NVIDIAは、先日発表されたGeForce 8600 GTS/8600 GT/8500 GTに実装した“第2世代”のPureVideo HDについて日本の関係者を対象に説明会を行った。米NVIDIA本社からMultimedia Product Marketing Managerのパトリック・ベリュー氏が来日し、新しくなったPureVideo HDエンジンの構成からその性能までを紹介した。
すでに、発表記事でも報じたが、GeForce 8600/8500シリーズで実装されているPureVideo HDエンジンはGeForce 7シリーズとGeForce 8800シリーズのPureVideo HDとは構成が異なっている。第2世代PureVideo HDでは、ビデオプロセッサ自体がVC-1、H.264に対応して処理能力を向上させているのに加え、新たに「H.264 Bitstream Processor」(BSP。エントロピー符号化処理の専用プロセッサ。CABACとCAVLCに対応する)と「AES128 Decryption」(AES128で暗号化されて保護されているコンテンツの復号処理を行う。Windows Vistaで採用されているPCI Expressレベルの暗号化技術“PVP-UAM”もサポートする)の専用エンジンが組み込まれている。
このPureVideo HDの拡張に伴なう構成トランジスタの数の変更についてベリュー氏は明らかにしていないが、「その影響はごくわずかで、消費電力やそれに伴なう発熱量の増加、静音性能にたいするマイナスの影響はなく、リビングで使うシステムに求められる水準は十分満たすことができる」と説明している。
従来のPureVideo HDはH.264のデコード処理における上流過程「符号化処理」「逆テレシネ処理」をCPUで行い、下流過程「動き補償処理」「デプロッキング処理」をPureVideo HDエンジンで行っていたのが、これらの変更によって、すべての過程をPureVideo HDエンジンで処理できるようになった。ベリュー氏は、HD DVDやBlu-ray DISCに収録されているHDコンテンツの再生において、CPUの負荷が従来の60〜70%から20%程度に下がるデモンストレーションを示しながら、「HDコンテンツを再生するにはこれまでハイエンドCPUが必要だったが、第2世代のPureVideo HDを搭載していれば、CPUはローコストのバリュークラスのCPUで十分になる。そのため、1000ドルでHDコンテンツを再生できるPCと外付けのHD DVDドライブ、そしてコンテンツが3つがそろえられる」と、導入コストにおけるPureVideo HDのメリットもアピールしている。「ひところ、HD DVDやBD対応のドライブが高いとされていたが、いまでは199ドルで入手できるようになっている」(ベリュー氏)
ベリュー氏は「PureVideo HD」のロゴプログラムとそのガイドラインも説明している。このプログラムは、PCがHD DVD、BDコンテンツを十分再生できるだけの性能を持っていることをユーザーに分かりやすく示すのが目的で、ロゴが貼付できるシステム条件のガイドラインとして「拡張カード」「システム構成」「再生ソフト」「光学ドライブ」のカテゴリーでそれぞれHD DVD、もしくは BDコンテンツの再生が可能なドライブと再生ソフトの搭載などが規定されている。
拡張カードの項目では「ビデオメモリを256Mバイト以上搭載したGeForce 7シリーズ、もしくは、ビデオメモリを128Mバイト以上搭載したGeForce 8シリーズ」という条件が規定されているが、PureVideoエンジンの世代に関してはとくに記述がない。そのため、このロゴプログラムではPureVideo HDの世代を知ることができないわけだが、これについてベリュー氏は「このロゴは、HDコンテンツを十分楽しめる性能を有するPCをミニマムからマックスまで扱う。PureVideo HDの違いを示すロゴは用意する計画はないが、ベンダーによってはパッケージのコメントで説明することもあるだろう」と述べている。
また、最上位モデルのGeForce 8800シリーズに最新のPureVideo HDが実装されなかった理由についてもベリュー氏は「タイミング的にGeForce 8800には実装できなかった。2006年の11月にはまだ第2世代のPureVideo HDは完成していなかったからだ」と答えた。
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