今回、概要が明らかになったのはノートPC向けCPU「Griffin」(グリフィン:開発コード名)とノートPC向けプラットフォーム「Puma」(ピューマ:開発コード名)。新しいプラットフォームの開発は既存製品の技術をベースにしているものの、モバイル機能に特化した部分のチューニングや構成などは、日本に設けられた「JEL」(ジャパン・エンジニアリング・ラボ)で「まったく新しく設計されている」と同所長の福井健人氏は述べている。そのため、既存のデスクトップPC向けCPUにGriffinに該当するモデルは存在しない(これまでは、デスクトップPC向けCPUをベースに省電力機能などを追加する形でモバイル向けCPUが開発されていた)。
「Griffin」と名づけられたノートPC向けCPUは、65ナノメートルプロセスルールを採用したデュアルコアCPUで、それぞれのコアに付属するL2キャッシュを組み込んだ2つのCPUコアと、メモリコントローラなどを組み込んだノースブリッジユニットを1つのダイに収容する。メモリコントローラは省電力に最適化されたDDR2対応のユニットが組み込まれる。外部との接続はHyperTransport 3.0が採用される。
福井氏の説明によると、2つのコアとノースブリッジユニットに接続しているパワープレーンはそれぞれ完全に独立しているため、2つのコアとノースブリッジユニットの動作クロックと駆動電圧を別個に制御できるとしている。
Griffinの省電力機能では、2つのコアとノースブリッジユニットのそれぞれでステートを設定できるほか、グラフィックスコアを内蔵したシステムでも、Deeper sleep(C4)ステートが可能になる。また、各個独立でパワーステートを制御でき、動作中にCステートに移行もできる。
GriffinはHyperTransport 3.0を導入するが、GriffinのHyperTransport 3.0では、帯域幅(HyperTransportのレーン数)が、「HyperTransport 3.0の両端におけるデータの転送量」(JELスタッフ)に合わせて可変となる機能が実装される。転送量によって上り下りとも最大16Xから8X、4X、そして最小では休止するところまで変化させて消費電力を抑える。
Griffinに対応するPumaプラットフォームは、「RS780M」「SB700」で構成される。RS780Mでは、内部にDirectX 10に対応する「R600世代の技術を持った」(福井氏)グラフィックスコアが内蔵される。内蔵グラフィックスコアのビデオメモリ領域はシステムメモリにUMAでアサインされるほか、RS780Mに接続するグラフィックス用のローカルメモリも利用できる。このほか、RS780MはPCI Express 2.0、DVI、HDMI、DP対応のビデオ出力、TV出力などをサポートする。
RS780Mでは、PCI Expressに接続した外部GPUとチップセットに内蔵したグラフィックスチップを使用している電源の種類に合わせて切り替える「PowerXPress」が導入される。この技術は、AC電源を使用しているときは外部GPUを有効にして高いパフォーマンスを利用し、バッテリー駆動時にはチップセット内蔵のグラフィックスチップを有効にして消費電力を抑える。NVIDIA製モバイル向けGPUと搭載したVAIO type Sにも同様の機能が実装されているが、PowerXPressはシステムのリブートなしで切り替えできるのが特徴だ。
SB700は14個のUSB 2.0、6つのSerial ATA、1つのParallel ATA、PCIをサポートするほか、NAND型フラッシュメモリをHDDのキャッシュとして利用する「HyperFlash」のインタフェースもSB700に用意される。HyperFlashはWindows VistaのReady BoostとReady Driveに対応するため、Windows Vista以外のOSでは利用できない。
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