AVCHDカメラのH.264映像を手軽に本格編集――「VideoStudio 11」

» 2007年04月18日 09時15分 公開
[前橋豪,ITmedia]
VideoStudio 11

 インタービデオジャパンは4月17日、個人向けビデオ編集ソフトの最新版「VideoStudio 11」を発表した。6月15日より6製品を発売する。製品ラインアップと価格は、通常版が1万5540円、乗り換え版が1万290円、アップグレード版が8379円、アカデミック版が8190円、ダウンロード版が9324円、アップグレードダウンロード版が7329円だ。

 対応OSは、Windows XP SP2/XP Media Center Edition/XP Professional x64 Edition/Vista。HD映像を編集する際の推奨環境は、Pentium 4 3.0GHz以上のCPU、2Gバイト以上のメモリ、Windows XP SP2(HDVカメラサポートのため)、PCI Express x16接続グラフィックスカードとなっている。

 Video Studioシリーズは、ホームビデオや写真を素材として、手軽に高度な動画編集が行えるハイビジョン対応ビデオ編集ソフトだ。主に初心者から中級者を対象にした製品で、レベルと目的に合わせて3つのモードを用意している。3つのモードとは、キャプチャから高度な動画編集、DVD作成までが7つのステップで行える「標準モード」、ビデオカメラを接続してテンプレートを選ぶだけで自動編集が可能な「おまかせモード」、撮影したminiDVテープから好きなシーンを選んでDVDに書き込める「クイックDVDウィザード」だ。

VideoStudio 11のスタート画面(写真=左)。おまかせモード(写真=中央)と標準モード(写真=右)。50種類のビデオフィルター、164種類のトランジション、8種類のテキストアニメーション、30種類以上のFlashアニメーションが用意されている

AVCHDカメラで撮影したMPEG-4 AVC/H.264映像をサポート

 新機能では、AVCHDカメラで撮影したMPEG-4 AVC/H.264映像の入力に対応したのが大きなポイントだ。HDVカメラのキャプチャと編集は前バージョンから可能だったため、AVCHDカメラのサポートによって幅広いハイビジョン対応ビデオカメラの映像を扱えるようになった。AVCHDカメラで撮影したMPEG-4 AVC/H.264映像は、最大1440×1080ドットの解像度に対応。パナソニックの「HDC-DX3」や「HDC-SD3」で撮影した1920×1080ドットのMPEG-4 AVC/H.264映像については未発売のためまだ検証していないが、発売後に動作しないことが判明した場合、アップデートなどでのサポートを考えるという。ビクターの「GZ-HD7」で撮影した1920×1080ドットのMPEG-2 TS映像についても今後の検証対象としている(Everioの他モデルで撮影したMOD形式の入力には対応済み)。

AVCHDカメラで撮影した映像は、8センチDVD、HDD、SDメモリーカードといった記録メディアにかかわらず入力できる(写真=左)。DVキャプチャやファイル入力のメニューに「DVD/AVCHDからインポート」という項目が追加された(写真=中央)。AVCHDカメラから取り込んだ映像のファイル情報(写真=右)。映像は1440×1080ドットのMPEG-4 AVC/H.264、音声は5.1チャンネルドルビーデジタルとして入力されていることが分かる。ちなみに、2チャンネルの音声を擬似的に5.1チャンネルにする機能も持つ

 編集については、CPU負荷の高いハイビジョンのMPEG-2映像やMPEG-4 AVC/H.264映像をストレスなく扱えるように、中継ファイルを作成することで負荷を低減するスマートプロキシ機能を採用する。これにより、HDVカメラやAVCHDカメラで撮影した映像をDVカメラと同じようなレスポンスで編集することが可能だ。ただしスマートプロキシは、中継ファイルの作成に元映像の実時間に対して約2倍の時間を要するほか、最後に元映像に結果を反映させる際にも3倍以上の時間がかかるという。

 スマートプロキシは、映像のサイズに応じて自動生成したり、ファイルを指定して手動で作成したり、プロキシ自体のサイズも設定できる。HDVカメラで撮影した60分のminiDVテープ1本分の中継ファイルを作成すると、ファイルサイズの目安は10Gバイトを超えるが、AVCHDカメラの映像から生成する中継ファイルはそれより少し小さなサイズに収まるという。複数のファイルを指定して中継ファイルを連続的に作成することも可能だ。

編集したハイビジョン映像やMPEG-2 HDやWMV HDとして、HD画質のまま保存できる

 HDVカメラやAVCHDカメラの映像は、編集後にMPEG-2 HD(1920×1080ドット)やWMV HD(1440×1080ドット)のファイルとして保存できるほか、SD画質にダウンコンバートしてDVDに書き出すことも可能だ。MPEG-4 AVC/H.264での出力は最大640×480ドット(Baseline/Main Profile対応)に限られる。なお、SD画質の映像をMPEG-2 HDやWMV HDにアップコンバートして出力する「PureHD Upscaler」機能は引き続き搭載している。

 ちなみにVideoStudio 11はCore 2 Duoに最適化することで、パフォーマンスの向上を図っている。同社によれば、DV-AVIからMPEG-2への変換時間をCore 2 Duo E6600(2.4GHz)とPentium D 950(3.4GHz)で比較したところ、前者は117分、後者は196分かかり、約67%も変換時間が短縮されたという。

スマートレンダリングの判別機能や撮影日時インポート機能も用意

 AVCHDカメラ対応以外の新機能としては、「MPEGオプティマイザ」機能の搭載も見どころだ。これは、複数の素材で構成された映像をレンダリングする場合、画質の劣化が少ないエンコードの設定を選択できるという機能だ。例えば、素材ごとにビットレートが異なるMPEG映像をレンダリングするようなシーンで、画質劣化のないスマートレンダリングが可能な部分と、再エンコードが必要な部分をカラーバー表示で確認できる。カラーバー表示を見ながらスマートレンダリング可能な部分が最も多くなるビットレートを選ぶことで、画質の劣化を最小限に抑えられるというわけだ。レンダリングの一時中断ボタンも用意している。

MPEGオプティマイザの機能を選択すると、タイムライン全体がカラーバーで表示される(写真=左)。スマートレンダリング可能な部分がグリーン、再エンコードが必要な部分がレッドだ。この表示を見ながら、スマートレンダリング可能な部分が多い設定を選べる。レンダリングを一時中断すると、CPU使用率が一気に下がる(写真=右)。メールチェックなどで作業を少し中断したい場合に役立つ

 また、おまかせモードについては、従来2本だったビデオトラックを最大5本に増強し、テンプレートの演出方法がより高度なものになった。おまかせモードで複数のビデオトラックを使用するテンプレートを選んでから、標準モードに切り替えることで、ユーザーが各ビデオトラックをカスタマイズすることも可能だ。標準モードでは、画面内に7本のビデオトラックを含むすべてのタイムラインを同時表示できるようになり、プロジェクトの一覧性が向上している。

おまかせモードでは最大5本のビデオトラックを利用したテンプレートが用意された(写真=左)。おまかせモードでテンプレートを選んでから編集モードに切り替えることで、細かな編集が行えるのはVideoStudioの特徴だ(写真=中央)。クイックDVDウィザードでminiDVテープからDVDを作成する場合、サムネイルとタイムコードがHTML形式で保存できるので管理しやすい(写真=右)

 ファイルの保存に関しては、プロジェクトファイルと映像、音楽などの素材一式を丸ごと保存する「スマートパッケージ」機能を追加。複数人での共同作業やPCのリカバリ時などにファイルを手軽に管理できる。

 そのほか、ブロックノイズやスノーノイズを除去するフィルターや、ホワイトバランスの設定機能(オートによる最適化も可)を搭載。新たに、DVカメラの撮影日時情報を自動的にインポート可能になった(HDVとAVCHDは不可)。日時情報はタイトルトラックに挿入される仕様のため、元の映像を保持したまま、フォントや位置などを柔軟に編集できる。撮影日時のインポートは、ユーザーからの要望が非常に多かった機能という。

ブロックノイズ除去では、元画像と処理後のプレビューを見比べながらフィルターをかけられる(写真=左)。ホワイトバランスの設定は、太陽光や蛍光灯などのプリセットが選べるほか、カラーピッカーで色を選択して調整することも可能(写真=中央)。撮影日時のインポート機能では、タイトルトラックとして日時情報が挿入される(写真=右)。今回から、テキストの回転機能も追加された

ユーリードの定番ビデオ編集ソフトがコーレルブランドへ

インタービデオジャパンの田中俊輔代表取締役

 なお、VideoStudioシリーズはもともと台湾ユーリードシステムズの製品だが、同社を傘下に持つ米インタービデオがカナダのコーレルに昨年買収されたことにともない、今回発表されたVideoStudio 11はコーレルブランドの一員となる。

 製品発表会で壇上に立ったインタービデオジャパンの田中俊輔代表取締役は、自社製品のアドバンデージについて、「コーレル、インタービデオ、ユーリードという各分野のトップが1つになることで生まれるブランド力」「OEMパートナーからの厚い支持」「技術力の高さ」の3点があるとアピールした。

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