これがデルの“トップエンド”だ――HDCP対応27インチワイド液晶「2707WFP」XPSクオリティを液晶へ(2/3 ページ)

» 2007年03月09日 16時00分 公開
[榊信康,ITmedia]

広色域の鮮やかな表示、グラデーションも滑らか

1920×1200ドット表示の27インチワイド液晶パネルはドットピッチが0.303ミリと、1280×1024ドット表示の19インチ液晶パネル(ドットピッチ0.294ミリ)より大きく、アイコンや文字が見やすい

 ディスプレイとしての基本仕様は、輝度が450カンデラ/平方メートル、応答速度が6ms(中間階調)/16ms(黒→白→黒)、コントラスト比が1000:1、視野角が上下/左右で各178度と、ハイエンドモデルらしくハイスペックだ。液晶パネルのメーカーは非公開だが、海外製のVA系パネルを採用している。特徴はWCCFL(色再現範囲の広い冷陰極管)のバックライトを採用した点で、色再現域を従来の72%から92%(NTSC比相当)に拡大しているのは見逃せない。

 画質については、広色域バックライトがもたらすグリーン、ブルー、レッドの色鮮やかな表示とグラデーションの滑らかな再現性により、同社の従来機から確実に進化している。視野角はIPS系のパネルほど広くはなく、視点をずらすと色度とコントラストが若干変化するが、27インチワイドの大画面でも許容できる範囲だ。直列式でバックライトを何本も配置しており、輝度ムラや表示ムラが気になることはなかった。デフォルトで素直な色合いなので、高精度の色再現性を求めるのでなければ、特に設定を変更する必要はないだろう。液晶パネルの表面処理がギラギラと目に付く印象はなく、全体にクセのない良好な表示だ。

 欲を言えば、長時間の文書作成やWebブラウズを考慮して、もう少し輝度を落とせるとよかったが、従来機のように明るすぎて目が疲れるほどではない。また、ビデオ入力の映像ではコントラストの力強さが少し足りなくなるのが残念なところだ。

 応答速度の評価は個人差が大きいところだが、個人的には気持ちモタつくように感じるものの、許容できるレベルだった。ただし、画面サイズが大きいことも関係して、3Dゲームのようにエッジが際立つ映像では、境界がにじんだように見えることがあるので、通常PCを使用するような近距離でゲームをプレイすると、目に負担がかかりそうだ。映像コンテンツやゲームを楽しむ場合は、画面サイズに合わせて視聴距離を長めに取るほうがよいだろう。

ドットバイドット表示に対応、ながら見に最適なPIPとPBP機能を用意

操作ボタンは液晶パネルの右下に用意。入力切り替え、PIP/PBP表示、輝度、コントラストの設定はボタンが割り当てられており、手軽に設定を変更できる。ボタンの左には5種類の入力信号を示すインジケータが配置されている

 ディスプレイの各種調整は、前面の操作ボタンで起動するOSDの設定メニューから行う。設定可能な項目は、輝度やコントラスト、アナログRGB接続時の画像調整など、基本的な項目は押さえている。ただし、sRGBやテキスト作成用の低輝度設定といった、いわゆる画質モードは備えていないので、動画再生や文書作成などの用途に合わせて手動で輝度を調整することが必要だ。

 色温度はK(ケルビン)の値で選べず、標準、青系、赤系、RGB個別調整からの選択になるため、目視でのカラーマッチングは難しい。ガンマについては調整項目がないものの、カラー設定モードとして、PCモードとMacモードの2種類が用意されている。設定を切り替えてみたところ、MacモードはPCモードよりグレーが明るくなることから、PCモードはガンマ2.2、Macモードはガンマ1.8を想定した設定になるようだ。PCモードとMacモードでそれぞれ別の設定値を保存できるのは重宝する。また、色域はPC用PC RGBとビデオ用のHD YPbPrから選べる。

 2707WFPは、解像度が1920×1200ドット、アスペクト比が16:10となっているが、低解像度の表示方法は、1:1(ドットバイドット表示)、横縦比(アスペクト比維持の最大表示)、全画面(アスペクト比無視のフルスクリーン表示)の3種類が選択できる。

 さて、2707WFPはHDCP対応のDVI-Dを搭載することから、AV機器やゲーム機を接続した場合、HD映像がどのように表示されるのか気になる人もいるだろう。試しにプレイステーション 3をHDMI-DVI変換アダプタ経由で接続したところ、ドットバイドットの1080p表示でゲームのプレイやBlu-ray Disc(BD-Video)の再生が行えた。720p/480p/480iでの接続も可能だが、1080iの信号には対応しない。また、いずれの場合もDVD再生時にはアスペクト比がやや縦長になってしまった。

 一方、プレイステーション 3とのコンポーネントビデオ接続は1080p(D5)入力に対応しない代わりに、1080i/720p/480p/480iの入力が可能だった。

PCモードとMacモードで色温度は個別に変更できる(写真=左)。低解像度の表示モードは、ドットバイドット、アスペクト比維持の拡大、アスペクト比無視の全画面拡大の3種類が選べるが、「横縦比」という項目名は少々分かりにくい(写真=右)

 また、2707WFPは付加的な表示機能として、PIP(ピクチャーインピクチャー)とPBP(ピクチャーバイピクチャー)を搭載している。各モードは前面の操作ボタンで切り替えることが可能だ(PIP、PBP、非表示が順次切り替わる)。PIPやPBPで表示したサブ画面は独立した調整機能を備えているため、PIPで映像を表示している子画面だけをハイコントラストにすることもできる。調整機能は、コントラスト以外にも輝度、色相、彩度(PIPではサイズと位置も設定可能)などを用意しているので、たいていの用途に対応できるだろう。

PC入力時はサブ画面にビデオ入力を、ビデオ入力時はサブ画面にPC入力を設定できる(写真=左)。OSDメニューの表示方法やメニューのロックを設定することも可能だ(写真=右)

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