“Santa Rosa”の「Intel Turbo Memory」「Intel GMA X3100」を検証するイマドキのイタモノ(1/3 ページ)

» 2007年05月09日 18時30分 公開
[笠原一輝,ITmedia]
Santa Rosa世代のMerom「Core 2 Duo T7700」の仕様をCPU-Zで表示した。FSBがほぼ800MHzの値を示している

 これまで“Santa Rosa”というコード名でで開発が続けられてきたインテルの新しいモバイルプラットフォームが、「Intel Centrino Pro Processor Technology」「Intel Centrino Duo Processor Technology」として5月9日に発表された。Santa Rosaは、「Napaリフレッシュ」と呼ばれて前世代のNapaプラットフォームでも採用されていたCore 2 Duo Tシリーズ(開発コード名はMerom)をCPUとして採用し、チップセットはCrestlineのコード名で開発されてきたモバイルIntel 965 Expressシリーズ、無線LANモジュールはすでに発表済みのIntel Pro/Wireless 4950AGNと従来のCentrinoと同様に「CPU」「チップセット」「無線LNA」という3つの要素から構成される。従来のNapaプラットフォームに比べて処理能力が向上しているのが大きな特徴となっている。

 さらに、Santa Rosaでは「Intel Turbo Memory」と呼ばれるオプションが用意されており、これを利用することで、PCのボトルネックとなりつつあるHDDのランダムアクセスの遅さを解消することも期待されている。

Napaから機能が強化されたSanta Rosa

 従来のNapaプラットフォームと新しいSanta Rosaプラットフォームの構成要素を比較してみると、次のようになる。

NapaプラットフォームNapaリフレッシュSanta Rosa
CPUブランドCore DuoCore2 DuoCore2 Duo
コアYonahMeromMerom
FSB667MHz667MHz800MHz
IDA--
チップセットブランドIntel945GM/PMIntel945GM/PMIntel GM965/PM965
コードネームCalistogaCalistogaCrestline
メモリDDR2DDR2DDR2
内蔵GPUGMA 950GMA 950GMA X3100
対応APIDX9DX9DX9
サウスブリッジICH7MICH7MICH8M
無線LANブランドIntel Pro/Wireless 3945ABGIntel Pro/Wireless 3945ABGIntel Pro/Wireless 4965AGN
IEEE802.11n(ドラフト)対応--

 CPUは65ナノメートルプロセスルールで製造されるCore 2 Duo Tシリーズが採用されている。最新のNapaプラットフォーム(これを“Napaリフレッシュ”と呼ぶ)でも使われていたCore 2 Duo Tシリーズだが、Santa Rosa対応のシリーズではFSBが800MHzに引き上げられたほか、「Dynamic FSB Switching」「Enhanced Deeper Sleep」「Intel Dynamic Acceleration」などの新しい機能が追加されている。

 チップセットのモバイルIntel 965 Expressファミリーには、グラフィクスコアを組み込んだIntel GM965と、グラフィクスコアを含まないIntel PM965が用意される。CPUと同様に、対応するFSBが800MHzに引き上げられたこと、内蔵しているグラフィックスコアがInte GMA X3100に変更されたこと、サウスブリッジがICH8M世代に変更されたことなどが強化点となる。また、無線LANモジュールも、IEEE802.11nのドラフト仕様に対応したIntel Pro/Wireless 4965AGNになるなどこちらも強化されている。

 なお、Santa Rosaの新機能などに関しては別記事も参照していただきたい。

体感速度を向上させる「Intel Turbo Memory」

 Santa Rosaプラットフォームでは、ユーザーの体感速度を向上させる仕組みがオプションとして用意されている。それが開発コード名“Robson”と呼ばれてきた「Intel Turbo Memory」だ。Intel Turbo Memoryは“DiamondLake”と呼ばれるコントローラとNAND型フラッシュメモリから構成されており、モジュール(PCI Expressミニカード)かチップ単体でOEMベンダに供給される。最初に登場する“Santa Rosa”Centrino対応ノートPCの多くはPCI Expressミニカードのモジュールを実装するとみられている。

 Intel Turbo Memoryの目的はHDDのランダムアクセスの遅さの隠蔽だ。CPUがHDDにデータを書き込んだり読み込んだりする場合、シーケンシャルアクセスとランダムアクセスという2種類の方法でアクセスする。シーケンシャルアクセスは、データを前から後ろまで順序よくアクセスする方法で、HDDの中では円盤(プラッタ)の上に保存されたデータを前から順に読んだり書いたりする。ランダムアクセスは、ディスクに保存されたデータを順番を無視して読み書きする方法で、ヘッドと呼ばれるHDD上のデータを読み書きする機器が円盤をあちらこちらと飛び跳ねながらアクセスする。

 一般的に、シーケンシャルアクセスではディスクの回転速度が性能に大きな影響を与え、ランダムアクセスでは回転速度と平均シークタイムが性能に大きな影響を与える。シークタイムとは、ヘッドがHDDの円盤上にある目的の位置に到達するまでの平均時間で、この時間が短ければ短いほどHDDのランダムアクセス性能は向上する。しかし、ここ数年、HDDの平均シークタイムはほとんど改善されておらず、高速化するCPUやメモリなどに比べてHDDがPCの性能のボトルネックになることが増えてきている。加えて、WindowsではOSの起動やアプリケーションの起動において大量のモジュールをHDDから読み出すため、ランダムアクセスが多用されている。こうした事情が、PCの動きが“重い”とユーザーが感じる原因となっている。

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