インタビュー
» 2007年05月03日 12時00分 公開

5年後の秋葉原を歩く 第2回:“メイドさん”の現在と未来 (3/3)

[古田雄介,ITmedia]
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第2のテーマ:メイドショップは今後どうなる?

――メイド喫茶ブームは落ち着きましたが、知名度が上がったこともあり、全国各地にメイドショップが見られるようになりました。メイド産業はこのまま全国的な市民権を得て定着するのでしょうか?

くろすろ〜ど内の喫茶店。単にコーヒーを飲むだけでなく、メイドさんとの会話を楽しむ場となる

くろすろ〜ど店長(秋葉原) メイド喫茶がメジャーになったことで、利用者層の裾野も拡大し、一見さんが増えました。こうなると、コアな層はマニアックな別のサービスを求めるため、男装しかり巫女さんしかり、コスプレの派生系ショップが出てきます。

 現時点でもすでにその傾向はありますが、ますますバリエーションが増えていく。メイド産業が消えることはないと思います。女の子と気軽に会話できるサービスというのは続いていくでしょう。

おぎメイド店長(中野) メイド産業の本質は、ライトに女の子とコミュニケーションがとれること。ガールフレンドとの会話を楽しむという健全なサービスです。キャバクラのようなお色気もいらないし、お金もそれほどかからない。

 メイド喫茶が登場した時はスキマ産業でしたが、こういったニーズはブームや時代を超えて必ず存在する。「メイド」という格好は変化していく可能性がありますが、全国区で残っていくと思います。その過程でアキバへの一極集中はなくなっていくでしょうね。

ピュア ポップ店長(池袋) メイド産業は“ミニキャバ”だと思っています。お触りもお酒も不要で、女の子とのトークを楽しむもの。コスプレの内容は多様化する可能性が高いですが、この形態のサービスは残るでしょう。

 現状、「メイド」という付加価値だけでは、飽きられはじめています。質の高いサービスがともなっていない店舗は、アキバであっても閉店していくはず。これからは洗練の時代に向かうと思います。


 3店舗ともメイドショップの“コスプレ要素”ではなく、“女の子とのコミュニケーション”を重要視しており、格好(外観)は替えがきくことを認めていた。メイドさんを中心に据えたサービスは縮小し、今後は多様化するものの、将来的に継続していくとの強い確信も共通している。

 3者の考え通りなら、コア層のために萌え要素を含んだコスプレ店が増える一方で、一般層を狙った“ミニキャバ”が台頭する可能性が高い。実際ピュア ポップは、普通の格好をしたスタッフにチラシ配りをさせるなど、脱オタク化の戦略も立てている。

メイドの白石さん(左)と、ギャルソンの秋山寿太(じゅた)さん(右)。ピュア ポップではほぼ同数のメイドさんとギャルソンさんがいるが、現状ではメイドさんが付く男性客のほうが多い(写真=左)。“風俗店ではありません”の貼り紙(写真=右)。メイド喫茶が一般層をターゲットに脱オタク化を図る一方で、従来の性風俗産業が“メイド要素”を取り入れ、境界が見えにくくなっている

 メイドショップよりも「メイドショップっぽい店」が増えていき、一般的な市民権を得ると、サブカルチャーの街・アキバに店舗が集中する意味は薄れていく。メイドショップは「電気街」からアキバの看板を奪わずに形態を変えていくのか。最後のまとめとして、アキバの将来像について語ってもらった。

第3のテーマ:サブカルチャーの街・アキバの5年後

――メイド産業が変化していくと、アキバにはどのような変化が起こるでしょう。5年後のアキバの予想図を聞かせてください。

くろすろ〜ど店長(秋葉原) 行政のさじ加減で変わってくるでしょう。街の再開発によって、オフィスビルの数が増えていますが、そうなるとアキバの客層も変わってきます。サブカルチャー系の産業が成長しにくい街になるでしょうね。せめて裏通りに手を付けず、安い店舗スペースを確保してくれれば、どうにか存続できる。“雑多な商業地”というアキバの個性が残るか否かで、まったく別の街になると思います。

おぎメイド店長(中野) 淘汰が進んで、5年後には5〜6店舗だけになるかもしれません。全国にメイドショップ(っぽい店)が増え、アキバへの一極集中はなくなるでしょう。

ピュア ポップ店長(池袋) 今もはじまっていますが、サービスの質が悪いショップは淘汰されていく。いずれアキバのアドバンテージがなくなり、池袋と同じように、一般の店舗の中でしのぎを削るようになると思います。


「5年後、メイドショップはアキバの看板を背負っていない」という点は、3店舗とも共通していた。代わりに台頭する産業やカルチャーの予想は付いていない。ヒントになるのは、くろすろ〜ど店長が触れていた「再開発の方向性」だろう。

 千代田区や東京都は、アキバを「世界的なIT産業の拠点」にする目標を掲げているが、その中にサブカルチャーが含まれてはいない。賃貸料の高騰や街のオフィス化が進めば、サブカルチャーが成長しずらい環境になる。逆に、手が加わらないエリアが多ければ、現状の“アキバらしさ”が次代にも生きる可能性は高くなる。まさに、行政のさじ加減で、アキバの将来像が大きく変わってくるようだ。

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