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» 2007年04月18日 01時39分 UPDATE

Intel Developers Forum 北京 2007:Intelにとっての「You」は中国……か

Intel CTOのジャスティン・ラトナー氏による基調講演では、中国とIntelの密接な関係を示すデモが数多く行われた。

[富永ジュン,ITmedia]

2007年第2四半期までに100万個のクアッドコアCPUを出荷する

ht_0704id01.jpg 45ナノメートルのウエハーを手にするジャスティン・ラトナー最高技術責任者(CTO)

 「融合によるさらなる創造力を(Multiply Your Innovation)」と銘打たれたIntel ジャスティン・ラトナー氏の基調講演では、今後のIntelの技術的な展望にくわえ、中国企業・研究機関との共同開発・研究例や大連に建設中の300ミリプラント「Fab68」の紹介など、同社にとって中国が重要な開発拠点の1つであることを強く印象づけるものとなった。

 ジャスティン・ラトナー氏は「米TIME誌は、2006年の『The Person of the Year』をインターネットを利用する不特定多数の『You』を選出したが、我が社にとっても『You』、つまり本日この会場にお集まりの最新技術に関心が高い、開発者のみなさん一人一人です」と語って講演の口火を切った。Intel主導の元、企業や大学、政府機関において教育プログラムや研究開発がさかんに行われるなど、中国はIntelにとって最も重要なコラボレーションパートナーの1つであることを象徴する言葉だ。その例として、BIOSに変わるファームウェアとしてIntelが提唱するEFIの開発を手がける中国企業、Great WallによるEFI搭載Windows PCの起動デモが公開された。

 また、ラトナー氏は約7カ月で行われたCoreアーキテクチャからCore 2アーキテクチャへの移行について触れ、「性能と電力効率を同時に高めたことでIntel Core 2は大きな評価を得られ、史上最速となる発表後60日間で500万個のCore 2ファミリーの出荷を達成した」と述べた。この急速なアーキテクチャの進化はこれからも続けられる予定で、今後150日間で40種類もの新CPUがリリースされることも明らかにされた。同様にサーバ分野でも、2006年11月からこれまでに11種類のCore 2 Extreme製品を投入したほか、今後2007年第2四半期の終わりまでには100万個のクアッドコアCPUが出荷される見込みだ。

ht_0704id02.jpg 仮想OSを複数起動したサーバのCPU使用率を示すグラフ。左上がクアッドコアXeon、左下がデュアルコアXeonで、その違いが如実に表れている

 続いて、中国のサーバ製品大手の浪潮グループ副社長兼北京Inspur社長のワン・エンドン氏が登壇し、デュアルコアのXeon 5160搭載サーバとクアッドコアのXeon 5300搭載サーバ上で複数の仮想OSインスタンスを実行するデモを行い、クアッドコア搭載サーバのほうが40%以上CPU使用率が低いことをアピールした。

2010年まで毎年新しいコアをリリースするIntel

 CPUのプロセスルールは、2005年から現在まで65ナノメートルが採用されているが、2007年中に45ナノメートルに移行し、その後2009年に32ナノメートルと2年ごとに更新されるサイクルが予定されている。ラトナー氏は2007年第2四半期に登場予定の45ナノプロセスCPU「Penryn」に触れ、加えて、2008年には新マイクロアーキテクチャを採用した45ナノプロセス「Nehelem」、2009年には32ナノプロセスの「Westmere」、2010年にはマイクロアーキテクチャを一新した32ナノプロセスの「Sandy Bridge」と、プロセスルールとマイクロアーキテクチャを毎年交互に変更しながらCPUをリリースしていくロードマップを示した。また、2006年から2010年までにワットあたりの性能を300%向上させ、「速いだけでなく電力効率もよい」CPUをリリースし続けると語った。

 このアグレッシブなCPUリリース戦略を支えるため、アメリカ、イスラエル、アイルランドにある現行の7つの200ミリウエハ対応のFabに加え、アジアでは初となる中国・大連に300ミリウエハを製造するFab68を建設中であり、2009年をめどに稼働を開始することも明らかにされた。投資金額は約25億ドル、総敷地面積は1700万平方フィートという広大な規模ながら、高度に自動化された施設のため従業員数は約5000人と少なめだ。

ht_0704id03.jpght_0704id04.jpg 2年おきにプロセスルールが縮小され、2009年には32ナノメートルに到達する(写真=左)。2010年までのCPUロードマップで、毎年新しいコアがリリースされる(写真=右)

 電力効率も着実に進歩している。2005年11月時点のシングルコアXeonは1コアあたりの消費電力が110ワットだったが、2007年3月時点のクアッドコアXeonは1コアあたり12.5ワットと約10分の1にまで下がり、同時にリーク電力も抑えられている。2006年時点と比較して2007年には消費電力とCPUサイズがそれぞれ2分の1と4分の1となり、さらに2008年にはそれぞれ10分1と7分の1へと2段階で引き下げられる予定だ。

 現在開発中の技術としては、NAND型フラッシュメモリを利用したSolid State Disk(SSD)が紹介された。これはとくにモバイルPCにとって消費電力を大量に要求するHDDの代わりになるSerialATA接続のストレージデバイスとして開発され、消費電力はHDDの10分の1ながらパフォーマンスは10倍、耐久性は1000倍以上と、モバイルPCにとっては理想的な特性を備えている。このSSDに採用されているフラッシュメモリは、Phase Change Memory(PCM)と呼ばれるものだ。100万回以上の書き込みが可能なほか、電源を落としても10年以上データを保持できるのが特徴である。

 ここで、北京清華大学コンピューターサイエンスアンドテクノロジー学部主任教授のShiqiang Yang氏が登場し、Intelが中国で行っている研究開発の事例としてサッカーなどの球技選手とボールの動きを解析して試合中の見どころを自動抽出する「Sports Highlight Viewer」が紹介された。

 将来的にはIAコアをタイル状に敷き詰めたテラスケールのウエハが登場し、IAコアのクラスタごとに異なる処理を実行できるようになるとの展望を示した。CPUとDRAMチップを上下に重ねてシリコンで通電することにより、さらに性能を高められるとしている。最後のパフォーマンスとして80コアのシングルチップテラフロップスCPUの実働デモが行われ、1テラフロップス、1.5テラフロップスを経て2テラフロップスでの動作に成功した。

ht_0704id05.jpght_0704id06.jpght_0704id07.jpg HDDに変わる記憶媒体としてIntelが開発を進めているSolid State Disk(写真=左)。基板の上に2枚のダイがシリコンで重ね合わされている(写真=中央)。80コアのシングルチップCPUが2テラフロップス動作に成功した画面(写真=右)。動作クロックは6.26GHz、消費電力は191.79ワットに達している

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