円前後)の壁に加え、デジタル部にかなりの予算を割かねばならないこともあり、ビックリするような音は出てこない。本機はヘッドフォン端子に加え、ライン出力(アナログオーディオ出力)と光デジタル音声出力を備えているから、より優れた音質を求めるのであれば、これらを利用したい。
本機の購入に際して、比較の対象となるのはデジタルオーディオプレーヤー用の外部スピーカー、とくにiPod用のスピーカーだろう。確かに、エンコードされた音楽データを聴くという点では、本機もiPodスピーカーも変わらない。とはいえ、iPodを持った息子を送り出した後、母親がリビングやキッチンで音楽を聴きながらくつろぐ、といった目的に本機はピッタリだ。
さらにオールインワンタイプのメリットとして、内蔵時計による目覚ましは、iPodスピーカーやAirTunesでは実現が難しい機能ではなかろうか。このタイマー機能の充実も本機の特徴で、2系統のタイマーごとにコンテンツや音量を独立して設定できるほか、曜日別にセットすることも可能だ。サーバに蓄積されたお気に入りの音楽で目覚める、という使いかたが手軽にできるのも本機の魅力の1つと言える(ただ、DC駆動時にACアダプタを抜くと時計がリセットされてしまうのはいただけない)。
なお、発売キャンペーンとして、3月27日購入分まで5000円のキャッシュバックが行れる「Wi-Fi Audio デビューキャンペーン」が展開中だ。本機に興味があるユーザーは、まずはWebページをチェックするとよいだろう。
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