ロケーションフリーはTVだけじゃない!?――Wi-Fiオーディオ「WA1」元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)

» 2007年01月31日 10時30分 公開
[元麻布春男,ITmedia]
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一度つながれば快適に使えるが、細かい部分で気になるところも

付属のリモコン。機能はシンプルで、設定の変更などは本体での操作が必要だ。こちらにも液晶画面があるとよかったのだが……

 かんたん設定ソフトによるセットアップが終了すれば、VGF-WA1でPCに蓄積された音楽を聴く準備は完了する。内蔵の液晶ディスプレイと操作ボタンを用いて、サーバの選択、アーティストやアルバム、曲を選び、再生ボタンを押せば、楽曲再生がスタートする。もちろんシャッフルやリピートといった、基本的な再生機能も備える。操作に対するレスポンスはサーバに蓄積されたライブラリのサイズにもよるが、基本的にはPCで操作する場合と大差ない。ただ、ライブラリサイズが大きくなると、それなりにレスポンス時間は長くなる。

 PCと異なるのは、内蔵液晶ディスプレイが5行分(項目を加えると6行)しか表示できないことだ。数十Gバイトに及ぶようなライブラリでは、お目当てのアルバムやアーチストにたどり着くのに時間がかかる。プレイリストを作成するなど(iTunesは除く)、利用者側でひと工夫したほうがよいだろう。

 無線LANインフラがあり、ネットワーク上にDLNAサーバ機能を持つ製品がある場合、本機をDLNAプレーヤー(クライアント)として利用することもできる。2万円台のNASでDLNAサーバ機能を持った製品も登場しており、これらと組み合わせるとPCレスでの音楽再生も可能だ。NASなら消費電力もPCに比べて少なくてすむ。

 これらのサーバに蓄積された音楽データを聴く以外に、本機でインターネットラジオ(Webラジオ)を聴くことも可能だ。数千局のWebラジオ局を提供するLive365.comのサービスを利用して、さまざまなジャンルから好みの音楽を聴くことができる。残念ながら試用した時点ではWebラジオ局をユーザーがプリセットするためのサービスが開始されておらず(製品発売時には日本語ページでプリセットすることが可能になる予定)、固定された10局あまりからの選択となったが、聴くこと自体は問題なく行えた。なおWebラジオを聴く場合、無線LANインフラ経由であれば、最初に局データを取得してしまえば、以降はPCを特に必要としない。

(編集部補足:Webラジオ機能は使用開始から30日間は100局が試聴でき、30日経過後は10局からの選択となります。また、有料サービスの登録をすれば、数千の放送局からPCのWeb経由で500局のプリセットが可能です)

手持ちのアクセスポイントにWA1を接続したところ(画面=左)。上の「landisk」がDLNAサーバーで、下の「Integrated Server…」がVAIO Mediaを導入したPCだ。中央の画面がlandisk、右の画面がIntegrated Serverを選んだトップ画面

再生中はスペアナ表示も可能だ(画面=左)。縦方向が6ラインしか表示されないが、日本語(画面=中央)/英語(画面=右)ともに大きな表示で見やすい。なお、VAIO Media Server利用時は「アーティスト」から、DLNAサーバやWindows Media Connectを使った場合は「Album」選択時にタグファイルに埋め込まれた曲順通りに再生してくれる。それ以外はアルファベット順にソートされてしまう

再生モードは5通りだ(画面=左)。サウンド設定は「D-ノーマライザ」「D−バスブースト」「エフェクト」の3つが用意され、さらにエフェクトでは「6バンドイコライザ」「VPTワイドステレオ」「D-リニアフェーズ」に分類される(画面=中央)。いずれもDSPを使って大胆な補正が行われるが、6バンドのユーザー設定が2通り設定できるので、好みの音質に調整が可能だ(画面=右)

気軽に音楽ライブラリを楽しめ、かゆいところに手が届く機能も

直径8センチフルレンジユニットを2基内蔵する。出力はACアダプタ接続時が8ワット×8ワット、バッテリー駆動時は4ワット×4ワットとなる

 さて、音楽再生となると気になるのは音質だが、比較的低音よりの聞きやすさを重視したもの。トータルでは価格相応というところだろうか。高磁力ネオジウムマグネット採用のスピーカーユニットや、スピーカーエンクロージャーを筐体から分離することによる共振対策(おかげでかなり音量を上げてもビリつかない)、デジタルアンプや24ビットDSPチップの採用など高音質のための努力はなされている。しかしながら、絶対的な価格(実売約3万5000円前後)の壁に加え、デジタル部にかなりの予算を割かねばならないこともあり、ビックリするような音は出てこない。本機はヘッドフォン端子に加え、ライン出力(アナログオーディオ出力)と光デジタル音声出力を備えているから、より優れた音質を求めるのであれば、これらを利用したい。

 本機の購入に際して、比較の対象となるのはデジタルオーディオプレーヤー用の外部スピーカー、とくにiPod用のスピーカーだろう。確かに、エンコードされた音楽データを聴くという点では、本機もiPodスピーカーも変わらない。とはいえ、iPodを持った息子を送り出した後、母親がリビングやキッチンで音楽を聴きながらくつろぐ、といった目的に本機はピッタリだ。

 さらにオールインワンタイプのメリットとして、内蔵時計による目覚ましは、iPodスピーカーやAirTunesでは実現が難しい機能ではなかろうか。このタイマー機能の充実も本機の特徴で、2系統のタイマーごとにコンテンツや音量を独立して設定できるほか、曜日別にセットすることも可能だ。サーバに蓄積されたお気に入りの音楽で目覚める、という使いかたが手軽にできるのも本機の魅力の1つと言える(ただ、DC駆動時にACアダプタを抜くと時計がリセットされてしまうのはいただけない)。

 なお、発売キャンペーンとして、3月27日購入分まで5000円のキャッシュバックが行れる「Wi-Fi Audio デビューキャンペーン」が展開中だ。本機に興味があるユーザーは、まずはWebページをチェックするとよいだろう。

本体底面部分に内蔵された基板(写真=左と中央)。ARMコアを使った自社製のDSPチップやアルテラ製のMAX II、TDKのNAND型フラッシュメモリコントローラ(GBDriver RA3)などのチップが実装されている(評価機と実際の製品は異なる場合があります)。右の写真は内蔵無線LANのモジュールで、アンテナは上部右側に用意される

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